柔軟な働き方がもたらすギフト

柔軟な働き方を決める要素はどのようなものだろうか。
例えば、勤務時間、勤務場所、使うITツール、考えるためのフレームワーク、フォーマットや承認ルールなどなどを思い浮かべるかもしれない。それらのものがとても柔軟な組織と、縛りがきつい組織がある。前者の場合は、自分なりに何が良いか調べたり、試したりしながら、個性や自分らしさを発揮できるものを決めていくだろう。即ち、組織としては多様性が活かされていくわけだ。
一方後者は、言い換えれば宛行扶持(あてがいぶち)だ。与えられたものを使うしかないわけだ。創造性も個性も多様性も発揮できない。もちろん、人によっては文句を言いながら・・・
 
さて、皆さんはどちらを好むだろうか? もちろん前者のほうがクリエイティブなカルチャーになりそうだ。しかし、もしかすると後者のほうが何も考えなくて済むから楽だと感じる人も多いかもしれない。
 
私は前者の組織を好むが、問題もある。それはリスクだ。例えば、いろいろなソフトを勝手に使えばサイバーセキュリティーのリスクは増すし、いろいろなフォーマットが飛び交えば、生産性は下がるだろう。
 
そこで考えどころは、ノンネゴシアブル(議論の余地なし)な統制はどこまで行うべきかだ。言い換えれば、これだけは守ってくれというボーダーをどう決めるかだ。私はここに組織やトップの個性が出ると感じる。やりすぎれば組織は硬直化する。何も統制しなければ、混乱するのは自明だ。
 
ちょっと待て、考えてみるとこの点を真剣に考えている人を聞いたことがない。しかし、組織の文化を決める重要なポイントだと思う。統制は積み重ねられていく。減ることは少ないものだ。歴史の永いレガシー組織は過統制な可能性が非常に高い。当然クリエイティビティーは失われてきたはずだ。どうだろう。かなり当たっているのではないだろうか。
 
自分の組織を見直してみよう。一度ゼロクリアして統制を緩めてみてはいかがだろうか。これは勇気の要る実験かもしれない。社員のモチベーションやクリエイティブティーに変化が出てくる可能性が高いと思う。
 
実は、これに関連した実験が2010年に労働経済学者のマイケル・ハウスマンによって行われている。結論だけ言うと、宛行扶持のツールを使っている人達と、自分好みのツールを探して使っている人達を比べると、後者の方が離職率も欠勤率も低く、生産性は高かったのだ。これはツールの使い方が問題なのではなく、彼らの方がマニュアル通りに仕事をせずに、自分なりに工夫をして問題を解決し、高い生産性を出し、それに満足感を感じていたことが分かったのだ。固定的な枠組みを飛び出すことができるしなやかさを発揮し、各位が最善策を探していく。その多様性を組織が許容するなら、それがより良い策として組織としてアップデートされていく。その柔軟性が組織に進化をもたらすと考えられるのだ。
 
さて、試してみたくなりましたか?

東京の夜も捨てもんじゃない。桜田門から麻布十番まで歩いた夜。
一緒に歩いてくれる人がいればもっとクリエイティブな夜になるんだけどな。