美意識のない無法地帯

トランプ次期大統領の「ディール」が過激さを増している。関連するポイントを列挙すると(悲しいことに毎日増えていく)

デンマークに対しグリーンランド売らなければ非常に高い関税を課す、あるいは武力に訴える。

カナダとメキシコに対し、麻薬(フェンタニル)と不法移民の流入を止めなければ高い関税を課す。

特に、カナダに対しては、それができないなら51番目の州になれ。

トルドー首相が辞任したのもトランプ氏との確執も遠因といえる。

中国に対する60%関税増は具体的に中国から報復の話は出ていない。中国は内政(特に経済)問題でそれどころではないのか。

米国大手金融機関6行すべて脱炭素を目指す国際的枠組み(NZBA)から脱退。これは石油増産を推進するトランプ氏との摩擦を避けるためでしょう。

マクドナルドは多様性確保の目標を廃止。アメリカ国内ではDE&Iの潮流は目に見えてトーンダウン。これもかつて連邦政府の職員に対するDE&I研修を停止させた実績のあるトランプ氏の顔色を伺ったとしか思えない。

その後、メタ、アマゾン・ドット・コムも同様にDE&I推進の施策を廃止または一部廃止を発表しました。これらは保守派から少数派の優遇が白人など多数派を不利にしているという反発があったからだ。今までどれだけ少数派を冷遇してきたかを忘れたような考え方だ。

米メタ(ファイスブック、インスタ)はファクトチェックを米国内で終了。SNSでやりたい放題のトランプ氏とマスク氏の軍門に下ったものだろう。

アマゾン、メタ、マイクロソフト、オープンAI、グーグル、ウーバー・テクノロジーズトヨタ、フォード、GMなどがこぞってトランプ氏の就任式に寄付をした。

まるで、北米全体が4年間嵐が過ぎ去るのを大人しく待とうと言っているかのように感じる。少なくとも、逆らっても徳はないと思っているのでしょうね。

 

また、イーロン・マスク氏の暴論言いたい放題も一線を越えてきた。

言論の自由内政干渉か 根拠のない情報を拡散させメディアがそれを増幅させる。言論の自由を行使しただけだ、何が悪いと声高に言う。これは最早暴力ではないのか。Xというプラットフォームを所有してしまったマスク氏。トランプ氏もそうだが、親に常識や社会性を教えられなかった悪ガキのように振舞う。言動に一切責任は取らない。そんな人が、金や権限を持ってしまうアメリカ。どんどん無法地帯になっていく。

 

ディールといえばまだ理解はするが、度を越えた脅しとも言える。その結果トランプ氏や保守層へ迎合する国家や企業家が多数出てきた。まるで宗旨替えの人も多い。上記のように、トランプ氏や保守系の圧力に負けたケースも多い。

やりたい放題。マスク氏も図に乗っている。態度はどんどん暴力化し、権威や経済力を笠に着て上品さのかけらもなく、それに一切の美意識も感じられず醜すぎる。国際秩序は乱れ、環境破壊にブレーキをかける流れは急速に止まっていくだろう。

 

地球環境対策、LGBTQ、DE&Iなどの国際的枠組みに亀裂が入り始めているのは明らかだ。その震源地は明らかに米国であり、更にいちいち上から目線でディールを仕掛けるトランプ氏に対し不信を抱くと共に、親米でよいのであろうかという風潮が東アジア諸国だけでなく、新興国全体に徐々に広がっていくかもしれない。いや、既に始まっている。これは、親中の広がりをもたらし、世界は新しい色に徐々に変化していってしまうのかもしれない。経済状況が悪いままなら大人しくしているのかもしれないが、状況が好転したら影響力をお金という麻薬によって拡大していくのは間違いない。

前から言っているように、今年は荒れる。悪い方向に荒れる。恐ろしい流れの始まりになっていくだろう。自分たちだけはその流れに抗って生きたいと思う。石破さんのリーダーシップも重大な局面に入る。

 

時まさに、間もなくトランプ大統領の就任式が始まるタイミング。トランプ劇場の幕が開く。彼は昨日「米国をかつてないほど偉大な国にする」と言っている。偉大とは何なのか。少なくとも尊敬という言葉からは離れていくことは間違いあるまい。多くの協調の枠組みから離れ、世界のため、地球のために力を合わせて・・・というリーダーシップは失せ、足並みを乱す困った存在という、ストレスを生む病原菌のような存在に成り下がっていくのだろうか。

剪定は次の緑を願って行われる。
トランプ氏の剪定の後は再び緑で満たされるのであろうか。

 

 

 

新年に考える 運とは 祈りとは

心理学者の中野信子さんは言います。「他者を羨むと間違った運をつかむ」と。これはどういうことなのだろうか。何を求めているのかは一人ひとり違うはずです。しかし、他者を羨むとあなた自身を曲がった方向に連れて行きますね。同氏は言います。「今自分が何を一番求めていて、どうなったら満足で、そのためにどんなチャンスが必要か、自問自答してほしい。運は誰の上にも降り注いでいます。間違ったチャンスに惑わされず、求めるチャンスが下りてきたときにしっかりキャッチできるよう、自分の目指すものを常に明確にしておくことです」ごもっとも。

また、「運のいい人は、人の意見を鵜呑みにしない」といいます。新年に神社にお参りに行く方は多いと思います。多くの方が御神籤を買うでしょう。また、占いなどをまめにしてもらう、あるいは雑誌の占いをつい見てしまう方も多いでしょう。僕は人生で御神籤を買ったことはないし、占いなどはほぼ見ませんし全く影響を受けません。特に僕の運が良かったと言いたいわけではないのですが、幸せの判断は自分しか分からないのに、他者にその道を決めてほしくないと思います。

 

とはいえ、私は25年くらい前から同じ神社にお参りに行っています。え、矛盾してるんじゃない、と思うかもしれません。ちょっと違うんです。

今年も1/8に初詣に行きました。毎年空き始めたタイミングで行きます。元々初詣はいつまでに行かなければならないという縛りはないのです。毎年何かを祈っています。会社勤めの間は、お祓いもしてもらっていましたが、今はお参りするだけです。住所・氏名をちゃんと申し上げてから、祈っています。近年欠かさずに祈っていることは「世界平和」です。戦争や紛争は止めてほしいと心から願っています。あとはプライベートなこと。今年は昨年まで願っていたことがかなえられたので、その報告もしました。

「祈り」や「願い」は自分を正すことと通じます。「そのために君は何をするんだね?」と問われている感じがするのです。努力と成果がペアであるように。実際神主にお祓いしていただく際は、神主は「清水は大変努力をしています。助けてあげて欲しい」という主旨の祈りをあげるのです。僕は初めてそれに気付いた時、凄く納得したものです。

 

昨年は私個人にもいろいろなことがありました。年末にはガタが来ている自分に気付かざるを得ない出来事もありました。残った人生の使い方を考える今日この頃です。

お店のお酒を全種類制覇なんて言っている年齢か! と反省。
 @友人との忘年会

 

M&Aを常に視野に入れて事業を行う

事業ラインの事業部長など幹部の人は常に業績の推移に目を光らせる。もちろん、期初にコミットした数字を達成することが、大きな責任だからだ。しかし、それだけではない。中長期的にどのように成長または、事業構造を変革していくかに向き合っている。後者を考える場合、どれだけの方がM&Aを一つの手段として手の内に握りしめて日々行動しているだろうか。

例えば、事業部長にはビジョンがある。事業をどの方向に進めるのかだ。ほとんどの方は、例えば、中期経営計画を策定しても、製品計画やコストダウン計画、組織改革計画などにその範囲をとどめている。そして、その手段は手の内にある経営資源+αを前提として検討する。即ち、よく言われる「オーガニックな成長」を目指していると言える。しかし、それで激しい競争環境、市場の変化の中で、生き残っていけるだろうか。変化の速度が遅く小さすぎて後手後手にならないのだろうか。それでは「視野狭窄」と言われてもしょうがあるまい。

事業部長は常に「ノンオーガニック」即ち、自然の流れに身を任せるのではなく、意図的かつ大胆で強制的な手段を手の内に隠し持っていなければならない。それがM&Aだ。

日本国内企業の内部留保が12年連続で膨らみ、歴史上最も多い600兆円を越えている状況にあることを理解しているだろうか。更に、日本の低金利は皆さんご存じの通り超がついている。そして昨今の株高により、株式交換などの手段も取りやすいのだ。即ちM&Aという手段のハードルは凄く低い状況にあることを理解すべきだ。

 

そもそも、M&Aという手段を取る意味はどのようなものなのだろうか。少し整理してみたい。

1. 事業成長の加速

・新しい事業ポートフォリオを獲得することができる。自分で種まきして育てていたら何年かかるか分からない。それを瞬時に獲得できる。

・既存事業を短時間で拡大することもできる。特に顧客層がズレているとかの場合に特にメリットが大きい。即ち顧客を買うわけだ。

2. 技術・知財の獲得

・自社に不足している技術などを瞬時に獲得できる。

3. 人材を獲得できる

・昨今の人材不足で、採用して育てるだけでは時間を要する。キャリア採用を進めようにもなかなか優れた人材を大量に獲得できない。M&Aはそれを解決する。

4. シナジーを出せる

・強みが違うとか、互いに不足している技術を持っている、技術力と販売力の強みが逆だなどのメリットが出せる。または、スタッフなどを統合することでコストダウンが進むなど。

5. 競争力向上

・シェア争いをしている企業を買収することにより、低価格争いをする相手を減らすことができ、結果的に競争力が上がると共に損益が向上する。

大雑把に考えるとこのようなところだと思う。

しかし、注意しなければならないことがある。それは、M&Aを検討する際に夢を見がちなことだ。例えば、こんなシナジーが出るはずだとか、これくらいコストが下がるはずだ、という見込みのほとんどははずれる。それは短時間の浅いデューデリジェンス(買収前の調査)では分からないことがほとんどなのにも拘らず、理想的な期待効果を見積もり過ぎる傾向があるからだ。夢を見るように。

 

また、M&Aが上手くいかないポイントの一つは、勝手な見方だ。どういうことかというと、買収するサイドは、何かを得る(例えば上記)ためにM&Aを行うのだけれど、それだけだと、買収される側は何かを奪われるという立場になる。それでは絶対に上手くいかない。モチベーションが下がり、被害者になり、優秀な人材は流出する。M&Aのポイントは奪うのではなく「提供する」なのだ。相手に何を与えられるかを考えないと相手は逃げるのだ。そもそもM&Aが成立しない。これは盲点です。

もう一つ忘れてはならないことがある。多くのM&A入札で行われる。即ち、競争相手が存在する。一般的にM&Aはそう簡単に成立しない。相手が息絶え絶えで、救いの手を求めているなどという場合を除き、良い条件を引き出そうと駆け引きが繰り広げられる。その競争は激しく、勝ち残ることは相当稀だと覚悟しなければならない。何度も経験しやっと成就する感じのものだと理解した方がいい。

私も現役の時は4度M&Aを行おうとした。残念ながら全敗だ。ほとんどのケースが相手がファンドで、入札価格などの条件面で負けている。ファンドは買って売ることを前提としているのに比し、私たちは買って統合して事業成長させる立場で、難易度が高くかつ長期間の視座に立っている。その違いは大きい。短期間で売り逃げればいいという立場ではない。

また、競争の中、価格がどんどん積み上がるケースもある。もちろんどの程度の買収金額であれば何年で回収できるというシミュレーションを行っているわけだが、それが実現できない価格に吊り上がるのだ。ある方に聞くと、企業の多くは目の前にニンジンがぶる下がるともう少しだと勘違いして、どんどんつり上がるニンジン目指してジャンプを続けてしまう。その挙句、回収できない金額でM&Aすることになり、ビジネスプランは実現できず、数年後には高額の減損処理を余儀なくされる。私は、ある案件で吊り上がった金額に付き合わない決断を下し、途中で下りた経験がある。その時は、CFOから褒められたものだ。上記のように高掴みして失敗したケースが多かったからだ。褒められようが、私は残念でならなかったけれどね。

 

少々視野をずらしてみる。上記1.で事業ポートフォリオを獲得することを書いたが、その点を少し補足したい。そもそも事業ポートフォリオをすべて品揃えする必要を訴える幹部の多くは失敗する。事業の数があたかも成功を約束すると勘違いしている。シナジーのない事業を多く抱えて、一つ一つの事業の浮沈(その理由は様々で、自社でコントロールできないものがほとんど)が同期せずに動的に起こり続けることを想像し、対処し続ける能力を持っているかを考えてほしい。事業ポートフォリオは数の勝負ではない。どのように設計すべきかはよく考えてほしいものだ。

 

事業を任されている幹部は、「ノンオーガニック」な成長を常に視野に入れておく必要がある。そのセンスは自分で磨くしかない。マーケットを見る、自社の経営プラン実現に必要なものは何なのかを自分の視座を上げて考え続ける、などの行動を取り続けることが必要不可欠だ。

新聞に載っているM&Aの記事は、氷山の一角でしかない。世の中では毎日のように繰り広げられているのだ。知らないのはあなただけですよ。

何が必要なのか

組織の成長の話をしよう

2024年は悲しい出来事が多い年だった。世界の不確実性が一気に上がってしまった。現時点では収束する方向にない。2025年はどんな年になってしまうのだろうか。悲観的な気持ちが心の中で渦巻くけれど、せめてその不安を外に巻き散らかさないようにしようと思う。

 

今回は組織の話をしよう。企業で勤め実績を残せば、組織を任されるポジションにアサインされる。小さな組織で、かつミッションが明確で、市場の変化が少なければ、あなたのリーダーシップいかんで業績を伸ばすことは、それほど難しくないだろう。しかし、そうでない場合は様々な問題にぶつかり、成果はすぐ伸び止まるか下降していく。

組織がある程度大きくなり、事業ドメインや商品やミッションが複雑になり、マーケットの変化が激しかったり、競合との競争が激しかったりすればするほど、組織のマネジメントは難しくなる。そうなると、あなた一人のリーダーシップではその荒波を越えることは難しい。

大切なことは、組織自体の力をいかに発揮していくかだ。あなたが、ある事業を任されたとする。あなたの配下に、例えば商品ごとのサブリーダーが存在したり、事業を支えるスタッフが存在するとする。それらの人々の集団そのものが機能するかどうかが課題となる。即ち、あなたとサブリーダーたちが、どのように自分が作った境界を越えてコラボレーションできるチームに変貌させることができるかの問題になる。

あなたとサブリーダーたちのチームの能力と関係性が今後を決める。それはいわば経営チームだ。あなたはその経営チームを理想のチームに成長させなければならない。それができれば、各サブリーダーは将来リーダーとなり同様のチームを創り出すこともできるだろう。

リーダーであるあなたは何をすべきなのだろうか。それを考える前に、一つのトレンドを仮説として説明したい。それは近年の企業がおかれた環境だ。日本企業のエンゲージメントは他国に比しかなり低い(ギャラップ社のエンゲージメント調査で2023年も145カ国中最下位だった。これで4年連続)。更に、近年のトレンドとして、心理的安全性、DE&I(特に多様性を尊重される)、自律、コロナ禍などを経てコミュニケーションが空疎になっていること、業績圧力は相変わらず強いことなどがあげられる。これは何を誘引しているかといえば、それらが組織の遠心力となり、一人ひとりがバラバラになる傾向が強くなっていると言えるのだ。即ち、自分らしく個性や価値観を尊重して生きることが是とされるカルチャーに変わった。このトレンドが組織運営に与える影響が大きいと考えている。

リーダーはそのトレンドが作る組織課題を乗り越え、いくつかの行動を取らなければならないだろう。その一つが、組織の方向性を定めることだ。方向性とは、パーパス、ビジョン、戦略などだ。リーダーは経営チームとそれらを定め、合意し、責任を共有し、その実現にコミットしなければならない。言葉で言うのは簡単だが、それに苦労するリーダーは多い。経営チームが腹の底から共感し当事者意識をもって最善を尽くすことは簡単ではない。先ほどの遠心力が邪魔をするからだ。

リーダーはその遠心力を越える求心力を経営チームに与えなければならない。それは対話であり、傾聴であり、自己開示であり、愛情などインクルーシブな行動にかかっていると思う。リーダーはこれらに心血を注ぎ、信頼関係を築かなればならない。それが難しければ、外部からコーチを招きチームに対する集団セッションを行うなどの手段も有効になるだろう。

このアプローチは、チームに横たわるカルチャーを創り直すプロセスとも言え、実は最も大切だが難しいものだと理解する必要がある。手を抜いてはならない重要なプロセスだ。同時に、そのプロセスは永遠に続くと理解しなければならない。

即ち、例えば定例的に行われるチームの会議の目的が曖昧だったり、準備を怠ったり、発言しなかったり、当事者意識のない舐めた態度で臨んだりすることがあっては、求心力は一日で壊れてしまう

すなわち、二つ目のポイントは規律だ。組織に一定の緊張感を持たすことは、遠心力を放置しないために必要不可欠だ。一人ひとりが責任と当事者意識をもって行動するためには、チーム員各位が握るべき規律がある。経営チームは社員全員の模範となるためにどのような行動を取らなければならないかを、是非話し合ってほしいと思う。チームのCredo(価値観、信念、行動指針)を決めて書き下しておくのもいいだろう。

 

チームは、各人の困りごとを共有し助け合い、問題を乗り越え、意図的な楽観(問題は解決できるはず)を創り出さなければならない。経営チームに信頼関係ができ、一枚岩で、充実した時間を共有できている姿は、組織全員に伝搬する。安心感と自信が蘇る組織に壁がなくなり、コラボレーションが始まり、イノベーションが起き、成長が加速化し、全員のモチベーションが上がる

遠心力と求心力がバランスすると、組織は自律しつつ化学変化が強力になる。一人ひとりが触媒の役目をするからだ。

組織の成長はそのリーダーの行動力にかかっている。

一人ひとりがいかに素晴らしくても、
組織として最高のパフォーマンスを出せるとは限らない。

「AI時代の人材とは」HR変革の必要性

アメリカのOpenAIが12/20まで12日間毎日新しいAIや利用プランを日替わりで発表し続けた。これは正に怒涛の勢いだ。僕たちの住むこの世界はこんな勢いで変わり続けているのだ。この実感を持たないとビジネス実世界で生き残っていけないのだろうと痛感する。

 

そんな流れの中で、「AI時代の人材とは」という定義をちゃんとしているHR(人事部門)はどれくらいいるのだろうか?

先日「生成AIは私たちのビジネスや生活を変えている」という記事を書きましたが、大きな課題は、実際に仕事がどのように変わるのかを実感として知ることだ。それには世間でどのような先行事例があるのかを知り、現場がどんどん試行し知見を溜めなければならない。そしてごく近い将来はこうなるよねと先見性のある目で洞察することだ。その現場の洞察をHRが理解し、ということは人財育成はどうあるべきなのか、どんな人財を採用すべきなのかを考え抜くことが必要不可欠になるはずだ。従来のホワイトカラーのイメージとは全然違う人材像が浮き上がってくるはずだ。

 

12/18にIGPIグループ会長の冨山さん早稲田大学入山教授の対談を聴いたのですが、とても示唆に溢れたいた。そこから想像できる私のイメージを書いてみるとこうなる。生成AIなどの進歩で、意思決定者(事業部長や部長クラス)は現場からの大量のレポートや飛び交うメールを生成AIにすべて読ませ、概要とリスクをAIが報告するでしょう。そうしてセンシングした情報をベースに判断、指示、対話、コーチング、自らの行動(顧客に交渉に行くとか、リソースを増やすとか、リーダーを変えるとか)を決めることができようになる。即ち一人で今までより格段に多い量の仕事をこなせるわけだ。それはあたかも意思決定者のアバターがたくさんいるように機能し、それらの状況を把握し何を報告するかを判断し報告するいわゆる中間管理職が不要になるわけだ。さらに、その中間管理職は自分の利害で報告することと目をつぶることを選別していたりするので、そのことによって起きる齟齬やリスクもなくなる。即ち仕事の精度と生産性が相当上がることは間違いないと推察できる。

これは私の妄想だが、間違いないことは、もうそれに近いことはできるし、この通りのことは間もなく実現するということだ。これはたった一つの事例であって、仕事自体が大胆にかつダイナミックに変わり続けるのだ。

想像してみてください。そうだとするなら、採用基準も変わるだろうし、採用後の人材育成の方向も変わるはずだ。ホワイトカラーの仕事が変わるのだから、今までの価値観が通じないし、また、新しいリーダーを受け入れる側の企業カルチャーも変えていかなければならないのだ。変えないと上手く噛み合わないからです。

HRは経営戦略だとずっと言ってきだが、今まさに真剣に変革を考えるべきタイミングだと痛感する。真剣に向き合うことをお勧めします。

 

入山さんが、こんなことを言っては怒られるでしょうが・・・という前置きの後に言った意見が時代の変化を伝える。「これからは、私立文系は要らないと思う」(そんなことはないと思うが)

また、お二人ともこう言っていた。「生成AIを使うことによって、本を書く時間が1/3位になった」と。正に時代は変わったんだね。

僕のアバターはこんな世界に住んでいるのかしら

仮想現実と資本主義

期待がお金に変わる資本主義の世界

もそう、仮想通貨もそう。仮想現実のようにお金の価値が変わっていく。株などの投資をほぼやっていない僕は、なんというかその世界を嫌っている、そして恐れているひとりだ。そんな世界で生きたくないという価値観とも言える。

イーロン・マスク氏の資産は今のレートで約70兆円といわれる。日本の税収は2022年度で約72兆761億円。偶然にも同じだ。これがリアルと仮想の現実。金融資本主義の世界では、人間の欲は無限かもしれない。なんか、嫌い。

 

仮想通貨もバブルの真っ最中。ビットコインも過去最高値らしいし(動き続けているから何とも言えないが)、新しいミームコインという仮想通貨にもお金が流れ込んでいる。

そもそもミーム(meme)って何? 「特定のアイデアや行動、情報の断片が人から人へと模倣され、拡がっていく現象」といっても分からない。「文化的な『ウィルス』のようなもの。例えば、面白い画像や動画が、SNSでシェアされ、一気に広がることがありますよね。それがミームです」(copirot)だって。

例えば、DOGE(ドージ)コイン。犬の絵を元にした仮想通貨でインターネット上でジョークとして広まった。仮想通貨のキャラクターという意味だと理解した。DOGEコインはイーロン・マスクが広め、今ではテスラの取引にも使えるそうだ。このように、ミームコインはミームの持つユーモアや共感をベースに人と人が繋がる喜び、共感などから発したエネルギーが通貨に乗っかり拡がった、という感じなんだと思う。

 

いずれにしても、仮想空間で資本主義は拡大していると言ってもいいでしょう。ミームコインの時価総額は今時点で21兆円を超えているらしい。

価値がないものにまで価格やストーリーを付けるのが資本主義とも言える。でも、そんなものはいつバブルのように消え去るか分からない。そしてその運営者はユーザから糾弾され、逮捕されたりする。

 

資本主義は無限に拡大するわけ? そろそろ限界が来ているという考えがひたひたと拡がっている。僕たちの世界は、成長に限界はないという前提で回っている。企業もそう。ずっと成長する。それが課せられた義務とでも言うように。だって、社員の給与は増やしたいでしょ。そうしないと皆幸せじゃないし辞めちゃうでしょ。その通りではある。しかし、必ず成長は止まる

 

そもそも地球の限界が近いのではないか。環境問題は社会の中で常に置き去りにされてきた。争いは絶えず、殺し合いは続いている。自国だけ良ければいいという価値観は広がり、国連を筆頭に国際協調の枠組みは課題の大本を解決することができないままだ。

 

友人は、誰かのために、社会のために生きたいと職を変えた。競争や金銭的成り上がりの世界から一線を画して生きている。今後そういう人がじわ~っと増えていくのだろうと思う。行き過ぎた資本主義や市場経済の世界に生きたくはないとでも言うように。

上がった先に何がある?

生成AIは私たちのビジネスや生活を変えている

ChatGPTが世に出て2年が経過した。このブログを読んでいる人のほとんどは使ったことがあると思うが、先進国の中で日本は生成AIの利用者が最も少ないことが分かっている。一番多いのは中国だそうだ。

さて、なぜこれほどもてはやされているのか。これは何と言っても自然言語で対話ができるからに他ならない。コンピュータ独特の言語を使ったり、Googleとやり取りするときのように、キーワードblankキーワードなどと並べる必要もない。

これはいかに画期的かと言うと、私たちの会話に勝手に入ってくることも可能なのだ。スプニツ子!さんがこんなことを言っていた。LINEで友人とチャットをしてたら、パーソナリティーの違いから話が食い違い喧嘩モードのなることがある。どちらが悪いわけでもなく、思考の違いから食い違いが起きてしまう。そんな時にAIにやり取りをそのまま入力すると、このように対応したらと、アドバイスしてくれると。もし、LINEにchatGPTが実装されれば、返事の見本をリアルタイムに出してくれるようになるだろう。

既に実験的に行われているが、ということはChatGPTがメンターやビジネスコーチになってくれることができることを指している。自分のパーソナリティーを理解してくれるように、書き溜めたBlogやメールやチャットを全部AIに入力すれば、私のアバターが私に成り代わって、メールに返事を出してくれたり、LINEのやり取りをすることもできよう。私2号が勝手に私を演じてくれるわけだ。スケジュール調整もしてくれるだろうし、アポイントも取ってくれる。部下の指導も1on1もしてくれるだろう。直後にやり取りの要約を報告もしてくれる。これは、冗談ではない。もうそんなときが迫っているのだ。

先日友人がこんなことを話していた。彼の友人二人がポッドキャストでマメに発信している。ある時、一人が都合がつかず、その人は自分のアバターと生成AIで出演したと。即ちもう一人の人とアバターが会話をしてポッドキャストに流したわけ。全然わからなかったと友人は言っていた。その人たちはエンジニアではないのである。

 

仕事にChatGPTを使っていない人はどんどん使おう。「○○の要点を5点にまとめてパワポを作って」と頼めば3sec後には出来上がる。それを見て修正すればいい。「△△のデータ20年分をX軸◆Y軸■でグラフを書いて」例えばそんな感じだ。また既存の所有データベースと連結を許せば、もっといろいろなことができよう。「必要な分を計算して発注しといて」などもできる。こうなるとやたら手を動かすのが速い優秀な若手を1人雇った以上のことができそうだ。いわゆるBullshit jobは全部任せられそうだ。

以前に、仕事は「作業」と「創造」の二つに分けられると書いた。付加価値をほぼ生まない前者はAIに任せればいいのだ。時代は変わったね。

言うまでもなく、ChatGPTでなくてもいい。多様な生成AIが登場した。各々特徴があろう。使用料も様々。試すことが何より大切だと思う。

 

同時に頭をよぎるのがAIバブルがいつまで続くのか?だ。チップはインテルでもAMDでもなくNVIDIA一人勝ち。GPUへの投資はまだまだ続きそうだし、GAFAMなどのAI投資も益々巨大化しデータセンターへの投資も莫大になっている。来年には世界のデータセンターの設備投資は約70兆円になる予想だ。そんな右肩上がりがずっと続くわけでもない。

現状は日本企業は明らかに世界から遅れている。そんなデータセンター需要の超絶急増は日本では起こってはいないだろう(増えてはいるが)。電力も足りない。原子力発電は再稼働は細々だし、太陽光発電風力発電も置き場所が少ない。八方ふさがりで力技が通じない。もっと日本らしい取り組みができるといいと思う。

将軍アカシウス(ChatGPT)に対抗するルシアス(主人公)は登場するのだろうか。。