アメリカの希望とぼくたち

これを書いている時点で、アメリカの大統領は決まっていない。いや、一か月経っても決まっていないかもしれない。もう、いちいち報道に耳を傾け、ほっとしたり、がっかりしたり悲観的になるのはやめようと思う。予想の報道に耳を傾けるのはやめよう。予想なんて占い師と同じ価値しかない。結果を待とう。

 

■当事者意識

ミレニアル世代やZ世代の人口比率がが日本に比べ圧倒的に多いアメリカ。多様性は益々広がり、近い将来には白い肌で青い目の人はマイノリティーになる、という人もいる。彼らは、今回の大統領候補が二人とも70歳台という現実に、悲観するのではなく、とりあえずトランプをホワイトハウスから追い出すことに意味を見出しているようだ。ごく近い将来アメリカの主人公は自分たちの世代になる。そう、日本の同世代と比べて、自分たちは関係ないという冷めた諦観、というより無責任感、第三者感かもしれない、がないのだ。

アメリカはどこに向かうのだろう?

日本人には理解できない今回の分断の先に何が待っているのだろうか?

若者たちの当事者意識が新しい時代の扉を開けるのではないか。

それは日本の人口構造や若者の政治離れや当事者意識の欠如に比べると、混沌の極致であるアメリカの方がよっぽと期待できるのではないか、と思わざるを得ない。

きっとこのカオスの先に、「進歩」と「成熟」が待っていることだろう。

 

■予防的やさしさ

今から10年以上前に「ほんとはこわい『やさしさ社会』」という本を読んだ。やさしさには二つある。予防的やさしさ治癒的やさしさ。前者は、人間は傷つくと立ち上がれない。だから傷つけないようにするのがやさしさである、という考え。後者は、人間はそもそも傷つくことは避けられない。傷ついた時に手を差し伸べるのがやさしさだ、という考え。私の記憶ではそんな話だった。日本人は前者。だからディベートも下手。もし本気でやったら、友人関係が壊れる。傷ついたらリカバリーが効かないと思っている。だから、自分の意見を言えない。本気で議論できない。怒れない。

だから、欧米人に議論で勝てない。欧米人が小学校からディベートをしているのとは、大違い。世界で主張できない日本人がいる。日本が世界の中心に入れない理由。

私は昔こんなことを話していた。今でも考えは同じ。イメージしてください。転んで怪我をした。どうってことないと、なめていたら膿んできた。家にある「オロナイン軟膏」を塗って放っておいた。毎日塗り続けた。そのうち膿は広がり痛みも治まるどころかひどくなった。それでも、軟膏をやさしく塗り続け治癒を待った。何か月経っても治らないばかりか、ひどくなる一方だった。

有りがちな話だ。ビジネスでも。私はこう話した。なぜ、膿んでいる個所に指を突っ込んで膿を出さないのかと。放っておいても、やさしく撫ぜていても、軟膏を塗り続けても、治らないものは治らない。であるなら、痛いのを覚悟して指を突っ込んで膿を出すべきだと。

予防的やさしさで、解決できないことは多い。目をそらさず向き合って、根本的、本質的な解決策を実行しよう。それができない人が多い。先送りして傷口が広がる事例は腐るほどあったではないか。目をつぶって指を突っ込もう。

それがやさしさだと気付いてほしい

 

■主人公

あなたが主人公です。決して逃げないでください

これからの世界。制約だらけです。世界のために我慢しなければならないことだらけです。

それでも、豊かな人生は送れます。逃げないで向き合ってください。

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そびえる山にひるんではならない

 

真っ新な朝

組織に属するいわゆるサラリーマンにはいろいろなことが起きる。例えば、中途採用された人が登用され、新採以降ずっと同じ会社で働き続けた、いわゆる生え抜きである自分が冷や飯を食った話。英語ができないと昇格できないと言われたものの、仕事では全く使う機会がないので、その必要性を理解できず努力する意欲がわかないまま、後輩にどんどん抜かれていく話。長い経験から学んだビジネスの基本や成功パターンを、若手に積極的に伝授してきたつもりだが、どうも煙たがられているらしいと気付いた話。新しいビジネスへの挑戦の機会は、若手ばかりに回ってくる。彼らが次々に失敗するのに、経験も実力もあるのにチャンスが巡ってこないと愚痴る話。枚挙に暇がない。

 

僕たちは真っ新になれるだろうか? 一からスタートする覚悟がありますか? 肩書のない人生を想像できますか? 360度評価を直視できますか? 俺は貧乏くじを引いていると愚痴っていませんか? 滅私奉公してきた自分の人生をはもっと評価されるべきだと、思っていませんか?

 

あなたの前に姿見(鏡)があります。そこに写る自分を客観的に評価してみましょう。あなたにはどう写っていますか? あなた以外の第三者はどのようにあなたを見ているか、想像してみましょう。あなたは、自分の価値をどのように第三者に説明しますか? 試しに転職マーケットに身を投じてみてください。あなたの価値を朗々と説明してみてください。相手はあなたを高給で迎え入れると想像できますか? あなたがもし成功するとすれば、その陰に採用されなかった人がたくさんいるはずです。その人たちに比し自分の能力や可能性は、どう秀でていると想像できますか? その能力が明確に存在し、それにempathy(共感)する人たちがいることを客観的に説明できますか?

 

本当の実力を相手に伝えることはとても難しい。若いとか、エネルギーに満ち溢れているとか、最新のテクノロジーに詳しいとか、そんなことに比し劣等感に苛まれているシニア。

 

あなたの経験や能力やモチベーションを必要としている人に、どうやって巡り合えるのだろうか。将来の可能性に投資をするなら、若い人に投資をしたいと企業は考える。だから、メンバーシップ型雇用の文化が日本には定着している。課題は多いもののジョブ型雇用の要素が浸透してくれば、企業の採用要件は具体的になる。〇〇ができることというように。そう、僕たちの価値は具体的に△△ができること、というように定義できないと門は開かれない。もちろん、それは実績によって証明できなければならない。そして、その実績は、こんなに努力してきたとか、社命でこんなに苦労してきたというようなことでは全くないはずだ。

 

それが自分の価値。価値をお金に変換するのが雇用でしょう。自分の価値を客観的に俯瞰するよい手段が、職務経歴書を書いてみることだ。何が強みなのか、それが客観的なのか、即ち第三者が評価できるエビデンスなどがあるのかなどを考えながら書くことだ。マネジメントができる、などでは評価されないことは当然。自分にどれだけ自信があろうが、鏡に映る自分はバイアスまみれな虚像かもしれない。オファーされた金額の少なさに愕然として、初めて市場価格を知るなどというケースは多い。

 

シニアになるほどに、バイアスまみれになるのが人間の本性かもしれない。しかし、それに抗ってこそゼロクリアだ。一からスタートし直す勇気が、新しい協調を培う。新しい切磋琢磨を呼び込む。実績という土台の上に、新人の様に新たに学んだ工法で使ったことがない材料を使って、フレッシュなデザインで、新たにアバンギャルドな建物を建てる。そんなチャレンジが潔い。その姿に多くの人は共感するだろう。そして経験は新たな価値をまとい、多くの人がそれを必要とするだろう。

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太陽は何度沈もうが、必ずエネルギッシュで新鮮な朝が来る

 

BTSとBMCと

前に書いた通り、僕は仕事中は(オンラインミーティングを除く自宅デスク)もっぱらAmazonMusicHDを聴いている。その日の気分でミュージシャンやプレイリストを選ぶ。ポップスを聴いていると、この2か月くらいよく流れるのが「Dynamite」。アメリカで流行るために必要な要素を見事に織り込んだ曲。メロディーもハーモニーもファルセット満載な高音域も、方程式を解くように作りこまれた、ヒットが必然の出来だ。実はそのグループ名(BTS)を知ったのはつい数週間前。更にそれが韓国のグループと知ったのも、あの徴兵逃れ云々の報道を聞いた時だった。現在23~27歳の彼ら。実はデビューは2013年。結構ベテラン! びっくり。なぜ日本から世界で羽ばたくポップスが出ないのだろう。これからますます日本のマーケットは小さくなる。コミック以外にもCool JAPANが欲しいね。日本という国にもっとシンパシーを感じてもらうためにも。

 

さて、今日は最近気づいたこと。先日知人からのメールを読んだことがトリガーになり、あるブログを読んでインスパイアされた。それは、インクリメンタル(incremental)イテレーティブ(iterative)の意味です。

そもそも意味は前者が「次第に増加すること(漸増的)」「増加部分を積み上げていく方式」、後者は「反復的」「繰り返す」という意味です。これではよくわかりませんよね。実はこれはソフト開発をする時などにも使うようです。

このサイトを見ればイメージがわきます。

rihoublog.com

ソフト開発をする際も、特にアジャイル開発を進めるときはどう作るかに注目した方がいいですね。インクリメンタルに作ると、全体をリリースするまで使えません。(ただし、サブシステムごとにサービスが独立していればその限りではありませんが。)部分的に完成させるように作ると、全体ができるまでに後戻り工数が増えますよね。全体の整合を考えずに作っていますからね。それに対して、イテレーティブに開発すると、基本的な機能だけで全体を開発・リリースし、その後機能強化を続けるという感じですから、リーンスタートアップ的な新規事業開発に向いた考え方になりますね。極簡便な機能を無料あるいは安価にリリースし、顧客を掴んでから順次機能を強化していく。クラウドサービスの多くはそうして成長してきた。もし顧客が付かなかったら撤退すればいいのですしね。

開発以外でも僕たちビジネスマンの日常において、二つのアプローチを的確に使い分けることが大切なシーンがあります。それは、資料作成です。提案書やプレゼン資料がその典型です。どうです皆さんは? 思いついた部分だけ完成させる、例えばパワポなら思いつくまま1ページずつ脈絡なく完成させていく人もいますよね。まるで、いろんな部品がばらばらに完成していく感じです。それを組み合わせても文脈が成り立たない、なんていう経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。それが、インクリメンタルに資料を作った場合ですね。

そうです。全体として何を主張したいのか等のストーリーが、よく分からないと指摘されるケースですね。読み手に刺さらないわけです。資料を作る場合のこつは、まず全体構成をイテレーティブに作ることです。アウトラインですね。起承転結のストーリーのようなイメージです。アウトラインを作ったら、その構成に従った部品(ページや見出し、章立て等)をインクリメンタルに作るのですね。そして、最後に全体のストーリーが腹落ちするか、各部品が機能しているのか等を、イテレーティブに見直すのです。

私もかつて部下やプロジェクトメンバーから報告や説明を星の数ほど(ウソw)受けてきましたが、インクリメンタルに作ったことが明らかなケースは、実はかなり多いですね。言いたいことだけをワンポイントだけ渾身の力を込めて作ってしまうので、そもそも何を伝えたいのか、聞き手はどの程度予備知識や背景を知っているのか等の配慮などが、すべて欠如しています。結局何が言いたいのかが分からなかったりする。

ビジネスの世界ではこのようにイテレーティブに考えるアプローチが必要です。手前味噌になるリスクも回避できますね。上空から鳥瞰する感じと言ってもいいかもしれません。

多くのビジネスパーソンは新規事業開発に悩み苦しんでいますね。そんな人たちに必要なフレームワークBMC(Business Model Canvasですね。皆さんもご存じだと思います。さて、気付きましたか? BMCもそうなのですよ。舐めてはいけません。どこか一部が尖っていることに自信を持っているだけで突っ走っても、ビジネスにはならないのです。イテレーティブに全体の整合と反復的な深堀なく、BMCは意味をなさないし、それに従ったビジネスは成立しないのですぞ。

 

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平和な我が街と秋晴れと

 

New Normal って何?

New Normal って何だろう。そもそも Normal とは?

常識、常態、普通・・・。それって何?

正解が何かわからない現代、Normalを問う意味があるのだろうか。

似た言葉に“王道”がある。私が以前勤めていた会社で、ITサービス事業の責任者になったときに私はこう言った。もう9年前のこと。「王道に立ち返ろう」と。

リーマンショックによって急速に萎んだ需要と闘う道を見つけられない状況の中、“原点に返ろう”“ITサービスの本質の価値”に立ち返り、顧客価値を取り戻そう、との思いで発した言葉だ。小手先の戦略をいかに振りかざそうが自らの価値を見失うだけだと思った。自社の有する価値と向き合い、その価値の本質が何なのかを再評価できれば、顧客は戻るはずだと。

その後3年経ち、5年経ち・・・僕たちを取り巻く環境はどうなっただろうか。市場の変化やテクノロジーの変化は急速にその速度を増し、今まで価値があったと思うことが一瞬にして価値を失う。今まで経験してきたこと、学んできたことは足かせでしかない。そのアンカリングが判断を誤らせ、致命的な時代遅れを生んできた。

極端に言えば、今、皆が共通して認識する正解など存在しない。定石もなければ王道もない変わり続けることが唯一の処方箋だと思う。

以前にもこう書いた。今必要な価値観は「PDCAでなくOODAロジカルシンキングではなくデザインシンキング方程式を解くのではなく、正解のないことに挑戦する持続的イノベーションではなく、破壊的イノベーション重厚長大なやり口ではなく、リーンスタートアップQCDを守るのではなく、0から構想するなど」の変革だと。

 

そこで、冒頭の問いに戻る。

New Normal って何だろう。

先日、山口周氏の話をオンラインで聴いた。彼の主張に共感した。「新しい普通を探すのではなく、普通はないという発想が大切」「画一化するから普通という概念が生まれるのであって、(現代の)多様性は普通がないということ」「正解はない、定石はない」と。

そして、これは自分で作った言葉と言っていたが「アセットリバース」の時代だと。これは、「過去の資産が足かせになる」「知識・経験の不良資産化」を指し、これは、普通は「能力や知識が積みあがると個人の価値が上がるが、環境が変わると一気に意味を失う。即ち新参者がひっくり返せる」と。正に、資産がバイアスを作り足を引っ張るということ。「常識が次の常識を生む。それが繰り返される。正に常識のネットワーク」ところが、先ほどの様に「一つの常識が倒れると、ドミノ倒しが起きる」のだと。

実に腹落ちする話でしょう。以前にも書いた「人類史上最も変化の激しい時代」はこのような価値観が必要不可欠だと思う。

すなわち、New Normal なんて存在しないのだ。Normalがない以上New Normalもないのだ。

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街中に咲いていたキンモクセイも一週間ですべて散ってしまった。

僕らの観ているビジネスシーンの変化も凄く速いことを肝に銘じよう。

 

女性活躍の課題とメンバーシップ型雇用からの脱却

安倍政権の看板政策の一つ「女性活躍」の旗の一つが「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする」だった。14年のダボス会議でも安倍首相が同じ内容で演説するなど、いわば国際公約ともいえるポジションだった。それがあっさり30年までの目標と格下げされてしまったのはご存じの通り。それに抗うように、日経新聞主催の「ジェンダーギャップ会議」が行われるなど、再びスポットライトが当てれれている。20年前から女性活躍は重要だと言っていながら、足元では企業はほとんど変わっていない、というのが現実だろう。このままではこの先何も変わらないまま時が過ぎてしまいそうだ。最近私もクライアントとこの件を話すことが増えた。D&Iの典型的課題にちゃんと向き合うことの重要性を分かってほしいのだ。

“女性活躍”のことを真剣に考えると、いろいろな壁にぶつかる。例えば、いかに女性の背中を押そうが、当の女性からすると「活躍してほしいと言われても、家事も育児も頑張り、その上仕事で活躍することを期待されても無理だ」と感じる人がほとんどだろう。いかに職場の理解があろうがだ。

即ち、場合によっては、職場で背中を押されても、夫の顔が浮かんでしまい、有難迷惑と感じてしまう人すらいるのではなかろうか。その壁を乗り越えるためには、一つは夫の理解が必要不可欠だということだ。能力は均等で、機会も均等、社会に還元できる価値も均等なわけで、家事や育児も均等でなければ、そのパフォーマンスは発揮されることは難しく宝の持ち腐れになる。その「均等」という価値観を腹の底から理解していない夫が多いのではないだろうか。“どっちが稼ぐ”などという価値観を持ち出して解決を図ろうとする夫もいる。妻からしたら「そういうことじゃないんだよ」と叫びたくもなろう。価値はお金で換算できるものだけじゃない。古い価値観の男性は、どこかで自分を支えてくれる妻、自分の価値観に合わせて動く妻を求めているのだろう。そんな夫が令和の時代にも残っていると感じる。女性が社会のおいてもっと活躍するためには、夫との信頼関係やコラボレーションの価値観が共有されていなければならない。何も夫に「ごはん遅くなってごめんね」とか「明日の朝の保育園見送りを代わってくれませんか」など、謝ったり機嫌をとったりするのはどう考えてもおかしい。そんな家庭環境で女性活躍を語ること自体、社会の機能不全を感じるのだ。企業サイドがいろいろな取組をしても片手落ちなことは間違いあるまい。そう、夫の教育が必要なのだ。

一方企業サイドも、いまだに古い価値観がはびこっている。「結局無理がきくのは男性だ。転勤や残業、急な休日出勤は女性には無理だ…」というような価値観。そのベースにあるのが上記のアンバランスだが、女性サイドが「我が家は大丈夫です。夫と分担してますから」と言おうが、会社サイドが余計な配慮をしてしまう、良かれと思って。間違った配慮でしかない。また、そもそも無理がきく云々の価値観がずれている。自分の都合やライフスタイルを捨てさせてまで滅私奉公する人材を求めること自体が、間違っている。そんな価値観がおかしいともう気付きましょう。働き方改革ワークライフバランスなんて言っちゃって、その本質を理解しましょう。

同時に、ステレオタイプにワーククライフバランス云々を押し付けるのもおかしい。そもそも企業は競争の中で生き残りと成長を賭けている。ここで頑張らなきゃいつ頑張るのだ、というタイミングもある。そして、仕事がライフワークだと思う社員もいる。それを間違っていると断ずることも過ちだ。多様な価値観を理解しなければならない。いろいろな価値観、経験、視座などが交じり合うことが重要なのだ。金太郎飴のように一色に染めようとする古い価値観は、企業や社会を澱ませる。居心地が悪いと感じる人を増やすだけだ。

“ジョブ型雇用”、“メンバーシップ型雇用”の議論が広まっているが、上記のような古い多様性を認めない価値観は、明らかに旧来のメンバーシップ型雇用の産物だと感じる。スキルで給与を決めず、会社都合で異動や転勤を決めることに耐えられるかどうかが重要な価値観だからだ。

かといって、ジョブ型雇用を安易に称賛するつもりはない。多くの企業でその志向が強まってはいるものの、中途半端な運用をしても混乱するだけで、早晩挫折する気がしてならない。ジョブを詳細に定義し、いちいち契約して給与も決め、会社都合で異動することはなく、必要なポジションは丁寧にジョブを定義して応募して採用し、見つかるまで採用活動を続けるようなことを通年やり続けなければならず、よっぽどの覚悟と準備と社員の理解浸透が整わないと、不公平感がはびこり、職場心理が荒れるだろうと推察される。そもそも多くのポジションはいい加減なジョブ定義しか書けないと推察する。

しかし、この議論は今後の企業と社員の関係を大きく進歩させる重要な変革起点になる。特定の職種から始めるとか特定の階層以上から始めるとか、丁寧な準備と共に段階的な浸透を図るなどの施策が必要不可欠だろう。

女性活躍の観点から横道に逸れたように感じるかもしれない。しかし、メンバーシップ型雇用の価値観からの脱却が、女性活躍の浸透を助けるのは間違いないと思うのだ。

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均等が一番

 

トップ5%社員の習慣

皆さんお元気でしょうか。すでに10月。今年もあと3か月しかないなんて信じられない。追い立てられるように時が過ぎていく。こんな人生を過ごしていいのだろうか?もっともっと時間を有効に使いたい。しかしコロナ禍。昔のようにはいかないのが口惜しい。先日のトランプ大統領の感染事件。不謹慎とは分かっているものの、ちょっと笑ってしまいました。ブラジルの大統領に続いて「風邪と同じだ」と言った人にも公平に感染リスクがあることが証明された。当たり前かw 早く回復されることを祈りたい。それはそれで選挙にポジティブに働くんだろうな~

 

今日はある記事を読んで感じたことを書くことにする。PRESIDENT Onlineで書籍「AI分析で分かった トップ5%社員の習慣」の要旨が紹介されていた。とても興味深い内容なので一部を紹介したい。詳細がお知りになりたければ書籍を購入されたい。

著者の越川氏はクライアント企業の社員1万8千人の行動を、定点カメラ・ICレコーダー・GPSで計測しデータをAIで分析した。結論から言うと、トップ5%社員の行動習慣には共通点が読み取れたというのだ。そして、その後29社で実証実験を行い、その習慣すなわち一種のビジネスのコツを、その他一般社員でも再現可能だと実証したという。もし本当なら人材育成や日々の1on1やコーチングで活用できそうだ。

「5%社員の5つの行動原則」はこうだ。

1. 「5%社員」の98%が「目的」のことだけを考える

彼らの会話に高頻度で登場する言葉があることが分かった。それは「結果」「目標」「達成する」「成し遂げる」「認められる」だ。その他「95%社員」の3倍以上の頻度で使っていたというのだ。事実を突きつけられると驚く。私も以前からメンターやコーチとしてクライアントに向き合うとき、よく「あなたの存在価値は何か?」「成し遂げたいことは何か?」と問いかけます。これは「自分は何をすべき(すなわち目的)人間なのか?」を考えてもらいたいからに他なりません。要するに、「自分と正直に向き合ってもらいたい」のです。私はこれがコーチの価値の一つだと思っています。

また、「5%社員」は時計を見る時間が「95%社員」の1.7倍で、会議で期限や時間に関して2.3倍以上発言している、というのです。これもとても興味深い。これは言い換えれば常に限られた時間内に結果を出すことを意識しているということだ。この時間のゴールは何かを意識しているのだ。私のあるクライアントの会社は、会議で議論されたことがその場だけで終わってしまい、次につながならないと嘆く。聞くと、会議がアクションアイテムや分担や期限を決めずに終わるのだという。これでは会議のための会議でしかなく、何の進歩も進展もない。誰もフォローもしないのだから。目的のない会議が存在することだけでも、経営システム不全だ。

そして、次にまた納得できる結果なのがこれ。「95%社員」の作成する資料は「5%社員」の資料に比べページ数が32%多いのだ。更に、時間でいうと「5%社員」の資料作成時間は20%短い。そして、パワポの1スライド中の文字数も少ない。即ち伝えるべきことにフォーカスできているということだろう。

2. 「5%社員」の87%が「弱み」を見せる

「5%社員」のひとは人間関係を構築するときに、雑談から入り距離を縮めたうえで、「自分の弱み」をさらけ出していたのだ。アンケート結果でも「5%社員」の73%が「自分の弱みを出すことに抵抗がない」という。一方「95%社員」は同じ回答が23%だけだったとのこと。

実は私はよくクライアントにこういう話をする。「価値観は分かり易いほど良い」「自分を材料として提供する、即ち弱みや失敗談をさらけ出すことで、共感され信頼関係が生まれる」と。実は自分の弱みをさらけ出すことのできる人は、「強い人」だ。自分を良く見せようとする人にはできない。記事でもこう言っている。「『5%社員』は決して強い部分によるマウンティングをしません」と。よく分かる~w。皆さんもそういう人になりたいですよね。

3. 「5%社員」の85%が「挑戦」を「実験」と捉える

「95%社員」よりも「5%社員」の方が、会話やチャットで接する人数が多く、会議での発言頻度は32%多く、更に社内での移動距離も22%長いという。明らかに自発的に動き自分のフィールドを広げる行動をしているのだ。

実は同じような実験が日立の中で長年行われてきた。社員にセンサーを付け、誰がどういう行動をして誰とコンタクトしているのか、長年でデータを取り続けてAIで分析して知見を溜めてきた。矢野さんというフェローがその分野のオーソリティーで、今ではそれは同社のサービスとしてビジネスにしている。「幸福度」を測定し自己実現可能な生産性の高い職場を創るのだ。今年6月に「ハピネスプラネット」という新会社まで興している。

また、こうも書かれている。「5%社員」は横の広がり、つまり自分にはない経験やスキ身につけようとする人が69%いることが分かったと。彼らは、「変化の激しい現代で対応力を高めていくには、1つのスキルや技術に固執することなく、より多様な能力を身につけていった方が市場価値が高まると考えている」

私は以前から望むべきリーダー像を表わしてきたが、その中に「ひとたらしで」「行動力があり」「意思表示が明確で」「オープンで」「発信力があり」などなどを入れている。どれだけ多くの人とつながれるか、共感されるかがリーダーとして必要な価値観だと強く思うのだ。

4. 「5%社員」の73%が「意識変革」はしない

この表現は私には腹落ちしない。どうもこういうことらしい。「5%社員」たちもトップダウンの行動変容要求(こうしろああしろ・・・的)には抵抗を示す人も多い。しかし、彼らは自分と向き合う習慣を持っている。それが、自分や組織にメリットがあるのかどうか自分で考え判定するのだという。意義や目的が理解できれば行動を変えるのだ。同時に彼らはそれが納得できれば、ほかの人にそれを広める傾向があるとのこと。意味のあることは自らインフルエンサーになるという形のリーダーシップを発揮するのだ。なるほどね。即ち「意識変革」を押し付けられない。納得すれば自ら変わる、ということなのね。

5. 「5%社員」の68%が常に「ギャップ」から考える

「5%社員」は最低限の計画しか作らず、まず行動する。途中で行動を修正しゴールを目指すという。

また、例えば顧客にプレゼンする場合、こちらサイドと顧客サイドでは情報の多寡やニーズの理解など多くのギャップがあるのが常。「5%社員」はその他より、ギャップを埋めるための事前ヒアリングを徹底しているのだ。

常にゴールまでの道のりは想定できないことばかり。それを知っているから、まず動く。常に気付いたギャップを埋める行動を取りながらともかく進む。ハイパフォーマーの行動がそうなのは容易に想像がつくね。

 

どうでしょう。これを鵜呑みにする必要は全くないが、いいところを突いていると感心する。そして気付かないかな? 強いビジネスピープルなり、ハイパフォーマーなり、リーダーなり、変革者を育てるヒントがたくさんあると。

皆さんが日常行う1on1などのコミュニケーションの場で伝えるべきこと、問いかけるべきことは、変革の余地がある。そして、職場のコラボレーションはリーダーのコーチング力やトレーニング方法によって、進化できる余地がある。

さて、明日から早速試してみよう。

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奄美黒糖焼酎バカラでいただく。ギャップがあるようでないw

わざわざ「糖質0」とデカデカw 焼酎はみなそうだよ~

 

 

清廉さ

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涼しくなり、急激にジョギングやウォーキングを楽しむ人が増えてきた。早朝のそれは実に気持ちがいい。もっと晴れる日が多いといいのにな。

トランプ大統領が過去20年の大半の年において連邦税を支払っていないという。ニューヨークタイムズはその事実を18項目にわたって分析した記事を掲載した。その要点をNPが解説している。その中のいくつかを紹介したい。恐ろしい話ですよ。

1. 税金逃れのポイントは多額の還付金が原因

トランプが納めた税金は18年間合計で約9500万ドルになる一方で、2010年以降7290万ドルの還付金を申請し、それを受け取っている。収めた税金のほとんどを取り戻しているのだ。どういうこと?

2. その還付金の不透明さにより国税と対峙

トランプはアトランティックシティのカジノに対する投資によって多額の損失を被ったことを、理由にしている。国税サイドは不透明だと2011年から調査を続けている。10年近くたっても未解決のままだ。これは全く理解できない。国税の力不足か、ほかの力が働いているのかなど、憶測したくもなる。日本の国税だったらそうさせないだろうな、なんて思う。

3. 個人的な支出を事業の経費として処理している

私も個人事業主で、経理処理はすべて自分で行っているのだけれど、よく言われるように、個人的な会食等の領収書を残して経費として処理するなどということは、まったくしていない。そんな少額を計上しても節税なんて誤差のようなものだし、そもそも良心がそうさせない。トランプはどうやら違うようだ。自身のヘアカット代7万ドルはもとより、娘のイバンカのヘアメイクアーティストに支払った10万ドルも経費扱い。その金額にも驚くが… 金の使い方間違えてないかい? Forbes Japanによると、人気の民主党女性議員オカシオ・コルテスさんは「自身が昨年、誕生日に美容院などで250ドルを使ったことで共和党の議員たちから憎悪を込めた発言や辛辣なコメントを浴びせられたことを振り返り、次のようにつぶやいている。『彼らのアイドルがヘアスタイリングのために7万ドルを使ったことは批判しないわけ? ああ、彼らは腰の抜けた女性嫌いの偽善者だものね、しないわよね?』」これには共和党議員も反発の余地はないはずだ。

3. 固定資産税の減免

96年にベッドフォードに200エーカーの土地を購入して、避暑地として利用し続けている。にもかかわらず、これを事業用の不動産として申告し、2014年から毎年固定資産税から220万ドル減免されている。なんと、2017年に自分が承認した税法は、減免は毎年1万ドルまでと、なっているのに。要するに、金持ちにそんな減免をさせない法律なんでしょ。彼は、それは法律ができる前のことと言い逃れするんでしょうね。

4. 不透明なコンサルティング

トランプは海外も含め多くの不動産プロジェクトに関与しているが、その多くのケースで収益から多額のコンサルティング料を支払っている。2010年以降だけで、その経費が2600万ドルもある。

5. イバンカへの支払いか?

上記のような中に無名のコンサルへの支払いがある。74万7622ドル。同年イバンカは全く同額を受け取ってた記録があるだって。なんででしょうね?? 私には、利益隠し丸出しに見えますが… 半沢直樹だったら許しませんよ~

6. 赤字事業

ゴルフ場経営やホテル経営など不動産関係の事業の多くは、実は赤字だ。それも巨額だ。それら赤字事業のおかげてトランプは税金を払わないでいるのだ。

7. 大統領としての利益

大統領就任後、トランプの事業は利益が拡大する。それは、トランプの経営するホテルやゴルフ場にロビイスト、政治家、外国の政府高官、宗教団体などが多額のお金を落とし始めたのだ。その金額までタイムズ紙は公表している。大統領になりたかったのはお金のため??

8. とはいえ利益はない

事業収入は増加しても、穴埋めできる損失はその一部。自転車操業は続いているようだ。事業家としては実は三流なのね、きっと。「ディールは上手い」って??

9. トランプの財政状況

現在トランプは4億2100万ドルの借金を持っている。そのほとんどは4年以内に返済期限が来る。トランプが大統領選に落ちれば、容赦なく債権者は差し押さえに走るだろう。しかし、再選されたらどうなるんだろうか? 見ものだね。

トランプは、放漫経営による大赤字を手練手管の節税などでしのいできたものの、解決には至らず、財政状況は大ピンチということらしい。これからも錬金術を編み出さざるを得ないのだ。今後何をするのか恐怖を感じるのは僕だけだろうか。何が何でも再選されたいのね。

大金持ち、特に不動産というバブルネタで財を成した人のこと全員を悪く言うつもりは毛頭ないが、株も含めてそれらを転がすことによって収益を得ている人を、尊敬はできないな。

特に、そういう人が政治家、それもトップになってしまうアメリカ人の価値観を理解することは難しそうだ。政治家は清廉であることが大前提。「足るを知る」価値観(自分が持っているものに十分真の豊かさが宿る)が何より大切だと思うのだが。

そして、アメリカの国税当局を応援したい。きれいさっぱり暴いてもらいたい。ちゃんと税金を支払わせてもらいたい。アメリカ国民の多くもそう思っていると思いたい。