FeedbackとFeedforwardを上手く使う

暑い日が続きます。関東の梅雨明けは近そうです。

 

「フィードバック」の話は以前にもしましたね。今日はそれを少し拡大して話を展開したいと思います。

フィードバックとはそもそも既に起こった過去のことに対して、評価なり反省なり振り返りなどを行い将来に活かす考え方です。例えば360度評価などもフィードバックですね。私が以前に書いたことは、周りの人からフィードバックもらうことの大切さでした。特に日本人は、フィードバックをもらうことが苦手だと思います。特に男性性の強い人は受け取ることが苦手で、素直に対処できません。とても前向きな指摘だろうが、そんなことはない…とネガティブな反応をする人が多いと感じます。しかし、フィードバックはとても貴重です。自分と相手との間に信頼関係があるならば、積極的にフィードバックをもらうべきだと思います。ほとんどの場合、自分からキックせずに相手から自然とフィードっバクをしてくれるということはないと思います。これも日本人の奥ゆかしいところですね。「あなた○○ですよね」など言うのはとても不躾だと思っているのでしょう。であるなら、「私のさっきの◇◇どう思いました?」と自分から投げかけてみてはいかがでしょうか。そのフィードバックはあなたの未来にとても大切な気づきを与えてくれるでしょう。“今だ!”というチャンスを逃さないで自分からキックしてください。その際大切なことは、先ほどの信頼関係です。即ち二人の間に心理的安全性」が構築されていることです。「心理的安全性」は近年よく言われるようになったことですが、皆さん「耳タコ」だよと思っている方も多いと思いますが、多くの方は舐めていると思います。とても大切な概念です。人間関係に「心理的安全性」がなければDEIも存在しませんし、コラボレーションやイノベーションは起きませんし、利他的な行動で満ち溢れるなどということもないでしょう。もう一つ大切なことは、折角もらったフィードバックはポジティブとは限らないことです。当たり前ですよね。多くの方はネガティブと受け止めてしまうかもしれない指摘は、とてもあなたの人生にとって貴重なはずです。人間は利己で溢れています。勝手に自分を美化し、自分の行動は理解されていると勘違いしています。真に理解されているなどということはないのです。なぜなら、皆さんは周りの人たちに真の自己開示ができていないからです。愕然とするようなフィードバックをもらったときに、あなたはそれをクリアな心で受け止められますか? 「え? そんな風に受け止められていたんだ」と驚くだけならまだしも、相手を恨んだりするようなことにもなりかねません。「狭量」が露呈するわけです。その時点で自らの大きな反省材料だと気付くべきですが、多くの人はそう思わないでしょう。申し上げたいのは、フィードバックはあなたとは別な目で見た鏡に写った正しいあなたの姿だということです。あなたの思惑通り相手が受け止めるなどということ自体が珍しいと気付くべきです。それに気付いたことだけでも、とても有効な経験をしたと受け取るべきです。「受け取る力」は大変重要な人の器です

フィードバックは積極的に受け止めるべきですし、それは多い方がよいと思います。私はそんなことすら最近になって気付きました。もちろん、フィードバックはある程度頂いていましたが、決して積極的に取りに行くことはなかったですし、たまたま頂いたフィードバックも素直に受け止められませんでした。もっと、若いときに気付くべきだったと反省しています。

 

さて、今回の話の展開は、もう一つフィードフォワードです。先ほどの過去に起きたことを対象にする「フィードバック」と違って未来に対するアドバイスです。将来成功を勝ち取るために何をすべきかなど、前向きな議論をすることでもあるわけです。過去は変えられませんが、未来は自分で作れますね。それを対象にすることはとても前向きですし建設的です。

私は、コーチングの際クライアントにこんな質問を投げかけます。クライアントがあることを成功させたいと悩んでいたとすると、「それを成し遂げるために効果のあることを30個挙げてください」というように。多くのクライアントは数個で手が止まります。やはり固定観念やバイアスがあるからでしょう。勝手にブレーキを踏んでしまうのです。少しでも可能性のあることを全部出すようにお願いします。こんなこともありますよね、あんなこともありますよねと指摘すると一気に視野が広がります。その調子!と背中を押します。そして、ホワイトボードにたくさん出たイデアを見ると、トンネルの先に光が見えたような気持になります。そうです。アイデアが出尽くしたら、もうゴールまで半分進んだようなものなのです。あとは何を選ぶか、どのような順番で実行するか、いつやるかなどを考えればよいのです。ステージが一気に進むわけです。何から手を付けたらよいかすら気付かなかったときからすると、凄い進展ですね。すぐできるもの、できないもの、マグニチュード(効果)が大きいものや小さなもの、経営資源が足りないもの、いろいろな条件があり、それを考えたうえで、どうするかを決めればよいのです。

このようなアプローチもフィードフォワードですね。もう一つ、面白い例を出します。それは、前にも紹介した「最強チームの条件を1冊にまとめてみた(越川慎司著)」に書かれていることです。「資料が完成した後に意見を求めるのが、フィードバックです。フィードフォワードは完成する前に意見をもらいます。」「課長、このように資料を作成していますがイメージ合っていますでしょうか?と聞きます。およそ進捗20%位で資料の提出相手に『イメージ合っていますか?』と聞くのです。」「このフィードフォワードのタイミングで上司から『このページは要らないよ』と言われれば『忖度ページ』は0に出来ます。」つまり「提出後に作り直す確率が下がります」

面白いことに「実際にフィードフォワードの実験を行った26社115組織では『差し戻し』が以前よりも74%減りました。20代に限定すると89%も減りました。」そして「この『差し戻し』は残業を生むことがあとの調査で判明しました。68%の人が、期限ギリギリの夕方に上司に資料を提出しています。」それでは残業が増えて当たり前ですよね。正に、「あるある」の景色です。

これを改善するためにあなたはどう行動を変えますか? そもそも部下が悪いと一刀両断にしますか? 部下は上司がとても忙しそうなので事前に見せることを躊躇していますね。これはなぜでしょう? そもそも「心理的安全性」が欠如している証拠だと感じませんか? そう、部下が悪いのではなく、上司が悪いのです。常にオープンでアクセスしやすい関係になっていないのですから、部下を責めても始まりません。

 

「フィードバック」と「フィードフォワード」。当たり前のようで、行動できていないことに気付いていただけましたか? 気付いたら、明日から行動を変えましょうね。難しいことなどありませんよ。やるかやらないか。それはあなた次第です。未来はオープンです。チャンスは毎日訪れます。無駄にしないことです。

朝から暑い! ウォーキングも日陰を選ぶようにするしかないが、
そんな都合の良いコースは我が家のそばにはないのよね。ウォーキング焼けは進む。