BTSとBMCと

前に書いた通り、僕は仕事中は(オンラインミーティングを除く自宅デスク)もっぱらAmazonMusicHDを聴いている。その日の気分でミュージシャンやプレイリストを選ぶ。ポップスを聴いていると、この2か月くらいよく流れるのが「Dynamite」。アメリカで流行るために必要な要素を見事に織り込んだ曲。メロディーもハーモニーもファルセット満載な高音域も、方程式を解くように作りこまれた、ヒットが必然の出来だ。実はそのグループ名(BTS)を知ったのはつい数週間前。更にそれが韓国のグループと知ったのも、あの徴兵逃れ云々の報道を聞いた時だった。現在23~27歳の彼ら。実はデビューは2013年。結構ベテラン! びっくり。なぜ日本から世界で羽ばたくポップスが出ないのだろう。これからますます日本のマーケットは小さくなる。コミック以外にもCool JAPANが欲しいね。日本という国にもっとシンパシーを感じてもらうためにも。

 

さて、今日は最近気づいたこと。先日知人からのメールを読んだことがトリガーになり、あるブログを読んでインスパイアされた。それは、インクリメンタル(incremental)イテレーティブ(iterative)の意味です。

そもそも意味は前者が「次第に増加すること(漸増的)」「増加部分を積み上げていく方式」、後者は「反復的」「繰り返す」という意味です。これではよくわかりませんよね。実はこれはソフト開発をする時などにも使うようです。

このサイトを見ればイメージがわきます。

rihoublog.com

ソフト開発をする際も、特にアジャイル開発を進めるときはどう作るかに注目した方がいいですね。インクリメンタルに作ると、全体をリリースするまで使えません。(ただし、サブシステムごとにサービスが独立していればその限りではありませんが。)部分的に完成させるように作ると、全体ができるまでに後戻り工数が増えますよね。全体の整合を考えずに作っていますからね。それに対して、イテレーティブに開発すると、基本的な機能だけで全体を開発・リリースし、その後機能強化を続けるという感じですから、リーンスタートアップ的な新規事業開発に向いた考え方になりますね。極簡便な機能を無料あるいは安価にリリースし、顧客を掴んでから順次機能を強化していく。クラウドサービスの多くはそうして成長してきた。もし顧客が付かなかったら撤退すればいいのですしね。

開発以外でも僕たちビジネスマンの日常において、二つのアプローチを的確に使い分けることが大切なシーンがあります。それは、資料作成です。提案書やプレゼン資料がその典型です。どうです皆さんは? 思いついた部分だけ完成させる、例えばパワポなら思いつくまま1ページずつ脈絡なく完成させていく人もいますよね。まるで、いろんな部品がばらばらに完成していく感じです。それを組み合わせても文脈が成り立たない、なんていう経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。それが、インクリメンタルに資料を作った場合ですね。

そうです。全体として何を主張したいのか等のストーリーが、よく分からないと指摘されるケースですね。読み手に刺さらないわけです。資料を作る場合のこつは、まず全体構成をイテレーティブに作ることです。アウトラインですね。起承転結のストーリーのようなイメージです。アウトラインを作ったら、その構成に従った部品(ページや見出し、章立て等)をインクリメンタルに作るのですね。そして、最後に全体のストーリーが腹落ちするか、各部品が機能しているのか等を、イテレーティブに見直すのです。

私もかつて部下やプロジェクトメンバーから報告や説明を星の数ほど(ウソw)受けてきましたが、インクリメンタルに作ったことが明らかなケースは、実はかなり多いですね。言いたいことだけをワンポイントだけ渾身の力を込めて作ってしまうので、そもそも何を伝えたいのか、聞き手はどの程度予備知識や背景を知っているのか等の配慮などが、すべて欠如しています。結局何が言いたいのかが分からなかったりする。

ビジネスの世界ではこのようにイテレーティブに考えるアプローチが必要です。手前味噌になるリスクも回避できますね。上空から鳥瞰する感じと言ってもいいかもしれません。

多くのビジネスパーソンは新規事業開発に悩み苦しんでいますね。そんな人たちに必要なフレームワークBMC(Business Model Canvasですね。皆さんもご存じだと思います。さて、気付きましたか? BMCもそうなのですよ。舐めてはいけません。どこか一部が尖っていることに自信を持っているだけで突っ走っても、ビジネスにはならないのです。イテレーティブに全体の整合と反復的な深堀なく、BMCは意味をなさないし、それに従ったビジネスは成立しないのですぞ。

 

f:id:taka-seed:20201025162027j:plain

平和な我が街と秋晴れと