「ソーシャル・プレナーシップ」

今年もあと1週間。クリスマスの夕方にこれを書いている。私はクライアントとオンライン・コーチングを終え、今年の仕事はこれで終わり。あとは来週にある勉強会に参加するだけだ。静かな年末年始になりそうだ。そうだ、先日届いた新しいデジタル一眼レフのマニュアルを読まないとね。古いカメラを3台売却し替わりに買ったもの。そして、来週にはPCが届く。今は供給がついていけないようで、発注から1か月ほど待たされた。2年弱の間に3台のPCを買った。2台は仕事用、今度のは今までにあった家庭共用の更新。移行が面倒だな~  さて、今日の話は・・・

 

ワールド・マーケティング・サミットがオンラインで行われた。その日は都合がつかないこともあり、アーカイブを視聴するチケットを購入し、後日好きな時に大量にある有名なマーケターの講演を同時通訳付きwの録画をオンデマンドで聴講した。

 

その中で、最近の流れを初めて別の角度で再確認できたのが「ソーシャルプレナーシップ」の話だ。これは企業のブランド戦略やリクルート戦略、更に言うと企業の存在意義やパーパスもしくはミッションに関わる新しい時代のセンスメイクだ。

 

ワールドマーケティングサミットグループCEOのサディア・ギブリア氏の講演の要点を説明しよう。彼女は「ソーシャルプレナーシップ(Socialpreneurship)」を「企業が“儲け重視ならびに株主主義”から“社会的責任を担う商品提供およびステークホルダー主義”に変化するためのイノベーション」と定義した。なるほど~

 

 

それは、今後の社会の主要プレーヤーたる若者の変化を理解すると腹落ちする。若い消費者は社会や環境への意識が高く、それが消費行動に深く関係しているというのだ。それはデータを見ればすぐ分かる。例えばこうだ。

>68%が社会に貢献する製品を過去1年以内に購入済み。

>87%が社会課題の解決支援にあたる企業に好印象を持つ。

>88%が社会を支援する企業を支持する。

>92%が社会や環境に貢献する企業を信頼する。

以前にも書いたが、世界ではミレニアル世代(Y世代)やZ世代のポジションが相対的に高まり、政治や経済の中心に躍り出ている。日本にいるとなかなかそうは感じられない。極端な少子高齢化により相対的に人口比率が低いこと、若者たちがエネルギーに溢れ社会的な参画を果たしているイメージがないことなどが、要因だろう。しかし、小泉環境大臣の今年の心変わりを見ても、政治が大きな影響を受けていることをうかがわせる。今の高齢者たちは早晩いなくなる(当然僕も)。残された若者たちが、将来幸せに暮らせるように社会を変えたい、と思うのは当然の話だ。彼らの声に応えられる企業が繁栄し、そうでない企業は衰退するのは自然の摂理だと言っていい。



ギブリア氏は「ソーシャルプレナーシップ」の必要条件を次のように言っていた。

>世界を良くするためにボランティア活動をする。

>自分が住む社会を意識する。

>人類の幸せ、平和、繁栄を意識する。

>自分のビジネスの社会へのインパクトを意識する。

>CSRだけでは不十分、自分の製品やサービスは『世界課題を解決する』と明示する。

そうです、今の若者を中心とした新しい「ソーシャルプレナーシップ」は、「お金を追わずに夢を追うのが条件」なのだ。

「ソーシャルプレナーシップ」は個人の想いからスタートし、企業の存在価値が共鳴し、産業界や政治が連携することによって実現する

 

即ち次のように連鎖していく。彼女はこう定義する。

>まず自分から始める。

>1対1で広めていく。

>同志と集まる。

>社会的責任を担うメーカーから買う

>お金や名声のために働かない、夢や目的を追う(株主からステークホルダーへのパラダイムシフトにより利益は後からついてくる)。

>人、地球をケアする会社のために働く

 

この傾向は、以前から言われていたことだ。若者たちの指向が明らかに社会的影響、例えばSDG'Sなどの方向に向かい始めたのだ。これは何もBtoCだけではない。もはやBtoBにおいてもY世代が意思決定者になり始めているのだから。さらに、これから数十年はY世代、Z世代がマーケティング的にターゲットになる。その世代の人口比率が低い日本においては、どうなのだろうか。今のシニアは企業の意思決定層からどんどん外れていく。テクノロジーやビジネス開発のトレンドがどんどん変わり、それを実践できる主役が間違いなくY/Z世代となる。マーケティングターゲットはそこにフォーカスしていくべきだ。今の企業トップだって、DXなどテックオリエンテッドの流れにはついていけない。Y/Z世代の意見を聞くしかないのだ。身も心もセンスもお爺さんやオッサン(もちろんお婆さんもオバサンも)を相手にしてはならない。ただし、これは年齢やジェンダーではなくビジネスセンスの問題。70歳でもバリバリのビビッド爺はいるからね。同時に40歳でも置いてきぼりの人もいる。

 

今後企業が意識しなければならないことは、自社が「ソーシャル・プレナーシップ」を発揮しているのかどうかだ。自社が、ジェンダー平等なのか、フェアトレード(相対的に立場の弱い取引相手などに対して、安値を無理強いしたりせず、対等な立場で公正な取引を行うこと)を実践しているのか、環境コンシャスな事業をしているのかなどに、厳しく向き合い、クライアントに説明責任を果たさなければならないのだ。

 

PS. これはそうそうたる有識者が議論してきたNEC未来創造会議が訴える、「意思共鳴社会」にも繋がる話だ。社会は間違いなく成熟していく。「意思共鳴社会」の指摘はとても腹落ちするもの。皆さんも調べてくださいね。NEC Visionary weekのアーカイブでも観れますよ。

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流れは思っているより速いもの