カスタマーサクセスとカスタマーヘルスとは 

今日はカスタマージャーニー、そしてカスタマーサクセスカスタマーヘルスを学びましょう。

 

B2B企業にとって最も重要な視点は、顧客とのWin-Winの関係です。顧客との信頼関係を築き、顧客からのアドバイスをもらい、顧客の利用状況のデータをもらい、サステナブルにプロダクトなりサービスをアップデートし続けることでしょう。

企業にとって、そのような関係は何より価値があります。それがすべてと言ってもいいでしょう。無駄球を投げる必要もなく、顧客の離脱を減らし、新規顧客を開拓するマーケティングコストも減らすなど、投資効率を高められ、顧客のロイヤルティーを高め、無用な値引きなどをする必要がなくなり、高値で取引ができます。

 

顧客とのコミュニケーションを疎かにしてはなりません。カウンターパートだけでなく、エンドユーザからのフィードバックは、より大切な宝です。

 

僕が「カスタマーサクセス」という言葉に出会ったのは、Salesforceのイベントの時だった。10年以上前だろうか。同社との付き合いが始まり彼らをもっと知りたく参加した際のことでした。カスタマーサクセスとは、単に自社の商品やサービスを顧客に売るだけでなく、顧客がそれを効果的に使うことによってビジネスの成功などを得られるようにサポートし、顧客価値を最大化すること、即ち決して売りっ放しにしないということだろう。欧米では一種のフレームワークが明確化されていて、①導入する際の支援 ②定期的にフォローし教育など必要なサポートをする ③顧客が抱える問題を解決する支援 ④顧客のニーズを知り追加提案をし顧客価値を更に上げる という具合です。それぞれ①オンボーディング ②継続サポート ③問題解決 ④アップセル/クロスセル などと言います。 少なくとも当時の日本企業ではこのように整理されたものはありませんでした。

 

更に最近知ったのが「カスタマーヘルス」という概念です。HBR10月号ではこう表現されています。「カスタマーヘルスとは、カスタマーサクセスをさらに一歩進めた概念で、データやスコアリングをよりいっそう重視するものだ。カスタマーヘルスは、ネット・プロモーダー・スコア(NPS)といった標準的指標に、顧客エンゲージメントに関するデータ、製品の利用状況に関するデータ、価値評価を組み合わせる。」「このように広範囲にわたるデータソースを統合することによって、多くのステークホルダーに関与する顧客関係を包括的に捉えることができる。たとえば、経営幹部、意思決定者、エンドユーザーのそれぞれが製品をどの様に評価しているかを理解できるのだ。」

特に近年のITサービスはクラウドベースのものが大半で、データは顧客の承認さえあれば簡単に利用できる。皆さん個人でも無条件にデータの利用を承認しているでしょう。データを読み解くだけで、ヘルススコアが低い顧客は解約リスクが高いとか、満足度が低いとかがかなりの確度で理解できます。それにより、サポートを提案するとか、追加の提案をする(アップセル/クロスセル)などに結びつけるわけです。

以前にも書きましたが、狙うべき顧客セグメントは①財布が大きい(潤沢な予算を持っている) ②今後成長が期待できる ③既にユーザである の3つしかありません。②は今は予算が少ないけれど、今から顧客になっていただき長い付き合いができれば、ビッグユーザになるだろう、ということですし、③は既に顧客を理解しているわけですから、新規顧客にアプローチするよりマーケティングコストをかけずにアップセル/クロスセルがしやすいわけです。

セールス/マーケティングの大原則は、顧客と長い付き合いをするということです。そのためにはWin-Winの関係を作り、維持することです。

 

少し視野を広く見てみます。「カスタマージャーニー」という言葉はご存じですか。この言葉も昔はありませんでした。顧客が商品やサービスを認知し、購入し、利用するプロセスを「旅」に例えてそのように言います。よく営業部門ではそのプロセスを管理し最適化するよう上司が支援したり、営業予算の管理という切り口で利用したりしています。実は、カスタマージャーニーの最終段階は顧客による評価なのです。良い評価をもらい、その体験を他の顧客と共有したり提供者にフィードバックしたりするものです。そこまで到達するから、そのデータを次の戦略やアクションに繋げられるのです。

 

先ほど書きました「カスタマーサクセス」と「カスタマーヘルス」は「カスタマージャーニー」という文脈の中で捉えます。顧客との関係を俯瞰的・客観的に見ることによって、ビジネスをより成熟させることができるのです。

日本企業はこのような取組を軽視しているようです。実は大変重要な取組だし、今やデータは簡単に手に入り分析できるのです。やらない手はないし、早くトライし知見を溜めるべきです。

メトロポリタンの象徴も成熟している。街が繋がり新しい価値を生む。
ビジネスもそうあってほしい。