モヤモヤを受け止める・受け流す… ことは現代人に必要な能力

「モヤモヤ」を取り去ること。即ち、気持ちがクリアになることはWellBeingにとって非常に重要なことだと感じる。チームが霧の中で彷徨っている時に、まるでトンネルの先に光が見えたときの様に、まるで解が見えたように視界がクリアになっていく。そんな議論や対話をリードするのがリーダーの使命とも言える。

しかし、そうならない時も多い。いや、そうならない時の方が多いだろう。物事には答えが存在し、不確実な中でもあっという間に答えを見出し、さっさと行動に移せる人を僕たちは評価しがちだ。確かにビジネスの世界はスピードを求められる。分からないことだらけで、正解など存在しない世界の中で、さっさとたぶんこうだという解を見出し試してみることでしかトンネルを抜けられない。失敗を恐れずチャレンジしてこそ未知の成功を手にすることができる。しかし、現実はそう簡単にはいかない。

僕たちの脳は「分かりたがっている」と言われる。脳は今まで学んだこと、経験したことを総動員して「分かる」状態にするよう悪あがきする。これは生物の本能らしい。僕たちの経験してきた教育は、教科書やフレームワークによって答えを見つけスッキリする状況になるよう手助けする、とも言える。

しかし、教育通りいかないことの方が多いのが現代の環境だろう。考えても答えは見つからない。ロジカルに解けない。だから悶々とする。それが実に不快になってくる。そんな毎日を送るのは実に辛く、とにかく速く抜け出したくなる

今、そんな僕たちに求められる新しい能力がある。分からないものは分からないまま、悶々とした状況のまま耐える能力だ。曖昧な状況を受け入れ、同時に好奇心を保ち、むしろそれに向き合い、楽しみ、考え続ける能力だ。それをネガティブ・ケイパビリティと呼ぶ。

悶々とし続けることは、能力がないわけではなく、悲観する必要もなく、批判される筋合いもなく、それを受け入れ飲み込むのだ。何とかしなくちゃともがいたり焦ったりせず、何とかなると自分に言い聞かせ、ベストな解などないがベターな解は必ず見つかると信じることだ。一種の「自己効力」と言ってもいいだろう。逃げ出す必要なんてない。堂々と向き合ったり、受け流したりすればいい。葛藤を楽しめばいい

それが、現代人に必要な「柳」のようなしなやかさなのかもしれない。

ネガティブ・ケイパビリティ」 実に力強い能力だ。

しなやかさは図太さとは明らかに違う。@大鳥神社(目黒)