姿勢を問う “GRIT”の話

先日、録りだめた中から「ビューティフル・マインド」という映画を観ました。19年前の映画です。若いL・クロウの名演にも感心しましたが、ストーリー即ち、晩年にノーベル賞を受賞した天才J・ナッシュ(ゲーム理論が有名)の数奇な人生が泣かせるんです(実在の人物の半生)。J・コネリーはウットリするほどの魅力を出し、ナッシュ(夫)への深い愛を感じます。彼は彼女の愛に支えられ、病気を乗り越え(闘いと言った方がいい)批判や変人扱いの偏見と折り合いをつけて、自分を貫きます。皆さんにもお薦めします。今日は自分を貫くという話に通じる話題ですよ。

“GRIT”って知ってますか? その名の書籍(ペンシルベニア大学教授のアンジェラ・リー・ダックワース博士)がベストセラーになったのでご存じの方も多いと思います。GRITのGGuts(根性)RResilience (復元力)IInitiative(自発性)TTenacity(執念)を意味します。総称してやり抜く力などと表現されますね。

同氏は努力と才能と達成の関係をこう書いています。とても腹落ちするものです。

才能×努力=スキル   スキル×努力=達成

気が付くでしょ。両方に努力が出てくるんです。まず右から見ましょう。「スキル」があるだけでは成果は出ません。即ち所期の目標を達成できるわけではありませんね。そこに必要なのは「努力」なのです。すなわち、「スキル」があっても努力をしなければその「スキル」は何の役にも立たない「宝の持ち腐れ」になってしまうわけですね。

そしてその「スキル」ですが、素養や「才能」があっても「努力」しなければ「スキル」を延ばすことはできないはずです。せっかく与えられた(神様からのギフトw)スキルはすぐ頭打ち、即ち伸び悩むわけですね。

さて、そこで大切なことは、「努力を続けること」ですね。よく言われることですが、継続が重要な要素なのです。それらをトータルに表現したのが「GRIT」なのだと解釈しています。

企業に勤める人たちは、言い換えれば「プロ」です。何らかのプロフェッショナリズムが価値を生むことを期待して契約を結んでいる。そうなれば、当然成果を出さない限りそれに報いることはできません。即ち成果に対して報酬をもらっているわけです。しかし、常に期待された成果を出し続けられるわけではありません。運もある、競争相手の出方もある(極端なディスカウントをされたら勝てませんとか)、必要な経営資源が特定の背景により与えらえない時もあります、そもそも劣勢から(技術的、実績的、ブランド的など)厳しい戦いを挑まなければならない時もあります。その時に重要なのは「GRIT」ですよね。そこにあるのは、論理ではない、新しい論理を作り出すことも厭わない姿勢、アイデアを絞り出す葛藤、粘り強く積み重ねる姿勢、折れない精神、強い意志、負けず嫌いな心などの「姿勢」ですね。

是非マネジメントの方々は、1on1でその姿勢の在りようを問いかけてください。今の仕事や環境に安住している姿勢は本人にとってとても不幸なはずです。能力の一部しか使ってない。成果を出せるチャンスをみすみすドブに捨てているかもしれない。それに気付かせ、覚醒させることが上司の使命と言っても過言ではありませんね。

GRITを糸口に、姿勢に問いかけるコーチンは、マネジメントの重要なアプローチ手法です。覚醒した部下はきっと充実した毎日を送れるはずです。これによって会社も、上司も、本人も皆Win-Winなはずです。充実した日々は僕たちに幸せを与えてくれることでしょう。

 

バイアスの強いベテラン(年齢などに関係ない)はどこか達観している人が多いと感じます。ま、人生こんなものか、という感じ。前にも話しました「ベーススキル」の執着心とか当事者意識が少しづつ薄れていく。これは多くの人にとってよくある話ですね。「永遠のルーキー」のように自分を磨き続けることが楽しみになれば、人生が楽しくなるはずです。「GRIT」がそのヒントになると思います。再覚醒するためには、自分でいかにスイッチを入れるかと、上司がコーチングによってそれに気付かせることが重要です。

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若いでしょ。近年の彼は二まわりほど太くなっちゃって、なんだかな~って感じ。

ま、しょうがないか~。