場数という戦略

ビジネスパーソンとして成長するとか、スポーツ選手として強くなるという遷移(トランジション)・成長プロセスに有効なものに「場数」があります。いくら研修を受けても実際コンペに参加しなければ経験できないことがありますし、いくら素振りをしてもバッターボックスに立たなければ、体が覚えないことがありますね。緊張感やピッチャーとの駆け引きなどもそうですね。

怪我を恐れて試合に出ない選手が上手くなるでしょうか? あり得ませんね。ビジネスでも座学やコーチングで学べないことはたくさんあります。腹を括る経験をたくさんすると何も怖くなくなります。躊躇せずタイムリに行動できるようになりますね。

一方で、失敗を恐れる上司がいます。プロジェクトを若手に任せると失敗し顧客の信頼を失ったり、大きな損失を出すのではないかと、恐れるわけです。そうなると、経験豊富なベテランだけに機会が回っていきます。失敗した時に、自分の失点になることを恐れる上司もいるでしょう。そういうリーダーの下にアサインされた若手は不幸です。いつまでも重要なポジションの仕事を任されないわけですから。

 

上司の権限の一つが機会を与えることです。言い方を変えると、戦略的に機会を設計ことです。実は組織の成長に大変重要な価値観です。成長に欠かせない戦略なのです。部下の成長の加速に不可欠なのが戦略的なアサインメントなわけです。階段を上るように、難易度を上げる、多様な経験をさせるなどを、部下の能力や特長を理解した上て、設計し実行するのです。これは上司の重要な仕事の一つです。頭では理解するものの、実践できない(していない)上司が多いと感じます。

組織の成長には人材育成(拡大して言うならば、採用~育成~リテンション)が欠かせませんし、人材育成には戦略的なアサインメントが欠かせないのです。

しかし、現実的には、戦略性のないアサインメントや、リスクを恐れた囲い込み(異動のチャンスを避ける)などが横行している可能性がありますね。これは、退職者増などによって透けて見えます。上位上司やHRはよくフォローした方が良いと思います。

 

秋と太陽