二面性のパラドックス

パーソナリティーには二面性が存在するという話をしたいと思う。近年いろいろな学びがあり、こう考えるようになった。20年以上前に気付いていたら、部下のマネジメントや育成、友人との関係なども変わっていたかもしれない。

強みと弱み、長所と短所、ポジティブとネガティブなど対極的な二面がある。個人個人のパーソナリティーはそのどちらかに偏っていると捉えがちだ。しかし、それは違うと思う。僕たち一人ひとりはその一見相反する個性の両面を同時に有している。その瞬間瞬間でそのどちらが出るかの問題なのだと理解した方が良いと思っている。

例えばこんなシーンを想像してみたらいいだろう。とてもエネルギッシュで活動的で自分の意見を明確に発信し、熱意に満ち溢れている同僚がいたとする。とても魅力的に見えますよね。しかし、もしかするとそのような光の陰に、他者を突き放す一面が隠れているかもしれない。例えば、気分屋で他者の反応が悪いと傲慢になってしまうかもしれない。怒ると大きな声で怒鳴るかもしれない。とても前向きだと思った次の瞬間には苛立っているかもしれない。小さな失敗を許さないかもしれない。これらはとてもよくある表と裏のシーンだ。

もう一例をあげると、いつも自信に溢れていて、プレッシャーを感じさせない安定感があり、リラックスして他者に共感を示し、いつも落ち着いている人がいる。周りの人たちは安心して付き合うことができそうだ。しかし、このようなパーソナリティーの人は、マイペースで他者に耳を貸さない可能性が高い。

こんなパターンもある。すごく勤勉で良識的でルールを守りPDCAを確実に回すことができる信頼性の高い人がいる。とても頼りになりますよね。その反面、マイクロマネジメントで仕事を任せることが凄く苦手で、柔軟性が乏しく変化も嫌う可能性が高い。これもあるあるだ。

これらは一例に過ぎない。人間はこういうものなのだ。いろいろなパーソナリティーの二面性は極端になると仕事にも悪影響を与える。一見素晴らしいけどストレスがたまると豹変するなどだ。

キャリア採用(中途採用)する際、面接で慎重に吟味したとしても、隠れた一面を捉えることは非常に難しい。できることは、二面性のパラドックスの存在を理解し、リスクを想像することしかない。もちろん、面接の中でその仮説を検証するための質問を繰り出す技量があればそれに越したことはないが、短時間のやり取りでは困難だろう。採用してからよくフォローすべきだ。他のアイデアとしては、試験採用的に有期雇用する手もある。

もし、皆さんの友人が二面性のリスクを顕在化させていたらどうしますか。何も指摘しないことが優しさと考える日本人が多いのは残念な事実だ。しかし、友人ならば指摘すべきですよね。友人の為です。それが腹落ちできれば「意志さえあれば行動は変えられる」のだから。それが長い人生の中の大きな成長のきっかけになる可能性が大きいのだから。

こんな季節になってしまった。季節は変わり始めると一気呵成に変わっていく。
はは、毎年同じことを言っている気がする。人生はそんなものなのかもしれない。
明治神宮