強みは自分では気づきにくいもの

先日こんなことを偶然知りました。

日本の国土面積は約38万㎢で世界61位に過ぎません。いわゆる小国です。しかし、領海とEEZ排他的経済水域)を合わせると約447㎢となり世界6位の海洋王国になるのです。それに、比較的大きな離島は6,850(小さな島も入れると1.4万以上。ただし有人は250ほど)もあるのだそうです。

ほとんどの方にはこの認識はないでしょう。もちろん私もその一人です。僕の疑問は、「日本はこの強みを活かしているのだろうか」です。例えば、日本のEEZ・大陸棚には石油、天然ガスメタンハイドレートなどが存在すると言われていますが、それを産業として活かしてはいません。先日出張した新潟ではかつて天然ガスの採掘が盛んだったわけですが、公害やコストの問題、更にはもしかするともう枯渇したのかも知れませんが、少なくとも今では聞きませんね。もちろん、コストや乗り越えるべき技術的課題などもあるのかもしれませんが、それを乗り越えるチャレンジは聞きません。

今回はその海洋王国の課題を論じるつもりではありません。

 

私の視点は、「実は強みは自分では分からない」という仮説です。本当は仮説ではなく、実感です。皆さんは自社・自組織(または自分自身)の強みを理解していますか?私も昔こういう経験をしました。他社に努めている友人から私が勤めていた会社の強みを指摘された時、初めて「そういう見方もあるんだ!」と驚いたのです。彼は「そんな会社は他にないんだよ」と言い、僕はなるほどと頷くしかなかったことを覚えています。私もクライアントに投げかけますが、大抵在り来たりの答えしか返っていません。私がこういうのもあるでしょうと指摘すると、そう言われてみれば…という反応を示しますね。

これは「あるある」で、自分のことは案外分かっていないという典型というべきエピソードです。自分のことは客観的に見ることが難しいし、経験が深いバイアスを作ってしまっているのですね。たとえ、鏡に写る自分を見てもそこに映るのはいつもの自分でしかなく、新しい発見や客観的な評価はできません。人間はそんなものです。だからこそ、自分の映るビデオを観て発見をしたり、コーチの指摘で開眼したりするのですね。

 

ここで問題です。客観的な価値観で強みを発見・整理するチャレンジは実現できるでしょうか? 難しいですよね。まず、固定観念をいかに外すかですね。創造力の問題ですが、いろいろとチャレンジする価値はあると思います。例えば、自分が他者になり切ったつもりで自分のことを見つめることです。競合他社から自社のことをどう見るかを想像するイメージですね。それから、マーケット全体を俯瞰して自社のポジションを客観視するというアプローチもありますね。視座を自分から離して考える感じです。上空1万メートルから見下ろすなどと私は表現したりします。また、全然違う人の目を想像するというアイデアもありますね。例えば、アカデミア・大学教授から見たらとか、就職活動中の学生から見たらとか、経産省から見たらとか、海外の〇〇から見たらとか、バイアスのなさそうな外部の視点を想像するのです。そういうアプローチがクリエイティビティを発揮するのにとても有効なのです。物体を見る時に、正面から見るだけでなく、真上からとか、裏からとか、更に視点を変えて、炎天下でとか、夜中でとか、風呂に入っている時にとか、それこそ創造力を思い切り飛ばしてみることと言えば分かりやすいかもしれませんね。

残念ながらクリエイティビティはかなりネイティブな能力だと感じますが、強みを考えること位なら訓練で誰でもできるようになると思います。

 

新規事業開発を考えたり、自部門の経営戦略を考える時に必要不可欠なのが、強みや差別化要素ですよね。元々具備してもいない能力をベースに戦略を立てても実現可能性など乏しいに決まっています。競争優位性がないのですから。もちろん、それを買収によって獲得するという手段もあり得ますが、その場合は既に持っている強みにそれを足すことによって誰も持っていない独特な強みを生み出すことが前提になります。ちゃんと考えれば分かるはずですよね。

クリエイティビティにもいろいろありますね。こっちは僕には無理(涙)@新潟