日本のレジリエンス

ハーバード大学フーバー研究所上級フェローのニーアル・ファーガソン氏の指摘は、日本人の感覚とは大分違う。それは恐らく塀の中に閉じこもった日本人がズレていることを意味しているのではないか、と感じてきた。

 

日本の高いレジリエンスはどこから来ているのだろうか。そもそも僕たちは自分たちがレジリエントだと感じたことすらないのではないか。彼の指摘は例えば、

☆世界で最も地震などの気候リスクの高いホットスポットに存在している先進国という事実。

☆COVID19対策として、強いロックダウンをしなかった国であるにもかかわらず死者が非常に少ない事実。

☆実は政治的に非常に安定していて、不確実性が低い。これは変われないということを指しているのと同義であることを忘れてはならない。

知識レベルの平均値が非常に高い。アメリカのワクチン接種率は上がらない。その理由は、接種するとマイクロチップを体内に注入されるとか、間違った想像を完全に信じる人が信じられないくらい多いから。これは怖いよね。今後間違った理解で米国の政治や軍が影響を受ける可能性もゼロではないでしょうね。

☆政治の打ち手がコンサバ過ぎる。それはコロナ対策や経済対策の躊躇や大胆さに欠けることに表れているが、それにより少なくとも暴走は起きないアメリカは経済対策は慧敏で巨大。それゆえ行き過ぎが起きるアメリカでは間もなく制御不能なインフレが起きる可能性を心配し始める人が出始めている。日本は根本的な改革ができず、借金だけがかさんでいく。要は子孫にツケを回している。その割にZ世代など若者は騒がない。選挙にも行かない。もちろん、だからレジリエントだと思いたくはない。

 

と、こんな感じ。日本は他国、とりわけ同様の先進国の中では良くも悪くも最も安定している、ということは間違いなさそうだ。気象などの変化に対して強靭というように感じはするが、それは「我慢強い」ということなのではないか。ハザード地区にずっと住み続ける人も多いし、大きな被害に遭ってもまたその地に戻る人も多い。「我慢強い」というより、「変化を嫌う」ということなのかもしれない。結局はほとんどの人はその中流感覚を居心地が良いと感じているのだろう。変わることを望んでいない。いわゆる「自己保存の法則」だ。そのことは別途書こうと思う。

 

 

さて、世界の緊張は近年急速に高まってきた。軍事政権は増え、自国優先の価値観をむき出しにする国ばかり。国連などの枠組みはポジションを下げ実効性を落としている様に感じる。そう、長く続いた冷戦が熱戦に変わるリスクが増えているのだ。11/17にインドネシア国軍トップがハーバード大学出身の親米派に変わった。これは米国にとっても対中包囲網の築くうえで非常に都合の良い動きのはずだ。中国共産党の「歴史決議」採択、それによる習主席の国家統制エネルギー強化。米国の対中圧力の高まり。その流れは誰にも制御できない。いろいろなめぐり合わせが重なり止められなくなるリスクは高まっていく。間違った思惑や楽観が暴走を生む可能性もある。その結果、世界の中で最もリスクの高い場所が台湾になっていくだろう。いかに強引な中国であっても民主主義国を敵に回して戦争に打って出ることは流石にないだろう。なんて楽観的にほぼ日本国民全員が考えているでしょう。もしくは、そんなことを想像したことすらないでしょう。しかし、今のアメリカのスタンスは実に中途半端。それでバランスし続ければまだいいが、どうなるかなんて全然わからない。いささか行き過ぎたインフレ対策に追われるかもしれないし、共和党政権に逆戻りする可能性だって高い。台湾がリスクにさらされてもアメリカは手出しをしない可能性もある。もし手出しをしないと中国が判断してしまったら、中国が暴挙に出る可能性が十分あり得る。アメリカ、英国、フランス、ロシア、そして日本。どの国がどう出てくるかなんてまるで不透明だ。皆結局は自分の安全と利害だけ考えている。国民がそれを望むからだ。メルケルはもういない。

 

日本のレジリエンスは揺らいでいる。

f:id:taka-seed:20211119165441j:plain

こんな時代はしぶとかったかもしれない。@江戸東京たてもの園 昭和2年に港区白金に建てられた乾物屋