前回「管理職になりたい人の割合は、19.8%と日本が最も低い」と書きましたね。
一方で、実は心の奥では昇格したいのに、同僚の昇格を横目で見て悔しい思いをしている人もたくさんいますよね。貢献を認められず報いられない現状に忸怩たる思いを抱いている。かといって、昇進を願い出るわけでもなく、自分のキャリアプランを上司に話すわけでもなく、きっと分かってくれるはずだという思いを腹にためたままその思いを口に出すこともなく、動かずじっと待っている。もし言い出した時に波風が起きることを想定すると、何もしない方を選択してしまう。自分が評価されていなかったことに気付くことを想像すると恐ろしくなり、何もしないほうがましと思ってしまう。チャンスは来る、きっと次だと待っている。そんな感じなのかもしれません。
Roberta Matuson氏はFoebesでこう書いています。「あなたの貢献を誰かが認めて報いてくれたり、環境が変わったりするのを待っているようでは、自分の行きたいところにはだとりつけない。また、自分が成功できない理由を他の人やシステムのせいにしても、自分が前進する助けにはならない」と。その通りですよね。しかし、頭では理解するものの、現実には行動しない人が多いのも日本の特徴でしょう。
彼女は、自分の背中を押すために次のように自問自答することを勧めています。
「自分のキャリアの次のステップは何か? 自分の展望を上司に話したか?」
「職場で『いい人』になりすぎてはいないか? ノーというところをいつもイエスと言ってはいないか?」
「上司の職務の一部を引き受けようと、自分から申し出ているだろうか? それとも、自分の職務を上司が増やすまでただ待っているのだろうか?」
「自分のキャリアの現状を他の人のせいにしていないだろうか? 現状の責任を自分でちゃんと負っているだろうか?」
「自分が積極的に変化に取り組むのを阻んでいる行動や考え方を一つ挙げるならば、それは何か?」
「自分は本当のところ何を待っているのだろうか?」
どうですか? どれも自分自身に直球を投げるような問いかけです。僕もコーチとして同様の環境のクライアントに向き合うなら、同様の問いかけをしたいと心から思います。
アメリカでの研究によって、「自分がとった行動より、とらなかった行動の方を後悔する人の方が多い」ことは明らかになっています。これは容易に想像できますよね。
時間は常に流れています。過去には戻れません。僕たちが気付くべきことは、「意志さえあれば行動は変えられる」ということではないでしょうか。「逃げるな」ということですね。
僕自身も、やらないで後悔することは絶対に嫌だ、という思いで生きてきました。いろいろ失敗もありましたけどね(笑)
誤解しないでほしいのですが、「管理職になりたくない」人を無理やり管理職に昇格させることは間違っています。しかし、管理職像を間違って理解している人が多いのも事実です。即ち自分の上司を見ると「汗と涙と根性と滅私奉公で昇格した」と思い込み(事実の場合もありますが)、「自分には無理」と感じてしまうわけです。リーダーシップにはいろいろあり、上司のパターンが正しいとは限りません。あなたらしいリーダーシップを考え実践すればよいのです。それに気付かない人はドアをノックする前に、分厚いドアの向こうにはウェルビーイングはないと決めつけているわけですね。とてももったいない話です。もちろん、分かったうえで、性格的に向いていないと感じている方も多いと理解しています。