偉大なイノベーターたちの物語

10/18にHitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYOに参加してきました。NY大学のメリッサ・シリング教授の講演が非常に面白かった。題して「偉大なイノベーターたちの物語~画期的なイノベーションの起こし方~」題からして興味深い。

題のように彼女は数々のイノベーターたちを研究してその特徴を浮き彫りにした。Crazy smartな天才たち共通の特徴とは何なのかなど実に面白い。

 

■自己効力

中でも私がなるほどと感じたのが、自己効力(self-efficacy)だ。以前に前職の社内ブログでも自己効力のことについて書いた*1ことがあったが、実はつい先日もNPの記事「強いリーダーたちに必要な『セルフ・コンパッション』とは?」にもインスパイアされ、コメントを書いた*2ところだった。

彼女いわく、イノベーターたちは皆卓越した自己効力の持ち主だった。イーロン・マスクがその典型。彼の口癖は「I think I can do it」だ (*^^)v 自己効力の強い人は明らかに幸せだ。下記の*1を読んでほしい。そりゃそうだよ。根拠があろうがなかろうが自信があるんだからね。彼女は自己効力を上げるためには、子供のころから成功体験を積ませなくてはならず、失敗してもいいから怖がらずやってみさせることが何より大切だという。よくわかる話だ。どんどん挑戦することを奨励し、成功したら褒めるということだ。その積み重ねが、チャレンジ精神を生み出し、どんどん新しいことをやってみたくなる。なぜなら成功体験が沢山あるからだ。どんどんハックすること(ちょっと覗いてみること)も奨励した方がいいという。そういう繰り返しにより、例えば伝記を読むことが楽しくなり、それにより更に代理体験を積むことができるのだ。

そう、子供の育て方の参考にもなりますね。もう遅いかw。

 

■孤独

同時にイノベーターたちは共通して孤独だったという。多くのイノベーターは心を閉ざしていた。しかし、成功者たちは他人からの批判を意に介さなかった。実は心を閉ざしていたからそうできた。今我々の社会や企業では型破りな人を受け止められるだろうか。例えば、彼女いわく、ブレインストーミング即ち何の前提もなく自由に斬新な意見を尊重する議論は、今や他人の目が怖く他人に認めてもらうアイデアを発表したいという欲求にかられた場になっている。コンセンサス、意見を合わせることに時間を割き、一つのアイデアに収斂させるように努力をしてしまう。それではイノベーションは起きないという。仰る通りだ。

もちろんジョブスにしろアインシュタインにしろマスクにしろ、ブレインストーミングで意見の収束を目指したりは絶対にしない。そんな型破りな個性を潰すことなく活かす道を歩まなければならない。それが唯我独尊の強いリーダーならばいいが、そうでないならあなたの組織はそんな型破りなイノベーターを活かすことができますか?

 

■そしてダイバーシティ

そう、多様性がイノベーションを生むのだ。彼女はこういう。ドメインの外側から来る人が大切。バイアスのないのが重要なのだと。即ちアウトサイダーを大切にしなければならないのだ。オッサンのムラ社会はその真逆なわけで、イノベーションの対極だ。あなたはあえてアウトサイダーになれますか? あなたの組織はアウトサイダーを大切にしますか?

 

*1 2017/12/11

■​自己効力感

自己効力感”という言葉を聞いたことはあるだろうか。ググってみると「セルフ・エフィカシー(self-efficacy)」 心理学者アルバート・バンデューラにより提唱された心理学用語。自分の能力の自己評価、目標達成能力が存在しているという「認識」とのこと。少し難しいね。具体的にいうと、「人が何らかの課題に直面した際、こうすればうまくいくはずだという期待(結果期待)に対して、自分はそれが実行できるという期待(効力期待)や自信のこと。」なぜ、これを取り上げたかというと、モチベーションアップに大きな影響を与えるといわれているからなのだ。「自己効力感は、その行動を実際に始めるかどうか、どのくらい努力を継続するか、そして困難に直面したときにどのくらい耐えられるか、ということを決定づける。」のだ。目をキラキラさせて楽しそうに上機嫌で仕事が出来るかを決める心理状態なのだ。 

“BIZHINT”にも具体的な行動で例示してあるのでとても分かりやすい。以下に引用しよう。 

「自己効力感」が強い人の特徴。 ・新しいプロジェクトの参加を強く希望する。 ・多くの資格を取得している。 ・失敗したときの立ち直りが早い。 ・注意されても前向きに捉える。 ・コツコツと努力できる。 ・他のメンバーの仕事もカバーする。 ・物事の本質をすぐに見抜く。 ・チャレンジ精神が強い。 ・要領が良い。 ・メモをしっかり取る。 ・仕事と趣味を両立させる。 ・約束の時間は守る。 ・「どんな仕事でも任せてください」 ・「次はもっと頑張ります」 ・「すぐに対応します」 ・「きっと上手くいきます」 ・「更に難しいことに挑戦したい」 

「自己効力感」が弱い人の特徴。 ・常に自信が無い。 ・失敗を過剰に恐れる。 ・自分にできる気がしない。 ・挑戦を嫌う。 ・作業内容の変化に戸惑う。 ・仕事のミスを報告できない。 ・やる前から諦めている。 ・失敗からの立ち直りが遅い。 ・いつまでもくよくよしている。 ・否定的な発言が目立つ。 ・遅刻や欠勤が多い。 ・協調性が感じられない。 ・「だってしょうがない」 ・「どうせまた失敗する」 ・「悪いのは自分だけじゃない」 ・「私はいつも人に嫌われる」 ・「どうせ自分には無理だ」 ・「どうしようもないダメ人間だ」

 とても分かりやすいでしょ。我々の周りにも“能力は凄く高いけれど活躍しない人” “やれば出来るのに頼もうとすると目を合わせない人” “そうっと出社して陰のように退社する人” “実は結構辛口なのに人前では一切発言しない人”のような人がたくさんいるでしょう。どうやら現代日本人の特徴になりつつあるようだ。

 自己効力感が弱いと、困難に立ち向かい、リスクを冒してチャレンジしたり、矢面に立ち戦ったり、根本的課題を勇気を持って指摘したり、チャンスと見るや誰よりも速く行動したり出来ないわけで、日々戦うことにより成長する企業にとっては致命的な能力不足、エネルギー不足になってしまう。

 自己効力感を高める方法にはいくつかある。達成体験(達成感、成功感によって遂行可能感を高める)、理経(第三者が実行して成功を収めたという事実を見聞きすることによって遂行可能感を高める)、言語的説得(周りからの励ましや評価によって遂行可能感を高める)、想像的体験(成功体験を想像することによって遂行可能感を高める)などだ。詳しくはアルバート・バンデューラ(Albert Bandura)の書籍を読むかWebサイトを調べると良い。

 訓練や思考のクセを直すことによって高めることは出来そうだね。職場での日常の会話でも、ちょっとした心がけでじわ~っと効いてきそうだね。

 今すぐにでも出来るのは想像的体験だ。早い話「出来そうな気がする」と想像するわけね。

なんだか聞き覚えがある。あれ~?

 イケそうな気がする~!!

エロ詩吟 天津木村だ・・・

超自己効力感が強い人だったのねw

 

お後がよろしいようで

 普段の努力で高められるね。ポジティブシンキング!

 「あると思います」

 

 

*2 確かに世のリーダーたちの多くは「リーダーたちは、強くなければならない、と大きな重荷と責任を背負っている。」でしょう。それが大きなストレスになり、逃避してしまう場合もあるだろう。

その時に必要なのはセルフ・コンパッションだという。「セルフ・コンパッションは、こうした感情があってもいい、という場を作り出す。”今日は最低の気分だ”と感じても大丈夫だし、それを解決する答えを持っていなくてもいいのだ」「こうした感情にすぐに向き合うことは、リーダーとしての本当の強さの表れであり、そうすることでほかの人により共感的になれることもあるという。」

なるほど。認めて向き合うことは本当の強さを鍛えることになるように感じます。

私はなるべく自分のダメなところ、失敗したことなどネガティブなことも周りに晒すように心がけています。自分が材料になれればいいという考えもありますが、晒すことをためらわないのは、一種の鈍感力にも似た強さなのだと感じているからです。

また、自己効力(セルフ・エフィカシー)もリーダーに大切なマインドセットだと認識していますが、セルフ・コンパッションと合わせ両方持つと最高ですね。努力しようっと(^^♪

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これもダイバーシティ

日本蕎麦にコリアンダー。そしてラー油味。正にフュージョン、多様性を認めずにイノベーションなど起きるわけなし。とはいえ、コリアンダーは苦手なんだよな~(-_-)zzz