Wellbeingのヒントその2

Wellbeing for Planetの石川さんの話をもう少ししましょう。僕が考えなければならないなと思ったテーマは、企業と個人の関係です。そのような切り口で考えたことはなかったのですが、とても重要なテーマです。企業という一種の人格と、そこに雇われている個人はどのような関係なのでしょうか。

僕は昔からそこにある大切な価値観はロイヤルティ(loyalty)、即ち愛着とか信頼関係とか帰属意識、忠誠心だと考えてきました。部下やチームには仲間意識を感じるよう振舞ってきましたし、皆その価値観を大切にしてくれていたと感じています。

(注)ロイヤリティ(Royalty):権利あるいは権利の使用料を示す、と似ていますが別の言葉です。

 

彼は、企業が従業員をどう捉えているのか、は時代と共に変化していると指摘します。即ち

Human Resource 人的資源

Human Capital 人的資本

Human Being ひとりの人間

というように変遷してきたと言うのです。それに伴って、それらの段階で従業員をどのような対象と捉えてきたかというと、

Well-Manage 管理の対象

Well-Invest 投資の対象

Well-Being 良く在ってほしいと願う対象

なるほどね。今、正に人的資本経営とか言って、人に対していかに投資をしていくかが経営の中心に置かれようとしていますが、実はその先には従業員を一人の人間として捉えて、皆が良く在るように、即ち心も身体も社会的にも良い調子でいてほしいという願いが込められなければならない、というビジョンが必要だということなんですね。③が土台にないと企業と従業員の信頼関係が成熟しないということなのでしょう。サステナブルな成長、即ち企業も従業員も双方成長し続けるという関係にならないということなのでしょうね。いい話ですね。

最近ビジョンに従業員のウェルビーイングを謳っている企業も増えましたね。理念としてはとても腹落ちするものですね。

 

もう一つ、国連が発表しているウェルビーイングの話をします。Forbesに書かれていたことですが、研究によりウェルビーイングに影響を与える要因は次の6つだと想定できると指摘しています。

1.一人当たりの国内総生産GDP)

2.社会保障制度などの社会的支援

3.健康寿命

4.人生の自由度

5.他者への寛容さ

6.国への信頼度

です。一方で、ギャラップ社が約150の国や地域で調査したものをベースに、「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」という研究組織が「世界幸福度報告書2023年度版」が発表されました。日本は137カ国中47位で、G7では最下位です。(いろいろな調査がG7中ビリで残念ですね)

先ほどの6つの指標を見てください。ウェルビーイングと幸福は少々違いますが、近い考え方です。ちょっと乱暴に考えると、日本は1.2.3.は間違いなく世界のトップランナーですよね。そんな調査はないものの、4.5.6.が相対的に劣った結果、幸福度が低いと言ってもいいのかもしれません。いささか強引ですか(笑)

例えば、4.人生の自由度を考えると、日本人は自分を縛っていると思いますね。家を継がなければならないとか、土地を守らなければならないとか、部長はこうあらねばならないとか、男はこうあらねばならないとか、お金はないわけではないのに不安で使わないとか、時間を有効に使っていない人が多いとも感じますね。会社や上司に忠誠を尽くすなんて言うのも自分を縛っていると考えられます。何度も転職したり、長期間休暇を取って世界一周旅行に行ったり、休職して大学に戻ったりなどという人は日本にはほとんどいません。本当はもっと自由なんだ、と気付くべきですね。前にウェルビーイングには居場所の多さが大切という話を、同じく石川さんの指摘として書きましたね。それも自由度の象徴なんだろうと感じます。

5.他者に対して寛容ではない傾向もありますよね。昔からムラのルールを守れない人を排斥したり、ネット社会においても自分のことはさて置いて、他者を攻撃する人はたくさんいます。まるでストレスを抱えているように。内向きで人種偏見もまだまだ残っているようにも感じます。

6.国への不信感も強いですね。信頼されない国も問題です。GDPは高くてもリーダーシップに欠け、透明性に欠け、為政者の傲慢ぶりは度を越えているし、かといって信頼に足りる他の候補者もいないという、政治の低迷。国を何とかしたいという志を持っている人自体が凄く少なくなった気がします。日本では近年、抗議デモを行う人も激減しました。政治に対する参加意識の欠如の表れでしょう。地方選が始まりましたが、応援したくなる候補者はいないなんて寂しすぎます。多くの人は、新聞も読まなければニュースも観ない。これでは国を信頼するわけがないですよね。

大切なのは、社会への参加意識や、自分がどんな国に暮らし、自分にはどのような責任があるのかを考えたこともないという、オーナーシップの欠如が原因なのかもしれません。学校教育が悪いなんて言っている場合じゃないですね。自分の家庭を思い出してみましょう。私も決して偉そうなことは言えません。

 

ウェルビーイングには他者との良好な関係や社会とのつながりが最も重要だと痛感します。即ち、自分の行動如何なのですね。

皆さんは、どのように自分の行動を変えますか?

ソメイヨシノの次は八重桜。春はまだ続く。
天気の良い日は、たっぷり陽を浴びよう。
それもウェルビーイングに繋がりますね。