管理職はファシリテーターになれ

早稲田大学の入山教授は「管理職はファシリテーターになれ」と指摘します。実は私も「ファシリテーターに徹した方がいい」と、コーチングの場でクライアントの幹部の方たちに言い続けてきました。とかくC&C(command & control 命令して管理する)ばかりになりがちなリーダーの人たちの下で、日々尻を叩かれるように多忙を極めている人たちは、指示待ちになりがちだったり、上司の好む行動をしがちだったり、怒られない選択をしがちだったりで、自律的な行動ができませんね。それではリーダーは育ちません。そこで必要なのは、自分で考えコミットし行動することでしょう。

参加する人たちが自由闊達に意見を言う場を創り出す。もちろんそこに必要なのは心理的安全性」。こんなこと言ったら怒られるんじゃないか、レベルが低いと思われるんじゃないか、こんなことを指摘したら嫌われるんじゃないか、などと微塵も感じられないように、リーダーがぶっ飛んだ意見を言ったメンバーを褒め、感謝することが大切ですし、自らがそんなこと言ってもいいんだと思われることを、率先して提案することも有効ですね。皆が自由にこうしたらいい、ああしたらいいと言い合う。正にそれがブレスト。実は名ばかりのブレストが横行してませんか? 結局は予定調和的な結論になってしまう。上司の顔色を見ながら発言する人ばかりでは、そうなりますよね。それではブレストの意味は全くありません(涙)。

 

ミーティングの場では、参加者が率先して発言する。リーダーはそう誘導する。更に、リーダーはどんどん深掘っていく。具体的に言うと? どうやったらいい? いつやったらいいんだろうか? 誰が得意? 優先することはどれ?・・・などとリーダー自身がホワイトボードの前に立ち、出た意見を書きながらファシリテートする。 そうするとどうだろう。ファシリテーターであるリーダーが書き下したホワイトボードの書きなぐりが、徐々にやるべきタスクに見えてくる。参加している人たちが言ったこと(リーダーが言ったことではない)が整理されている。参加した人たちは自分たちのコミットメントを共有している状況になる。一人一人がオーナーシップを持つ。整理されたホワイトボードの書かれたタスクは、自分で言ったことなのですからね。誰がやるか、いつやるかも、書き下されていく。分担が明確になり、スケジュールも見える化され、チームとして共有される。

それがリーダーたる管理職の仕事なのではないでしょうか。指示したわけじゃない。皆が言ったことを整理しただけ。参加したメンバーはすっかり「できそう」な気になってる。それがあるべきリーダーシップなのではないか。上司の指示がなくても、皆の力を合わせればできるんだ、と気付かせるのがリーダーの仕事なのです。

この通り実行したクライアントは皆様、効果てきめんと仰っていますよ(*^^)v

 

一方、変化は怖いものですね。だって、自己保存の法則という生物の本能に逆らうんだから。このことは何度も書きました。

だから、変化に慣れることが大切なのです。日常的に、すぐやる、試してみることが大切なのです。考えてばかりで動かなかったり、躊躇ばかりしていては、進化はないのです。それでは組織は変化に対応できませんね。待つのは「自然死」なのです。気付かないうちに取り残されているということです。自然死ってどういうことだか分かりますか? 毎日ほんの少しづつ弱っていくので、本人はその変化に気付かないのです。気付いた時には、もう取り返しのつかないくらい弱っているのです。これが一番恐ろしいのです。毎日少しづつ努力を続けることが大切なんですね。自分と向き合い続けることの重要性がここにあります。

 

変化に強い文化を創る。皆でオープンな議論ができる場を楽しむ文化を創る。自然死を回避するポイントなのです。

入山さんはこう言います。「文化は行動。だから行動規範があるのだ」「文化は戦略的に創るのだ」「行動規範やパーパス、ビジョンなどを舐めちゃいけない」と。

同感です。文化はリーダーの行動や言動に影響されます。リーダーによるファシリテーションはオープンな文化を創り出す最高の手段なのです。

青空にすくっと立っている。自由に流れるその流れを支えている。
リーダーの姿を映しているよう