ハンズオンと新しい経営学を

緊急事態宣言が解除された以降、かなり日常を取り戻しつつあります。それはいろいろなところに表れますね。皆さんもお感じの通り、電車のラッシュが感覚的には7割がた戻ったとか、週末の車の渋滞が昔に戻ったとか・・・ 私が先日気付いたのは、新聞。折り込み広告がほぼ昔の量に戻ったのと、旅行社の全面広告が出始めましたね。この辺がマーケットの変化をよく表していますね。最近東京の感染者が再度増えつつありますが、一人一人は細心の注意を払い続けてもらいたいものです。企業も活動にネジを巻き始めるとともに、職場クラスターを絶対に起こさない覚悟をもって、対策を施してほしいと思います。

 

アメリカは1960年代以降日本の成長論理を学び、それを読み取られ1990年前後に完全に彼らのオリジナルの経営手法が日本のそれより勝り、潮目が変わりました。ITを活用した経営改革が必ずその中心にあり、ERPの台頭、流通革命やeコマース、少し前のインダストリー4.0等、実はその中心に経営論を考え抜く学者やボストン・コンサルティングなどのコンサルが存在していました。彼らが提唱する経営論の変革がアメリカを支え、新しいビジネスモデルのほとんどはアメリカから起こるほど、劇的にアメリカは成長してきたのです。


僕たちは、それら新しい経営論を勉強しなさ過ぎる。差は開く一方。もっともっと学ばなければなりませんね。それら新しい経営学を網羅的に教えるのが早稲田の入山教授だったりするわけで、僕はもっともっとHBRや書籍が売れてほしいと願っています。


1990年代の日本の停滞。止まったように旧態依然とした経営手法。その間世界の事業改革のメガトレンドが一気に進み、遅れた業界は完全に置いて行かれました。

 

会社が経営危機に陥っても、そこに働いている人たちは「自分たちはやるべきことをちゃんとやっている」と思い込んでいるので危機感を持てないケースが多いと感じます。機能別の組織が肥大化し、顧客や競争相手即ちマーケットで何が起きているのかに鈍感になる。それが自分は問題ないという視野狭窄を生んできました。経営幹部のハンズオンも足りず地政学的変化やテクノロジーの進歩にも感度が薄い気がします。IPAはいろいろな調査研究で(経産省も同様に)日本の企業のDX化の遅れを問題視しています。その底流には危機感の欠如が大きくのさばっている気がしてなりません。そこにこのコロナ禍。企業は今までの延長線上には成長など全く描けません。もともとそうなのに目をつぶってきました。見たくないものは見えないのです。しかし、今直視せざるを得なくなった。平時に変革を続けられる企業は残念ながら稀です。だからこそ危機感がそのエネルギーになるはずです。企業にとってはある意味このコロナ禍がチャンスなのです。

 

多くの産業セクターで生死の選択を迫られる企業が多発するでしょう。国内海外ともに今までのやり方で営業活動すらできないのです。この状況は相当長く続くでしょう。ワクチンが市場に行渡るまでには数年かかるでしょう。新興国も含めた渡航の完全自由も相当先です。今までのやり方ではトップラインは戻りません。延命させることと成長させることとは設計思想が違います。企業には両面必要です。これから何が起こりえるのか、ホラーストーリーも描かなければなりませんし、どこにどのような機会があるのかに想いを巡らせることも必要なのです。

 

今だからこそ、新しい「晴耕雨読」を。企業における「耕」とは、一言でいうと「ハンズオン」が大前提ですね。ハンズオンと新しい経営学を学ぶことの両利きが必要不可欠だと思うのです。

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旬をいただく。佐藤錦は日本の象徴的果物だと思う。桜好きだからそう思うのか?