管理職のレベルアップが重要なテーマ

COURRiER! JAPON 3・4号によると、グッドハイヤー社が米国の労働者3000人を対象にした調査では、「『マネージャーがいなくても仕事ができる』と回答した従業員は83%だった」「そのうえ、『自分にも管理職の仕事ができる』と回答した人は84%で、『嫌なマネージャーの下で働くなら離職を検討する』と答えた人は、82%だった」だそうです。要するに、上司であるマネージャーは大した価値を発揮していないと思われている、ということですね。また、同社のマイク・グロスマンCEOはこう指摘します。「人は細かく管理されたり干渉されたりしていない時こそ、優れた仕事を成し遂げます。それに、従業員は多くの場合、指揮管理(私の言うC&C)を必要としていません」そして、そのような考え方が広がった要因は二つあると指摘しています。ひとつは、「管理職としてのマネジメント力をどうやって身につけているかだ」「独学であることがほとんどです。となると当然、他の組織やチームで見てきたやり方を真似ることになるわけですが、それが必ずしも、最高の手本とは限りません」と指摘しています。二つ目は管理職をどうやって選んでいるかです。「管理職に就いている人の多くは利己心がとても強かったからこそ昇進できた可能性があります。自分の目標や野心を追求してきた結果として昇進できた」その結果、それほど思いやりや共感力がない人でも管理職に昇格していった、というのです。利己的な人が選ばれていることが問題だと言っているようなものです。

以前にも書いた記憶がありますが、リーダーシップには2種類あります。「率いるリーダーシップ」と「導くリーダーシップ」で、前者は「俺についてこい」タイプで、いちいち指示を出します(前に書いたC&C)。そのリスクは、自分の野心がチームの目的にすり替わることだと言われているのです。力強い、権威を笠に着るタイプのリーダーは落とし穴があるのです。

また、利己心が強い率いるタイプのリーダーは男性性が強いと考えられます。前にも書きましたが、「与えたい」という志向が強いと考えられます。悪意なく「私は答えを知っている」だから「教えたい」「助けたい」「伝えたい」「迷っているなら私が決めてあげたい」的な思考をするわけですね。相手によっては「押しつけがましい」とか「上から目線」「傲慢だ」と思われてしまいますね。これも落とし穴です。

それに対して女性性とは、「分かってあげたい」即ち「共感力」や「包容力」が高いのです。即ち、指示するのではなく、見守ってあげる姿勢なわけです。実は、僕は今の時代は男性性むき出しの管理職より、女性性に溢れた管理職が向いていると考えています。言っておきますが、性別が男性より女性が向いていると言っているのではありません。性別に係わらず女性性が凄く重要だと思っているのです。

こんな調査もあります。「EYコンサルティングが2021.10に発表した調査では、米国の労働者の90%が、共感力のあるリーダーの下で働くと仕事の満足度が高くなると考えていることが分かった。また、『共感力のあるリーダーは従業員のロイヤリティを育む』と答えた人は88%、『離職者の減少につながる』と答えた人は79%だった」と。グロスマン氏は言います。「優れたマネージャーとは、同僚や部下を心から気遣う人間です」「口先だけ、言葉だけではなく、実際に部下を思いやり、みんながどれくらい満足し、仕事でいかに成長しているかを気にかけます。また、部下を支えるために時間と労力を惜しまずつぎ込みます」と。これは女性性の特長ですよね。「『管理職は、部下の仕事を指揮管理する立場から、ソーシャルワーカーや学校カウンセラー並みに、部下の抱える問題を公私両面で支える立場へと変化しつつあります』とガートナーHR部門リサーチ責任者のブライアン・クロップはそう語る」なるほど・・・ですよね。

一昔前は、リーダーやマネージャーは「率いる」タイプが好ましいと誰もが思っていました。だから、多くの女性は「私には無理」と思ってきたのですね。それは最早固定観念です。そんな時代は終わり、リーダーシップは多様で、女性性に溢れる方がむしろメリットが多いと感じられる時代に変わったのです。女性はもっと自分の可能性に気付くべきです。もちろん、男性上司は古い価値観で女性の部下を見ないことです。女性の可能性を潰しかねません。

コロナ禍以降在宅ワークが増え、部下とのコミュニケーションもチャットやZoomなどのツールに頼っている管理職が多いでしょう。上記のような指摘は益々重要な課題になっているはずですね。それに正面から向き合っていますか? そのような状況が何年も続いたら部下のウェルビーイングは危機的な状況になるかもしれません。

おざなりな1on1を続けていませんか? 部下のウェルビーイングはあなたの「愛」が込められたコミュニケーション力にかかっていると言っても過言ではありません。

僕のウェルビーイングは、こんなひとときが支えていたりする。
写真は竹葉亭。先日行った友栄は大分違う。個性の違いを味わい分けるのも楽しい。