企業の管理者と話すと、必ずといっていいほどぼやきのように語られる話が
「会議が多い」です。僕は「あなたの意志の問題でしょ」と言いたい気持ちを押さえて「なぜでしょうか?」などとその原因に向き合うように質問を続けます。
その原因は何でしょうか。少し整理してみたいと思います。
まず、権限委譲が進んでいないことですね。私の体感で話しますと、例えば部長などの管理者の多くは、自分の権限と責任を矮小化しています。即ち自分で決めてはいけないと思っているわけです。従って免罪符をもらうために上司を巻き込み説明・承認のための会議を設定するわけです。上司も、それはあなたの責任で決めなさい。事前の承認は不要ですとは言わないわけですね。それでは変革を推進する管理者は育ちませんよね。いちいち承認をもらわないと何もできない管理者なんて不要です。ほとんどのこと(決して全部ではない)は事後承諾で問題ないと私は思っています。
更に、その原因を考えてみましょう。それは上司の問題ですね。そもそも企業の幹部はこうでなければならないというバイアスが根強くあります。それは以前にも何回か書いたあるべきあるべきリーダーシップの固定観念です。即ちリーダーとは力強く指示するものだという思い込みです。私はこれを悪しきC&C(Command & Controll)と呼んでいます。某社の昔のCIではないですよ(笑) 要するの幹部がいちいち指示するカルチャーで育った人は指示待ち人間になってしまうわけです。上司の承認がなければ何もできないわけです。そんなカルチャーで育った集団は、自分の責任と権限を矮小化してしまうわけですね。悲しいかな当然の帰着ですね。
また、優先順位を他人に委ねるという情けない幹部がそういう状況になりがちです。何のアジェンダを優先するかは経営問題ですよね。幹部は自分で決めるべきです。それが仕事です。それを部下に開放する(会議を勝手に入れられる)からそれだけで時間が無くなるのです。それも、先ほど書いたように、そもそも部下が自分で決めればよいことを会議で議論(実際は上司に決めさせる)するからですね。その積み重ねが結局優先順位の高い事業戦略や重要案件の将来を検討するというような最優先課題をないがしろにしてしまう結果につながってしまう。当の幹部もそれを反省してマネジメントの変革をしようともしない。そんな企業は自然死へ向かうのは当然ですよね。すべて上司即ち幹部自身の問題です。誰のせいにもできません。更に最低な人たちは、なんだかやたら忙しい自分を見て「俺は頑張ってるな~」なんて勘違いしている。救いようがありません。幹部は常に最重要アジェンダにフォーカスすべきです。最重要ミッションは「サステナビリティ」のはずです。
残念ながら幹部であってもバイアスまみれです。これは避けようがありません。幹部でなくても、常に鏡に写る自分を見て「これで良いのか」「自分は最善を尽くしているのか」「優先順位は間違っていないか」と問いかけ続けなければなりません。それができない人はリーダーになってはなりません。部下が不幸です。
次に申し上げたいのは、冒頭の話に戻りますが、C&Cの蟻地獄から逃れることです。管理職が考えるべき部下の育成のポイントは、部下の自立です。要するに、「自分で考え、自分で決め、さっさと行動すること」です。もちろん、それは放っておくことではありません。「どうするつもり?」と問いかけ、「それでお客様はどう思うだろうか?」などと適切な問いを壁打ちのように連打し、自分で考えることの重要性を癖づけることです。そしてずっと見守るのです。これには以前に書いた「女性性」が必要不可欠なのです。多くの人がそれを理解していません。
「ちむどんどん」から考える - Heaven's Kitchen / 清水のブログ by Seed Master Consulting
管理者など幹部の人は自覚してほしいのです。あなたの頭脳と情熱と行動力と時間は経営資源なのです。その優劣で企業のサステナビリティは決まるのですよ。