パラダイムシフト

パラダイムという言葉をよく聞きますね。思考の枠組みのことです。即ちどう考えるかの常識のようなものです。それがどんどん崩れてきています。

例えば、今回のコロナ禍。航空機の利用者を考えてみましょう。世界での年間利用者は昨年のデータはありませんが、恐らく40数億人でしょう。最近10年、毎年平均5%以上伸び続けてきています。これからも需要が旺盛なアジアや南アメリカを中心に平均6%以上伸び続けると言われてきました。だから、航空機会社はどんどん新機種を開発製造してきました。三菱重工MRJをリスク覚悟で開発した(開発中)わけです。それが今回のコロナ禍によって、世の中の枠組みが瓦解してしまった。まだ分からないものの、もしかすると航空需要は半減してしまうかもしれません。航空会社は投資を止め、リストラをするでしょう。私も身内に関係者がいるので心穏やかではいられません。こんなことを想像できたでしょうか。ボーイングアメリカ政府から資金援助を受ける有様です。

人の動きが一気に萎んでしまった。これによって何が起きるでしょうか? ビジネスマンにとってこのような想像力が非常に重要です。今年はコロナ禍と一緒にオイルショックが起きています。OPECとロシアの減産合意が破談になり、何とその2国以外も含めて増産に踏み込み、原油価格の暴落、恐らく関係国の経済も悪化するでしょう。例えばサウジはソフトバンクのビジョンファンドに6兆円以上投資しているわけですが、その投資熱ももはや冷めたでしょうし、いつ引き上げるか分からないし、そのようなオイルマネーリスクマネーは行き先を失うかもしれません。要するにリスクを承知で成長しそうな企業に投資をするケースが激減する(少し前からWEWORKやUBERの不調でその傾向は始まっていましたが)かもしれません。お金が動かなくなるということです。アメリカのシェールガスも先ほどの中東などの原油価格の暴落で、競争力を失い、近年リスクマネーを得てシェールビジネスを始めた企業たちは、一気に先行き不透明になるでしょう。

日本ではどうなるのでしょうか。日銀やメガバンク、更にソフバンなど大きなお金を動かしている企業の動静に注目ですね。世の経営者たちはどのような動きに出るのか? 楽観的な人はひたすらおとなしく終息を待っているかもしれません。強烈な危機感を持つ人は、先行して構造改革に踏み切るでしょう。一時帰休でお茶を濁しているように見える一方で準備をしているはずです。

あらゆる可能性を考えなければなりません。今までの常識は最早常識ではありません。正にパラダイムシフトが起きるのです。なぜ今まで通りと考えるのでしょうか? と常に問いかけ続けるのです。最悪の事態を想定してシナリオを書きましょう。

シェアオフィスがブームだった景色は一気に消えました。オフィスだって今までの半分でいいじゃないかと思うようになりますよ。

投資も一気に冷めるかもしれません。人手不足もありどんどんアウトソースしてきた業務は、逆に一気に内製化に振れるかもしれません。4月施行の同一労働同一賃金働き方改革関連法案)も従うとすると給与の見直しなども必要なのかもしれません。

こんな時は、今までだったら「そんなのバカげてる」と一蹴されたことを真剣に考えるべきです。誰よりも先にぶっ飛んだことを始めるのです。それができる企業がピンチをチャンスに変えることができ、できない企業が足並みを揃えるように衰退していくのでしょう。

それに日本は例を見ない少子高齢化です。右肩下がりが前提の世界です。日本の所得は先進国ではかなり低く、新興国がひたひたと迫ってきています。物価はめちゃくちゃ安く、外国人にとってはこんなコスパの良い国はありません。為替でもっとバランスをとるか所得や物価をもっともっと上げるかです。デフレ脱却を掲げた安倍政権は成果も出せずにいます。今までの枠組みで考えては解決策など出てこないでしょう。

これからの日本、いや世界で何が起こるんだろうか? 思い切り発想を飛ばして想いを馳せよう。他人事ではないのですよ。

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セミナーも急遽Webで。外出禁止令に備えておくべき時が来た。