毎日「上機嫌」で生きたいものですね。心配ごとで頭が一杯になったり、落ち込んだり、イライラしたりはしたくないものです。今日は前向きに生きるヒントを書いてみたいと思います。
■楽観的とは楽天的とは違う
有名な心理学者アドラーは「楽観的」であることを「悲観的に準備し、楽観的に行動すること」と定義しています。「悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである」とアランは言っているように、楽観的とは本能的な明るさではなく、自分の意思で選ぶ態度です。ここが大切な点ですね。
それに対し「楽天的」とは
「能天気」「極楽とんぼ」と表現され、注意すべき対象とされています。リスクを無視し、何とかなるだろうと根拠もなく放置する姿勢です。現実の課題から自分の意志で目を逸らして何もしないために、アドラーは真の勇気(意志ある行動)とは見なしていません。
■深刻と真剣
仕事が上手くいかないだけではなく、その状況が続き事態は悪化の一途だったりすると、人は「深刻」に捉えますね。その深刻とはどのようなことなのでしょうか。
「深刻」とは心理学的に言うと「心理的視野狭窄」と表現されます。人は時としてこれしかない、もう終わりだなどという極端な考えに陥りがちです。これを視野狭窄と言います。問題の解決策や別の選択肢が目に入らなくなり、ひとつの悩みだけが世界のすべてのように感じられる状態なわけですね。同時に、問題と自分を切り離すことができなくなり、問題=自分になってしまう。「失敗した」という事実を「自分はダメな人間だ」と存在そのものの否定にまで広げてしまうことで、重圧が大きく膨れ上がってしまいます。
アドラーは深刻になると、不安に縛られ心が「停止」して重苦しい状態になると言います。
それに対して「真剣」は「今、ここ」の課題に集中して解決に向けて心が「動いている」状態だと言います。
では「深刻」になっている時どう対処することが肝要なのでしょう。もし苦しい状態であれば、「深刻になっている自分」を客観的に眺める(メタ認知)ことから始めることが効果的だと言います。
私は昔部下がトラブルで苦しんでいる時に「深刻になるな、真剣にやればそれでいい」と言っていました。その元部下本人があるパーティーで私にそう言われたエピソードを紹介し、思い出しました。心理学的にはとても適切なアドバイスだったと気付きました。私自身も体感的に深刻になることは解決に繋がらないと思っていました。それに暗闇に陥らないように本能的にそのように対処していたのだと思います。
■お世話になったある神社の神主さんの話
私が40代のころ担当していたビッグユーザで、こんなことが起きるはずがないというような超レアなトラブルが何度も何種類も起きました。その都度苦労して解決してきましたが、何年かにわたって時々起きるので関係者は疲弊していました。偶然が重なるような状況に私は「あとは神頼みしかない」などと考え、自宅から遠くない神社にお祓いに行きました。神主に状況をお話しし、丁寧にお祓いをしていただきました。すると続いていたトラブルはパタッと起きることはなくなりました。その後毎年20年以上お祓いに行き続けました。
その時神主が仰ったお祓いの時の言葉が印象的です。「清水は真面目に一生懸命努力を続けてきました。しかし、今とても困っている。だから助けてやって欲しい」という主旨の話だったのです。要するに真剣にやっている人には神の手が差し伸べられるということのだったのです。
■自己効力感とは
もう一つ似た言葉があります。「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」です。これは「私にはそれをやり遂げる能力がある」という「自分への信頼」です。即ち、具体的な行動に結びついています。
よく似た言葉に「自己肯定感」がありますね。ある学者がこう説明してくれました。分かりやすいので私もよくその表現を使います。「自己肯定感」は過去の実績から出る自信で、「自己効力感」は将来に対する自信だと。分かりやすいでしょ。自分を信頼しているから、必ずやり遂げられるはずだと自信を持っているという意味なんですね。
歴史に残るような偉人たちは、皆「自己効力」が高いという研究結果がありますが、うなずけますね。自分を信じることの大切さを認識しましょう。
■自己効力感と楽観性の関係
そうなるとこの両者はほとんど同じようなニュアンスがありますね。しかし、少し違います。楽観性とは「これから良いことが起きるだろう」という「未来への期待」です。もちろんアドラーが言うようにちゃんと準備し努力しているから未来に期待できるのです。即ち能力に関わらず状況全体を肯定的に捉えているわけですね。それに対して、自己効力は、能力があるから何とかなるという自信なのですね。
別に分けて考える必要はありません。両方とも前向きに生きるためにとても大切なアプローチだと思えばよいと思います。
■ポジティブサイクルが生まれる
この二つが揃うことでポジティブなサイクルが生まれます。
まず、挑戦の開始です。楽観性があるから「なんとかなるさ」と一歩踏み出せる。
そして、努力の継続です。自己効力感があるから「自分ならできる」と信じて粘り強く取り組めるわけですね。
■失敗への耐性を上げる
誰でも失敗はします。その時いちいち落ち込まないようにしたり、落ち込んでも即復活することが大切ですね。その時も楽観性と自己効力はスーパーパワーを発揮します。
楽観的な人は失敗を「一時的なもの」と考え、自己効力感が高い人は、「次はやり方を変えればできるはずだ」と自然と考えて対処するわけですね。
つまり、楽観性が「ガソリン(動機付け)」で、自己効力感は「エンジン(遂行能力)」というような関係だと表現されます。なるほどですね。
今日のアドラーの話も、私のエピソードもみんなつながっているんです。私たちがネガティブサイクルに入り込んで苦しむことがないよう、ポジティブに生きるヒントがそこにあるんですね。

旨い食事は明らかに僕を楽観的にも楽天的にもしてくれる。
旨い食事のない人生はとても味気のないものだろう。@日本橋小舟町









