偉大なイノベーターたちの物語

10/18にHitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYOに参加してきました。NY大学のメリッサ・シリング教授の講演が非常に面白かった。題して「偉大なイノベーターたちの物語~画期的なイノベーションの起こし方~」題からして興味深い。

題のように彼女は数々のイノベーターたちを研究してその特徴を浮き彫りにした。Crazy smartな天才たち共通の特徴とは何なのかなど実に面白い。

 

■自己効力

中でも私がなるほどと感じたのが、自己効力(self-efficacy)だ。以前に前職の社内ブログでも自己効力のことについて書いた*1ことがあったが、実はつい先日もNPの記事「強いリーダーたちに必要な『セルフ・コンパッション』とは?」にもインスパイアされ、コメントを書いた*2ところだった。

彼女いわく、イノベーターたちは皆卓越した自己効力の持ち主だった。イーロン・マスクがその典型。彼の口癖は「I think I can do it」だ (*^^)v 自己効力の強い人は明らかに幸せだ。下記の*1を読んでほしい。そりゃそうだよ。根拠があろうがなかろうが自信があるんだからね。彼女は自己効力を上げるためには、子供のころから成功体験を積ませなくてはならず、失敗してもいいから怖がらずやってみさせることが何より大切だという。よくわかる話だ。どんどん挑戦することを奨励し、成功したら褒めるということだ。その積み重ねが、チャレンジ精神を生み出し、どんどん新しいことをやってみたくなる。なぜなら成功体験が沢山あるからだ。どんどんハックすること(ちょっと覗いてみること)も奨励した方がいいという。そういう繰り返しにより、例えば伝記を読むことが楽しくなり、それにより更に代理体験を積むことができるのだ。

そう、子供の育て方の参考にもなりますね。もう遅いかw。

 

■孤独

同時にイノベーターたちは共通して孤独だったという。多くのイノベーターは心を閉ざしていた。しかし、成功者たちは他人からの批判を意に介さなかった。実は心を閉ざしていたからそうできた。今我々の社会や企業では型破りな人を受け止められるだろうか。例えば、彼女いわく、ブレインストーミング即ち何の前提もなく自由に斬新な意見を尊重する議論は、今や他人の目が怖く他人に認めてもらうアイデアを発表したいという欲求にかられた場になっている。コンセンサス、意見を合わせることに時間を割き、一つのアイデアに収斂させるように努力をしてしまう。それではイノベーションは起きないという。仰る通りだ。

もちろんジョブスにしろアインシュタインにしろマスクにしろ、ブレインストーミングで意見の収束を目指したりは絶対にしない。そんな型破りな個性を潰すことなく活かす道を歩まなければならない。それが唯我独尊の強いリーダーならばいいが、そうでないならあなたの組織はそんな型破りなイノベーターを活かすことができますか?

 

■そしてダイバーシティ

そう、多様性がイノベーションを生むのだ。彼女はこういう。ドメインの外側から来る人が大切。バイアスのないのが重要なのだと。即ちアウトサイダーを大切にしなければならないのだ。オッサンのムラ社会はその真逆なわけで、イノベーションの対極だ。あなたはあえてアウトサイダーになれますか? あなたの組織はアウトサイダーを大切にしますか?

 

*1 2017/12/11

■​自己効力感

自己効力感”という言葉を聞いたことはあるだろうか。ググってみると「セルフ・エフィカシー(self-efficacy)」 心理学者アルバート・バンデューラにより提唱された心理学用語。自分の能力の自己評価、目標達成能力が存在しているという「認識」とのこと。少し難しいね。具体的にいうと、「人が何らかの課題に直面した際、こうすればうまくいくはずだという期待(結果期待)に対して、自分はそれが実行できるという期待(効力期待)や自信のこと。」なぜ、これを取り上げたかというと、モチベーションアップに大きな影響を与えるといわれているからなのだ。「自己効力感は、その行動を実際に始めるかどうか、どのくらい努力を継続するか、そして困難に直面したときにどのくらい耐えられるか、ということを決定づける。」のだ。目をキラキラさせて楽しそうに上機嫌で仕事が出来るかを決める心理状態なのだ。 

“BIZHINT”にも具体的な行動で例示してあるのでとても分かりやすい。以下に引用しよう。 

「自己効力感」が強い人の特徴。 ・新しいプロジェクトの参加を強く希望する。 ・多くの資格を取得している。 ・失敗したときの立ち直りが早い。 ・注意されても前向きに捉える。 ・コツコツと努力できる。 ・他のメンバーの仕事もカバーする。 ・物事の本質をすぐに見抜く。 ・チャレンジ精神が強い。 ・要領が良い。 ・メモをしっかり取る。 ・仕事と趣味を両立させる。 ・約束の時間は守る。 ・「どんな仕事でも任せてください」 ・「次はもっと頑張ります」 ・「すぐに対応します」 ・「きっと上手くいきます」 ・「更に難しいことに挑戦したい」 

「自己効力感」が弱い人の特徴。 ・常に自信が無い。 ・失敗を過剰に恐れる。 ・自分にできる気がしない。 ・挑戦を嫌う。 ・作業内容の変化に戸惑う。 ・仕事のミスを報告できない。 ・やる前から諦めている。 ・失敗からの立ち直りが遅い。 ・いつまでもくよくよしている。 ・否定的な発言が目立つ。 ・遅刻や欠勤が多い。 ・協調性が感じられない。 ・「だってしょうがない」 ・「どうせまた失敗する」 ・「悪いのは自分だけじゃない」 ・「私はいつも人に嫌われる」 ・「どうせ自分には無理だ」 ・「どうしようもないダメ人間だ」

 とても分かりやすいでしょ。我々の周りにも“能力は凄く高いけれど活躍しない人” “やれば出来るのに頼もうとすると目を合わせない人” “そうっと出社して陰のように退社する人” “実は結構辛口なのに人前では一切発言しない人”のような人がたくさんいるでしょう。どうやら現代日本人の特徴になりつつあるようだ。

 自己効力感が弱いと、困難に立ち向かい、リスクを冒してチャレンジしたり、矢面に立ち戦ったり、根本的課題を勇気を持って指摘したり、チャンスと見るや誰よりも速く行動したり出来ないわけで、日々戦うことにより成長する企業にとっては致命的な能力不足、エネルギー不足になってしまう。

 自己効力感を高める方法にはいくつかある。達成体験(達成感、成功感によって遂行可能感を高める)、理経(第三者が実行して成功を収めたという事実を見聞きすることによって遂行可能感を高める)、言語的説得(周りからの励ましや評価によって遂行可能感を高める)、想像的体験(成功体験を想像することによって遂行可能感を高める)などだ。詳しくはアルバート・バンデューラ(Albert Bandura)の書籍を読むかWebサイトを調べると良い。

 訓練や思考のクセを直すことによって高めることは出来そうだね。職場での日常の会話でも、ちょっとした心がけでじわ~っと効いてきそうだね。

 今すぐにでも出来るのは想像的体験だ。早い話「出来そうな気がする」と想像するわけね。

なんだか聞き覚えがある。あれ~?

 イケそうな気がする~!!

エロ詩吟 天津木村だ・・・

超自己効力感が強い人だったのねw

 

お後がよろしいようで

 普段の努力で高められるね。ポジティブシンキング!

 「あると思います」

 

 

*2 確かに世のリーダーたちの多くは「リーダーたちは、強くなければならない、と大きな重荷と責任を背負っている。」でしょう。それが大きなストレスになり、逃避してしまう場合もあるだろう。

その時に必要なのはセルフ・コンパッションだという。「セルフ・コンパッションは、こうした感情があってもいい、という場を作り出す。”今日は最低の気分だ”と感じても大丈夫だし、それを解決する答えを持っていなくてもいいのだ」「こうした感情にすぐに向き合うことは、リーダーとしての本当の強さの表れであり、そうすることでほかの人により共感的になれることもあるという。」

なるほど。認めて向き合うことは本当の強さを鍛えることになるように感じます。

私はなるべく自分のダメなところ、失敗したことなどネガティブなことも周りに晒すように心がけています。自分が材料になれればいいという考えもありますが、晒すことをためらわないのは、一種の鈍感力にも似た強さなのだと感じているからです。

また、自己効力(セルフ・エフィカシー)もリーダーに大切なマインドセットだと認識していますが、セルフ・コンパッションと合わせ両方持つと最高ですね。努力しようっと(^^♪

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これもダイバーシティ

日本蕎麦にコリアンダー。そしてラー油味。正にフュージョン、多様性を認めずにイノベーションなど起きるわけなし。とはいえ、コリアンダーは苦手なんだよな~(-_-)zzz

価値観に忠実に

自分が誰に何を届けられるのか? 何を残せるのか?

働くとは何なのか? 価値とは何なのか?

働くって時間じゃないんだよな。なぜなら届けるべきものは価値だから。

価値は創造すべきもの。

学んで咀嚼してオリジナルを創り出して、相手を思って、相手を変えること。

相手に今までやったことのない行動をしてもらうこと。

何が大切で、何はどうでもいいかなどの、人生観や仕事観を典型とする価値観を際立たせること。

そして、充実した人生を送りたいなら、自分の価値観に忠実な行動をとることだと気づかせること。

 

自分が今まで積みかさねてきた努力を信じろ。

目標でなく目的を考えること。何をするかではなく、何のために生きているのか、仕事をしているのか、だ。

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秋の散歩道

一気に秋になっちゃった。この台風が過ぎたら紅葉が始まる。台風は対策をとってくださいね。

強みとエンゲージメント

■「強み」

自分の強み・得意なことを分かっていますか? ギャラップ社の調査によれば、「自分の強みにフォーカスして仕事をしている人は、そうでない人より6倍高い確率で仕事に満足」し、「自分たちの強みにフォーカスして仕事をしているチームは、そうでないチームより12.5%高い生産性を上げている」のです。

だからこそ聞くのです。自分の強み・得意なことを分かっていますか?

案外分かってませんよね。自分の強みとは何なのか? よく考えてほしいのです。例えば、あなたが転職しようとすれば当然問われる質問ですよね。あなたは理由はともあれ、今の会社を辞めようと決意したときに初めて考えるのですか?

それは特定のテクノロジーかもしれません。マネジメントの経験と成功モデルかもしれません。必勝のフレームワークを作ったことかもしれません。執着心や当事者意識などのベーススキルかもしれません。オープンイノベーションに必須な人たらしのケミストリーかもしれません。広角な人脈かもしれません。深い業界知識や業務知識かもしれません。

それが会社の成長のために活用されているとき、それが成果を生み称賛されているとき我々はエンゲージメントを感じますね。しかし、成長ということを考えたときにその強みに甘んじていていいのかという、もう一つの分水嶺があります。あなたが本当に欲しい成功とは何なのでしょうか? ひとつの領域のプロになるのか? それが狭いもので良いのか? 例えばマーケティング部門でブランディングを担当していたとして、その分野で成果を出し評価されていたとしても、部下が育ち任せられる状況になれば、あなたは部下を異動させ自分がそのまま居座るか、あなた自身がほかの領域にチャレンジし、例えばマーケティングの別領域で経験を積むのか、全く違う仕事例えば営業にチャレンジするのか、ブランディングのプロとして転職するかなどを考えなければなりません。

即ち、強みは永遠ではないかもしれませんし、戦略的にキャリアをデザインしない限り、不本意な異動になりむしろエンゲージメントは下がってしまいます。即ち、自分の強みは意志を持って計画的に深掘るのか、広げるのかを考え続けなければなりません。そして、それは自分の胸にしまうのではなく、上司やメンターなどに話し協力してもらわなければならないのです。くれぐれも視野の狭い自分の将来やチャンスを矮小化してはなりません。チャンスは自分の意志でつかみ取るのです。

もう少し強みについて書きましょう。

 

「変えられるもの」と「変えられないもの」

ギャラップ社によると、強みには「変えられるもの」と「変えられないもの」があります。前者は、「技術」「知識」などのように学習や経験などで習得することができるもの。後者は、「才能」「資質」などのように潜在能力や行動パターンのようなものです。「技術」「知識」など「変えられる」ものについては異論はありません。補足したいのは「才能」「資質」など「変えられないもの」についてです。これは世界的に多くの学者などの研究によって定説になっていることですが、人間の性格には5つの特性(性格のBig5などと言います)があると言われています。「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神安定性」です。詳細は述べませんが、開放性とは「新たな美的、文化的、知的な経験に開放的な傾向 」を示します。同じく真面目さは「計画性、責任感、勤勉性の傾向 」、外向性は「自分の関心や精力が外の人や物に向けられる傾向 」、協調性は「利己的ではなく協調的に行動できる傾向 」、精神安定性は「感情的反応の予測性と整合性の傾向 」を示します。ここで述べたいのは、長年の研究により、「開放性」を除いて性格スキルは70歳程度まで伸ばせることがわかっています。「開放性」は20歳までは上昇し、60歳までほぼ変わらずその後下がっていきますこれは社会人になっても性格スキルを鍛えることが可能なことを証明しているわけです性格スキルを高めることによって新しい人生が開かれるので。そうです。ギャラップ社の「資質」は変わらないというのとは違和感がありますね。私は一部を除いて性格傾向はよりポジティブなものに変えられるという考えに一票を投じます。そして、それら性格は異動や転職など新しい環境に身を投じることによって、変えられる、言い換えれば変わらざるを得ないと言われています。成長するために戦略的に異動する意味がここにあります。

いずれにしても、「強み」は自分の意志で戦略的に強化することはできるし、それを活かすことによってエンゲージメントを高めることができます。もちろん、エンゲージメントは自分一人で高めるものではなく、上司や組織、更に会社全体でシンクロしていくことが大切です。

 

■キャリアデザイン

私の経験をお話しすると(もっともこれは私の性格に由来しているから参考にならないかもしれませんが)、一つのことをずっと続けるのって飽きが必ず訪れるのです。もちろん深掘る喜びもありますが、研究一筋などという職業でない私はどうしても視野が狭くなり、それが新しい発見をする機会を制限し、もういいかな?なんて感じちゃう。だから、ボードゲームで自分の陣地を広げるように周辺領域の知識をつけるとか経験をする、更に全く違うゲームに参加するかなどに心が揺さぶれれるのです。そうしないと、チャレンジ精神が湧き出なくなるのです。皆さんも若い時から前広でキャリアをデザインすることをお勧めします。アバウトでいいんです。時々変えていいんです。ただ言いたいことは、流れに身を任せ過ぎないこと。時々、さてそろそろ泳ぎ出そうかな、なんて考えること。その先何処に行きたいんだっけ?と考えることです。

それからメンターの存在。あなたの周りには必ずあなたのキャリア形成に手を貸すメンターがいます。それが誰なのかはあなたが決めなければなりません。上司なのか、実は人事スタッフがいいのかもしれません。キャリアコンサルタントの勉強をしている友人がいたら最高ですね。それとも、お世話になった先輩や同僚でもよいかもしれません。メンター候補を決めたら相談しましょう。遠慮はいりません。それに躊躇するようでは未来は開かれませんよ。未来は自分で開くんです

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いろんな仕事に広がってきた

 

フリーランスとmusic

最近はクライアントを訪問しないときは自宅で仕事をする時間が長い。個人事業主の多くはそうだろう。9時5時というようなサイクル感覚もほぼなくなり、土日に仕事をしたり、夜中にしたり。マイペースでできるのが大きなメリット。そんなデスクで調べたり、書いたり、読んだりするときに欲しいのがBGMだ。会社にいるときはそうもいかなかったわけだが、今は誰に遠慮することもない。最近はもっぱら“Amazon prime music”である。長年Amazon prime”のユーザではあったものの、ほとんど利用していなかった。調べると、iPodにもダウンロードできることも分かり、PCにBOSEのスピーカーをつなぎ聴きながら仕事をしつつ、良いなと思ったアルバムはその場でiPodにダウンロードして、ウォーキングやジムワークやドライブ中にも聴いている。コーチングしているときに流したりもね。今まで全く聴いたことのないミュージシャンもたくさん知った。最近いいなと思ったミュージシャンを紹介しよう。

Jason Mraz

Colbie Caillat

Jonathan Jones

James Arthur

Phillip Phillips

Bruno Mars

Lukas Graham

Natalie Imbruglia

A Great Big World

Olly Murs

Aloe Blacc

Tim McMorris
Daniel Powter

Jamestown Story

Nine Days

James Blunt

Sixpence

Gavin DeGraw

Ed Sheeran

The Corrs

Shawn Mendes

The Corrs

Charlie Poth

Jack Johnson

Ted Lennon

仕事中やコーチングしているときに聴くのなら優しい落ち着く音楽がいい。acousticなものが自然と多くなる。なんだか大人になった感じ? 枯れてきたから?(笑)否定はしません。

 

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猫も杓子もイノベーション

ある日新木場の駅辺りを歩いていたら気が付いた。「千疋屋イノベーションセンター」…? さて皆さん、千疋屋におけるイノベーションって何だろう。サブスクで高級フルーツを提供するって? 想像を超えた新しいフルーツスイーツ、いや、スイーツでない新しい食べ物を開発しているって? 

どうやら、そもそも1つ2万円なりのメロンが売れるマーケットを作るなど、ブランディングやそれを支える経営革新を進めた、イノベイティブな老舗が同社だという。

信頼と高価格の良循環老舗のブランディング一番美味しくて、安全で、見栄えのあるものその三点セットが高所得者向けの新しいマーケットを作ったのだ。フルーツ市場は今後も伸びるようだ。確かに、新しい品種はどんどん現れ、皆美味で量産化が進むせいか価格がこなれるのも速い。果物文化の創始者である同社は今後もどのようなイノベーションを起こすのだろう? 中を見てみたいね。

 

神岡教授「デジタル変革とそのリーダー CDO」


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秋らしくなりました。写真は近所のテニスコート。早朝は誰もいなかった。


旧知の一橋大学の神岡教授から最近上梓された「デジタル変革とそのリーダー CDO」を送っていただいた。さっそく読んでいる。

企業から見た価値創造は、単純化すると「連続的価値創造」と「非連続的価値創造」がある。後者は、従来のビジネスや価値創造の延長線上になく、非連続であると同時に方向性も異なる。即ち、今までの経験やビジネスで学んだことが通用しない。今の競争力を前提としていない。「自分たちが持っていない能力や競争力に基づくこと」即ち、「将来の競争力を重視した価値創造」を指す。彼は面白い表現をしている。英語で言うと"Radical"や"Breakthrough"だというのだ。分かり易いね。

先生の言う、「連続」「非連続」は以前にHBRに連載されていた濱口さんの連載「イノベーションの作法」の中に登場する「SIFT」と「JUMP」の違いに似ている考え方だ。

更に言うと、クリステンセン教授の言う「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」とも近い。

現代のビジネスマンはこれらのセンスを持たなければ、変化の激しい荒波を上手く泳いでいけない。溺れて死ぬだけだ。自分たちが進む方向の可能性や競争優位性、更にリスク(前者で居続けるリスク)を洞察・判断できるセンスを持たなければならないし、後者を実現するために会社の体質、文化、組織などをどのように変革させていくべきかに、不断のチャレンジをしていかなければならないのだ。正に「Radical」を恐れる守旧的バイアスまみれの文化を壊さなければならないのだ。

しかし、同時に理解しなければならないことは、全社が一気に後者にシフトしてしまうと、恐らく会社は死滅してしまうだろうということ。以前にお会いしたGEの元CEOイメルト氏もそのようなことを言っていた。神岡さんも「企業にとっては連続的価値創造で収入を最大化したり、投資を回収したり、経営を安定化することも重要だ。逆に非連続的価値創造だけだと成長は先細りになっていつか衰退するので、結局、従来型企業には連続的と非連続的の両方のタイプの価値創造を行う能力が求められるのだ。」と書いている。いわゆる「両利きの経営」とか「二階建てのイノベーション」と言われていることだ。正に先生の仰る「Ambidexterity(両手利き)」。

これだけ、先人達がいろいろ指摘するDX。それでも変われない企業。否、変わるか変わらないかは意志だけの問題だ。

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上岡さんに頂いた彼の最新著作

 

 

 

変わること

皆さんお元気ですか? 先日の台風は特に千葉に大きな爪痕を残しました。こんなひどい停電は聞いたことがない。まだ復旧していない地域も広い。もう少し。頑張ってください。幸い少し涼しくなりましたし、湿度も低い。やっと秋が少しずつ近づいた。気が付くと窓の外では虫が鳴いている。


■「あるある」

親会社から出向してきた役員が「戦略は私が決める。君は言われたことをしていればいいんだ」などとあなたや部下に上から目線で言う。

毎年美辞麗句を並べ、あたかも戦略的な経営計画を作るが、それが実行され実際成果を出したことはなく、なぜそれができないのかの本質的な議論も行われたためしがない。

上司は現場で何が起こっているのか全く分かっていない。そのくせ、こうあるべきだとのたまうし、我々を評価している。

上司は経営陣に対する月次報告にどれだけ工数をかけているか。問題は報告されず、うまくいった案件だけ厚化粧してあたかも自分の成果のように報告することに熱中し、自分にのぼせている。取り巻きのスタッフも胡麻を擦ること甚だしい。

変革をテーマに挙げるものの、日々のオペレーションは目先のことばかり、今期の決算が危うくなると投資はすべてストップ。チームは解散。それを毎年繰り返す

新規事業を開発せよと上司は言うが、ビジネスプランを出せ、そんな売り上げなら止めてしまえ、予算の使い過ぎだと。梯子は毎度外され、新規事業担当者の評価はいつも低いまま。誰もやりたがらない

こんなどこの会社にもありがちな「あるある」を皆さんも経験していることだと思います。

同時にそれを「何とかしなければ」ともがいている人も多いはず。しかし、その思いが奏功して会社や事業部が変革した例は案外少ないのではないだろうか。

心ではそう思うが、実際闘う人はいない。なぜ?

 

同調してくれる人がいなく、自分だけ上司の疎まれ貧乏くじを引くから?

自分が立ち上がっても、どうせ変わるわけはないとブレーキがかかっちゃうから?

ダメな上司が出世しているのが事実であり、彼を評価している上位上司がいる限り、自分は反乱分子にラベリングされるから?

そうっと生きていく方がずっとだから?

言われたことを粛々とやっていればそこそこの評価をしてくれるから?

そうでなくても、忙殺されているのに、そんなことをやっている暇がないから?

理解者が周りにいるとはとても思えないから?

 

■変わること

成長し続けるためには、人も会社も変わり続けることが最低条件だ。これだけ事業環境がドラスティックに変わり続け、今までの延長線上に未来は描けない状況にあることは明らかだ。そんな中で変わることを拒否続ける蟻地獄の中で一人でもがいて沈んでいくなんて、そんな悲惨な景色は決して見たくはない。否、変わる必要がないとでも思っているのかしら? 大ピンボケ。そんな人は存在してほしくない。会社の足を引っ張っているとどうやったら気づかせられるのか?

変わりたくない上司は下から突き上げるしかない。できないって? では「座して死を待つ」のですか? 職場の皆もそう思うのですか? そう話しましょう。安心してください。必ず理解者はいます

人を捉えるときには“doing”と“being”の二面があるといわれる。「何をするか」と「どうあるか」だ。“doing”意志そのものだ。何をするかは自分で決めるのだ。しかし、“being”は自分の意志で決められない面がある。事実今「蟻地獄にいる」ならそれは事実であり、それは受け入れざるを得ないのだ。一旦は身を任せるしかないのだ。人生は川のような流れだという。流れに身を任すしかない。「澱み」から出たいと思っても、今そこにドップリ浸かっているという事実は曲げられない。しかし、流れは、いわば人生のプロセスであり、「澱み」の先にある新しい世界に向かって泳ぐことはできる。それが“doing”と思うのだ。どう泳ぐのかは自分で決められる。身を任すと、渦となった水流につかまりその「澱み」から一生抜け出せないかもしれないのだ。

自分に問いかけよう。「私はどう泳げばいいのか?」「誰と泳げばいいのか?

それが「変わるということ」の重要な一歩となるのではないだろうか。

 

■「グレムリン

人の心には「悪魔」が住んでいる。その「悪魔」がいつも呟くんだ。「君が頑張ったって変わらないよ」「貧乏くじを引くだけだよ」「疲れるだけだよ」「疎まれるぞ」なんてね。その悪魔をグレムリンと呼んだりするらしい。そう、あの映画のグレムリンと同じだ。あなたのグレムリンもきっとそんな呟きをしていることでしょう。

貴方もグレムリンに従い、変わることに抵抗しますか? 何を恐れているのですか? まんまとグレムリン」の誘惑の虜になっちゃうんですか? 

そんなときは「うるさい。黙ってろ!」と怒ってください。間違っても、ギズモに対するように水をかけてはいけませんよ。増殖しますからねw

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簿記3級w 日々入門

 

One for all, All for one. 

最近、自国第一主義が波風を立てている。もちろん、その急先鋒はトランプ大統領だが、彼一人がかき混ぜるという構図ではなくなってきた。先日のサミットでも、ジョンソン新首相という新しいやんちゃ坊主が登場し、欧州連合EU)からの離脱で「合意なしでも(経済の混乱なく)容易に対処できる」と持論を繰り返しすばかり。地域なり西側共通の価値観は関係ない自国第一主義で一貫している。

日経新聞によれば、「元々は、冷戦期の1975年に独仏主導で発足したサミットは西側諸国の『結束』を示す狙いがあった」とのこと。しかし、西側という価値観はもちろんそうでない側の結束を高めることを助長したり、結局西側と称する軍団の自軍団第一主義でしかない、という主張も理解できる。どちらの側に立って見るかによって見方は全然違うのは、現在の日韓情勢にも通じる。

「トランプ政権はドル安も視野に米連邦準備理事会(FRB)に利下げ圧力をかける一方、中国を意図して通貨を下げる『為替操作国』に指定した。通貨安競争の懸念が強まるなか、自国第一を自制する機運は今やG7でも乏しい。」

私には今、自国第一主義に警鐘を鳴らし流れに抗っている貴重なリーダーが、若きエースのマクロン大統領に見える。彼とて、自国では反マクロンのエネルギーに押され、支持率を大きく落としている。結局自国民の視座の高さ、即ち利己的価値観ではなく利他的価値観の高さが後押ししてくれないと、反自国第一主義の正論は通用しないということなのでしょう。

角度を変えて、事業を行っている自組織のことを考えてみよう。会社から予算なり成長戦略なりの責任を担わせられる。それが、お仕着せなのか自らのコミットメントなのかは別にして、約束は絶対だ。それを達成するために事業ラインのトップも、管理者も自分の予算達成を第一に日々の行動をマネージする。隣のラインのピンチに気づこうが、ノウハウや所有する知財が彼らの窮状を救おうが、所有する人脈が活用できるかもしれない状況だろうが、彼らの進むべき方向にある新規事業のヒントをひらめこうが、手を差し伸べないのか? そんなことをしている暇があれば目の前の懸案に集中したいのか。協力するが成果の半分はよこせと主張するのか。

そんな自組織第一主義が会社を救うのか? 会社の成長を助けるのか? 自分の成長に役立つのか? 助けたら自分の評価が下がるとでも思うのか? ボーナスが減るとでも思っているのか?

仮にそんなオーラを出す上司がいたなら、絶対に尊敬するな自分さえ良ければいいのかと詰め寄れ

One for all, All for one. ではないのか。 

皆の目標は何なのか? それが分からなければ何も進まない。

考えよう。皆の目標は何なのか? 皆で話し合おう。

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One for all, All for one. すべてはお客様の喜びのために (^^♪