関税とはどのようなものなのか。私も含め多くの人はよく分かっていないと思います。少し整理したいと思います。
何かを輸入する際は、輸入者が税関に輸入申告をします。その際に関税が計算されます。関税の支払いが完了し、輸入許可が下りると保税地域から貨物を引き取ることができます。
即ち外国に発注し既に保税倉庫に到着している時に関税を支払い、支払った時点で貨物を引き取れるということですね。
その際、一般的には輸入者に替わり通関業者が関税を立て替え、後日輸入者が通関業者に支払うそうです。
当たり前ですが、その商品は関税分だけ高く輸入者がコスト負担をし、それが消費者に届く間の中間業者が利益を乗せ、消費税を支払い、最終的に消費者に届きます。ということで、結果的には関税が上がれば、その分以上に消費者が負担することになります。
今回トランプ次期大統領が対中国などに対し関税の一律上げを宣言していますが、その意味は何にあるのでしょうか。貿易赤字(2023年で7798億ドル:約1兆1800億円)を解消するためと言われています。その金額はアメリカの経済規模からしたら大したことはないとも思いますが、トランプ氏はそれを問題視しているわけです。
関税上げがアメリカにとってメリットがあるのでしょうか。もちろん、高くなった輸入商品を買う動機は減るかもしれません。同じ商品が国内産が同価格で売っている場合はそうでしょう。しかし、関税が上がろうが国内産よりまだ安価、また国内産がないとか少ない場合は買わざるを得ないわけで貿易赤字の解消にはなりません。更に貿易赤字を解消するためには、結局イン・アウトのバランスを変えればいいわけで、輸出を増やせば良いのですが、今回のような関税上げは恐らく相手国が報復関税を課すわけで、アメリカにとって輸出を増やす障害になるはずですね。
消費者が直接輸入物品を買うケースだけでなく、部品や半完成品を輸入しアメリカで最終製品にするケースは、国内製品の価格も上がることになります。そうなれば、今インフレで国民の生活が厳しくなっているアメリカにとって、消費者の不満は益々大きくなるはずだと言えます。
そんなことを考えると、トランプの政策は国民にそっぽを向かれるのではないかと感じます。それに気付くのは数年後なのかもしれませんが・・・
NATOに対する負担減や地球環境問題の無視、ウクライナ、イスラエル、ロシアなどの戦争長期化、そして関税をきっかけにした貿易戦争・・・ 来年は益々不安定な年になることは間違いありません。