強みとエンゲージメント

■「強み」

自分の強み・得意なことを分かっていますか? ギャラップ社の調査によれば、「自分の強みにフォーカスして仕事をしている人は、そうでない人より6倍高い確率で仕事に満足」し、「自分たちの強みにフォーカスして仕事をしているチームは、そうでないチームより12.5%高い生産性を上げている」のです。

だからこそ聞くのです。自分の強み・得意なことを分かっていますか?

案外分かってませんよね。自分の強みとは何なのか? よく考えてほしいのです。例えば、あなたが転職しようとすれば当然問われる質問ですよね。あなたは理由はともあれ、今の会社を辞めようと決意したときに初めて考えるのですか?

それは特定のテクノロジーかもしれません。マネジメントの経験と成功モデルかもしれません。必勝のフレームワークを作ったことかもしれません。執着心や当事者意識などのベーススキルかもしれません。オープンイノベーションに必須な人たらしのケミストリーかもしれません。広角な人脈かもしれません。深い業界知識や業務知識かもしれません。

それが会社の成長のために活用されているとき、それが成果を生み称賛されているとき我々はエンゲージメントを感じますね。しかし、成長ということを考えたときにその強みに甘んじていていいのかという、もう一つの分水嶺があります。あなたが本当に欲しい成功とは何なのでしょうか? ひとつの領域のプロになるのか? それが狭いもので良いのか? 例えばマーケティング部門でブランディングを担当していたとして、その分野で成果を出し評価されていたとしても、部下が育ち任せられる状況になれば、あなたは部下を異動させ自分がそのまま居座るか、あなた自身がほかの領域にチャレンジし、例えばマーケティングの別領域で経験を積むのか、全く違う仕事例えば営業にチャレンジするのか、ブランディングのプロとして転職するかなどを考えなければなりません。

即ち、強みは永遠ではないかもしれませんし、戦略的にキャリアをデザインしない限り、不本意な異動になりむしろエンゲージメントは下がってしまいます。即ち、自分の強みは意志を持って計画的に深掘るのか、広げるのかを考え続けなければなりません。そして、それは自分の胸にしまうのではなく、上司やメンターなどに話し協力してもらわなければならないのです。くれぐれも視野の狭い自分の将来やチャンスを矮小化してはなりません。チャンスは自分の意志でつかみ取るのです。

もう少し強みについて書きましょう。

 

「変えられるもの」と「変えられないもの」

ギャラップ社によると、強みには「変えられるもの」と「変えられないもの」があります。前者は、「技術」「知識」などのように学習や経験などで習得することができるもの。後者は、「才能」「資質」などのように潜在能力や行動パターンのようなものです。「技術」「知識」など「変えられる」ものについては異論はありません。補足したいのは「才能」「資質」など「変えられないもの」についてです。これは世界的に多くの学者などの研究によって定説になっていることですが、人間の性格には5つの特性(性格のBig5などと言います)があると言われています。「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神安定性」です。詳細は述べませんが、開放性とは「新たな美的、文化的、知的な経験に開放的な傾向 」を示します。同じく真面目さは「計画性、責任感、勤勉性の傾向 」、外向性は「自分の関心や精力が外の人や物に向けられる傾向 」、協調性は「利己的ではなく協調的に行動できる傾向 」、精神安定性は「感情的反応の予測性と整合性の傾向 」を示します。ここで述べたいのは、長年の研究により、「開放性」を除いて性格スキルは70歳程度まで伸ばせることがわかっています。「開放性」は20歳までは上昇し、60歳までほぼ変わらずその後下がっていきますこれは社会人になっても性格スキルを鍛えることが可能なことを証明しているわけです性格スキルを高めることによって新しい人生が開かれるので。そうです。ギャラップ社の「資質」は変わらないというのとは違和感がありますね。私は一部を除いて性格傾向はよりポジティブなものに変えられるという考えに一票を投じます。そして、それら性格は異動や転職など新しい環境に身を投じることによって、変えられる、言い換えれば変わらざるを得ないと言われています。成長するために戦略的に異動する意味がここにあります。

いずれにしても、「強み」は自分の意志で戦略的に強化することはできるし、それを活かすことによってエンゲージメントを高めることができます。もちろん、エンゲージメントは自分一人で高めるものではなく、上司や組織、更に会社全体でシンクロしていくことが大切です。

 

■キャリアデザイン

私の経験をお話しすると(もっともこれは私の性格に由来しているから参考にならないかもしれませんが)、一つのことをずっと続けるのって飽きが必ず訪れるのです。もちろん深掘る喜びもありますが、研究一筋などという職業でない私はどうしても視野が狭くなり、それが新しい発見をする機会を制限し、もういいかな?なんて感じちゃう。だから、ボードゲームで自分の陣地を広げるように周辺領域の知識をつけるとか経験をする、更に全く違うゲームに参加するかなどに心が揺さぶれれるのです。そうしないと、チャレンジ精神が湧き出なくなるのです。皆さんも若い時から前広でキャリアをデザインすることをお勧めします。アバウトでいいんです。時々変えていいんです。ただ言いたいことは、流れに身を任せ過ぎないこと。時々、さてそろそろ泳ぎ出そうかな、なんて考えること。その先何処に行きたいんだっけ?と考えることです。

それからメンターの存在。あなたの周りには必ずあなたのキャリア形成に手を貸すメンターがいます。それが誰なのかはあなたが決めなければなりません。上司なのか、実は人事スタッフがいいのかもしれません。キャリアコンサルタントの勉強をしている友人がいたら最高ですね。それとも、お世話になった先輩や同僚でもよいかもしれません。メンター候補を決めたら相談しましょう。遠慮はいりません。それに躊躇するようでは未来は開かれませんよ。未来は自分で開くんです

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いろんな仕事に広がってきた