主権在民は国民が判断力を有することが前提ですね

国民主権とか主権在民という言葉がある。中学で習った記憶があるが、現在ではあまり使われなくなってしまった。

国民が政治を決定する。言い換えれば、世論がすべてを決めると言っても過言ではないだろう。国民は何をもって判断するのか。第一は情報、即ちマスメディアでしょう。一番手っ取り早く事実を伝えてくれるからだ。しかし、本当に事実? それが一番大事な視点? と感じている国民も少なからずいる。メディアの劣化につていは何回か触れた。本質をついていないことがあまりに多すぎるからだ。現代は大人ですらニュースにあまり関心を示さない。シラケているのかもしれない。それがメディアの劣化を招くネガティブなサイクルを作り出したとも言える。視聴者・読者が減るから、メディアは目を引くことだけに注力する。「読まれてなんぼ」ということが第一優先となり、国民の低俗な嗜好に寄り添うということだろう。また、国民はニュースに興味がないだけでなく、メディア自体が多様になり、その多くはフェイクで満たされているから始末が悪い。悪いことに、それを判断する眼力や洞察力がないので、フェイクに振り回されたり、本質とは全くズレた論点やスキャンダルしか興味を示さなかったりする。

即ち、結果的にマスメディアが政治を決めてしまうという状況は戦争中であろうが、現代であろうが変わらず、悪いことにその媒体自体のレベルが落ちていることによって、国民自体のレベルも落ちている状況にあると言っていい。残念ながら、それに引きずられるように政治家のレベルも落ちている。多くは国民のレベルが落ちていることをいいことに、国民を舐めている。まともな人を探すのも苦労する有様だ。毎日のように呆れかえるような記事を目にする。

自民党の驕慢ぶりに呆れかえる - Heaven's Kitchen / 清水のブログ by Seed Master Consulting (hatenablog.com)

1/22の谷川弥一氏(元衆議院議員)の会見など酷いものだ。大臣になるために金をばら撒いた。辞めるんだから文句はないんだろうと言っているのも同然の傍若無人さだ。開き直りにもほどがある。あんな人を当選させた国民が悪いとしか言いようがない。

 

昔、国策捜査(民意を意識して捜査する)を認めた検事もいたが、それの裏では、それは僕らのお陰だと鼻高々なマスコミがいたに違いない。僕ら(マスコミ)が検察を動かした、凄いでしょと言わんばかりだ。皆傲慢すぎる。

国家の品格」を書いた藤原正彦氏が「国民は永遠に成熟しない」と言ったが、残念ながら本当にそうだなと思う。

 

人々はある時に驕慢で支配的なリーダーに嫌気がさす。そんなリーダーが作り上げたチームは多様性がなく、違う意見の人は懲罰を受け排斥されムラ社会が形成されていく。人々がそれに気付いた時に、反驕慢リーダーの狼煙が上がるのだ。国家で言うなら、専制国家のリーダーに嫌気がさし民主化が進むというわけだ。

しかし、民主化に成功したとしても、不況などいろいろな理由で国民のウェルビーイング度合いが下がると、その不安定な状況を脱するために新しい支配的リーダーを求めてしまう。即ち先祖返りのようなものだ。それは歴史が物語っている。それは企業でも同じで、「ワンマンな人物は、不安定な状況の中で組織が失った主導権を取り戻して安定を保証する期待の星に見える」(マシュー・サイド「多様性の科学」)からだ。業績が不安定で将来が見えなくなった時には、強烈・強引、言い換えれば驕慢でもあるリーダーを求めてしまうのだ。

例えば、フランスの歴史を見るとよく分かる。ホッブスジョン・ロック、ルソーが社会契約説を唱え、民主主義の萌芽が見られた1600年代後半から1700年代後半を経て、1789年にフランス革命が起こったわけだが、その時点までルイ16世は「朕は国家なり」(最初に言ったのはルイ14世)なんて言っていたのだ。その王政が、革命により立憲君主制、共和制、ナポレオンによる帝政、王政復活、共和制、帝政・・・そしてマルクスエンゲルスが登場しヨーロッパの一部に社会主義の流れが深まっていく。などと、国民はそれまで懲りたはずなのに、現状打破のために逆のリーダーを求めて、また失敗することを繰り返した。それが歴史・事実なのだ。

僕たちの知的レベルや倫理観、知恵をこれ以上劣化させたくないと思う。何かがおかしい!という勘も働かなくなりつつあることは間違いないのだ。感度が痛烈に鈍化してはいまいか。心から恐ろしいと感じる。

 

今の自民党に国民はどういう判断を下すのだろうか。史上最低とも言える支持率。次の選挙で国民は自民党を見限るのだろうか。思い出してほしい、2009年麻生首相の時。国民は民主党を選んだ。単独過半数を大幅に上回る308議席を獲得し鳩山幸雄政権が発足したのだ。その後の迷走ぶりに国民は落胆し、2012年には自民党単独過半数を獲得し3年3か月ぶりで政権に復帰し、安倍首相が選出された。民主党の実力不足は明らかだった。その後、野党の低迷は現在も続いている。

今、政権を任せられる野党が存在するとは思えない。しかし、自民党の驕慢ぶりには鉄槌を下すべきだと思っている国民は多いだろう。成熟しない国民はどのように行動するのだろうか。2024年は国内も荒れる。

 

さて、ここでこの話を付け足したい。

孔子はこう言っている。「衆(しゅう)之(これ)を悪む(にくむ)も必ず察す。衆之を好(よみ)するも必ず察す」論語

これは、大勢の人が皆憎む人でも良く調べなければならない。同様に、皆が好む人も良く調べなければならない、という教えである。即ち、現代に置き換えると、売上のために人心を先導する意図のあるマスコミの言いうことを信じることなく、自分の目で調べ考える人が、本物の知性のある人だ、ということを指しているのだ。本当にそうだね。

御神木はそんな僕らにカツを入れてくれるだろうか