アンラーニング

以前に書いた「後継者選びはなぜ難しい?」で触れたアンラー二ングについて、続きを書きたいと思います。

 

アンラーニングとは、学習棄却とか学びほぐしなどと訳されるようです。

環境変化が大きく、学んできたことが陳腐化するケースはたくさんあります。一方で「賢者は歴史に学ぶ」(以前書きましたね)と言われるようにアンラーンすればいいという問題でもないですよね。

ただ、言えることは、僕たちは固定観念に縛られていて、それが時々凄く悪さをするということです。そこから逃れられなく(アンカリング)、何が正解なのか分からなかったり、もっと良い新しいアイデアがあるのにそれに気付かなかったり、そもそもそんなものがあるなんて端(はな)から否定していたりするわけですね。これは日常的に繰り広げられている景色ではないでしょうか。

以前に「ゼロクリアして考える」ことの大切さを書きましたが、そうしないと澱のように溜まった価値観に引きずられて、新しい着眼点に気付かないのですね。これはビジネスの世界ではかなり致命的なことですよ。

私個人的には、磁気ディスクのデータを消すように、アンラーンして空きスペースを作っておかないと新しい学びが入ってくる余地がないようにも感じますね。そもそも私には容量が少ないという根本的な問題もありますが(涙)

また、先日書いたように、マンネリ感を乗り越えたとしてもワクワク感や成長実感がシニアになるにつれなくなっていくのも、実はアンラーンできれば状況は好転するのではないかと、僕は思っています。ゼロクリアすれば新しいものが凄く新鮮に感じるはずですものね。これは「永遠のルーキー」でい続けるためのコツかもしれません。

 

とはいえ、アンラーニングは簡単にはできそうもないですよね。人間はいろいろなものに縛られるものです。バイアスだらけって何度も書きましたよね。とはいえ、コツがあるような気がします。少し僕の感覚を書きますね。

僕たちの周りには新しい情報がたくさんあります。多くは目の前を通り過ぎてしまう感覚ですね。できる限り自分の今いる世界の境界の外の情報にビビッドでいるよう、努力をしてください。ムラ社会にどっぷりいる(ムラの価値観に縛られていて逃れられない)事実に気付いてください。日常では触れることがなかった(触れることを避けてきた、逃げてきた)情報に触れれば、目から鱗というような驚きを感じることも多いでしょう。知らなかった、見たことも聞いたこともなかった、進んでるな~、僕たちはなんと古かったんだ、これじゃ勝てるわけないよねなどなど、新たな気づきが溢れてくるはずです。そういう経験を周りの人に話してください。「ねえ知ってる?」という感じでね。それを伝染させてください。皆が自分が知った情報を提供することを楽しんでください。そして、それに触れた人は驚きの感想を返してください。感謝の言葉と共にね。そして、なぜ僕たちは外に目を向けなかったのか自省してくださいね。それがスタートです。そして、自分を縛っている古い知識や習慣や価値観を、片っ端から捨て始めるのです。同時になぜそれができなかったのか考えてくださいね。人によって理由は様々でしょうが、そういう経験の少ない人たちがいるセクションの多くは、コラボレーションができていなかったケースが多いと思います。境界を作ってムラに閉じこもり続けていたわけです。外とのコミュニケーションも少なく、価値観は常に排他的に働いてきたはずです。

コミュニケーションの大切さを疎かにしている人たちがとても多いと感じます。コミュニケーションは成長のエネルギーです。コミュニケーションがなければ、自分を正しく客観的に振り返ることもできないでしょう。知識や経験や価値観の違う人からフィードバックを受けることもないでしょうから、外から見たらどれほど異様なのか気付かず生きてきたはずですね。

それに、コミュニケーションなきコラボレーションもあり得ませんから、イノベイティブなビジネスアイデアを思いつく等の経験もとても少ないはずです。

 

不確実性の高い事象を否定的に見てしまう人がほとんどでしょう。実際は現代ではそれ(不確実性の高い課題)がほとんどなのでしょうから、それを受け入れずして環境変化に対応できるはずもないのに、拒否してしまうのはどういうことなのでしょうか。自己保存の法則という本能の話は何度もしましたね。しかし、それは訓練によって乗り越えなければ生き残れません。変化についていけなければ企業は競争に負けます。常に好奇心をもち、試してみることを好み、それを楽しむマインドが何より必要でしょう。このようなマインド変革を進めるためにも、古い価値観や知識、習慣などは捨ててしまわなければなりません。それが邪魔をするからです。自分の頭の中の思い込みを疑ってみることを習慣にしましょう。

先日映画バビロン、エンパイア・オブ・ライト、そしてエゴン・シーレ展を観てきました。一見何の脈絡もない3つですが、僕には通じる何かを感じました。
混沌の先には希望があり、悲しみの先には未来がある。
人生というJourneyは何が楽しいかと言えば、それは何度でも再出発できることさ。
そう、どう生きるかは自分で決められる。
そんな気分にさせてくれた3つでした。これも僕のリフレッシュ。
シーレはスペイン風邪で早逝しなければ、どんな人生を歩んでいたんだろう・・・