正論の美

 環境活動家グレタ・トゥンベリさん 温室効果ガスの排出の多い飛行機を避け、ヨットで大西洋を横断してマドリードに到着したのは先日のこと。

環境マフィアだとか、結局自分では何もできずに具体的目標数字も出さない、ただのパフォーマンスだ、炎上芸人だ、経済成長と利益優先を批判されると腹が立つ、パフォーマンスとしては筋が悪い、…… 彼女はなぜおじさんたちにこうも人気がないのか??

温室効果ガスを減らすための大胆な取り組みは、コスト増等我々の日常を脅かす?、コスト増は世界の貧しい人たちに重くのしかかる?、温暖化より安くて便利な方を選ぶ?、すべて経済優先、現実解はないと諦める?、環境対策企業にフォローの風が吹くように動く回し者?、自分が生きている間だけ幸せならいいの?、そんな綺麗ごとは幻想なの?、いろいろな思惑や感情が入り乱れる。 

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候のシミュレーションは「一連の過去の変化を全然再現できておらず、地球の気候の複雑さを表現できていない」すなわち、IPCC自身科学的ぶれは大きいと認めているとのことだ。

要するに地球温暖化は確かに起きている。ただし、100年で1.5度程度。これはCO2排出が少なかった昔の100年、即ち自然に温度が上がった時と変わらないという。

CO2ではなくて太洋磁場の影響だという人もいる。

 

彼女は言う。「各国の指導者は未来と今の世代を守る責任がある」

「科学に基づいて行動しろ」と言っている。即ち感情的に言っているのではないととれる。一方で、科学は正しいとは限らないという大人が蒸し返す。今までだって科学は覆ったことが何度もあったと。

結局は既得権益者との戦いなのか。政治家は皆既得権益者。即ち経済を謳歌し豊かさを求める国民に媚びている人たちだとも言える。電気料が上がるけど我慢してくれ、ガソリン値上げも我慢してくれ…と環境のためにコストを強いる政治を避けてきた。耳障りの良いことに終始し、結局そのツケは未来の子供たちが負うのか。グレタさんの気持ちはよく分かる。

結局は科学的根拠が揺らいでいるのが問題の一つ。合理的な改善策が明確でなく、強硬論の戦いになってしまって世界的な合意が得られないのが問題の二つ目。

 

私は正論を堂々と言う潔さ、を感じざるを得ない。それ自体が正しい根拠があるのかどうかという意見はあろうが、それは学者が寄ってたかって解決しなければならない問題。正論を堂々と言うことによって、衆目を集め新しいウェーブが起きる。イノベーションだったり、科学的根拠だったり、政策合意だったり、人々の努力だったり。大人はそれに耳を傾けよう。温暖化は事実であり、諸問題を引き起こしているのは間違いない。それに向き合おう。できること、すべきことは何なのか真剣に考えよう。行動しよう。それは小さなものかもしれない。しかし、その積み重ねが必ず清廉な人々を巻き込み、誰のものでもない皆の地球を、より住みやすいものにする努力のエネルギーに繋がるでしょう。 

つまり、こんな感じだ。CO2が地球環境に与える影響は非常に大きいという前提に立って、即ちそれが現代の新しい常識だと理解し、将来の危機を共有し、一人一人ができることを前向きに行う。全員が行動する。ということをすることが大切だろう。その常識が定着し、お金が動き、イノベーションが加速し、政治が動き政策が力強く発動し、そんなことは無理だと思われてきたことも、国民の理解を得られ、舵が切られる。そうなることを皆で期待し、将来に向かって責任を持った行動をするようになると素晴らしい。

例えば、ESG投資(ESG銘柄の株を買う)だっていい。そんな小さな行動がきっと未来につながる。

 

ローマ法王の今回の来日は人々の心に正論とは何かという楔を打ち込んだ。すべての命を守るために核兵器の使用は倫理に反する、即ち核は廃絶しなければならない。自分だけの利益を後回しにして、平和に向かって「ともに歩むこと」。抑止力のバランスの上に成り立つ冷戦など意味はないのだ。自国優先を叫ぶ多くの国家元首。皆現実的にできるわけないじゃないかと口をそろえるだろう。しかし、永遠に目指すべきものは間違いなく正論中の正論「世界平和」のはず。誰がその当たり前の正論を説くのだ。北朝鮮やイランを前にしてどの大統領が正論を説くのだ。正論を捨てた“ディール”という外交。

 

正論を言い続けるという美意識は人としてとても大切だと思う。実は企業も同じ。「何をもって美しいと思うかで企業も決まってしまう」。これは先日会食したある社長の言葉である。実に正しいと思うのである。

f:id:taka-seed:20191210173756j:plain

 ふるさと納税で手にいればクラフトジン。美味しいといいが。これ、鹿児島の焼酎メーカーが作ったんだよ。

f:id:taka-seed:20191210173809j:plain