■DX時代の人材像と育成方法
皆さんこんにちは。今一つの天気が続きます。その分涼しいのはラッキーですが気分が陰気になるのは何とかしたい。
さて、今日は昨日参加したある企業主催の講演会&ワークショップの話から。以前にある企業の依頼で社内勉強会に登壇したことを書きましたが、その企業が開催している一種の勉強会に参加しました。講演はNRIの上級コンサルタント 上田さんです。その途中で3度のワークショップ。いろいろな企業の方と混ざって議論するのは楽しいものです。今回は40人強。人材開発関係の方が多かった印象です。僕がブッチギリ最年長かなw
講師の論点は、「AI時代は、人に求められる重点が『創造的思考』『ソーシャルインテリジェンス』『非定型対応』へと変わる」「AI導入は、業務と組織を再設計すること」「AI時代の人事は、エキスパートの人材ポートフォリオを組み、活躍させる」でした。彼は雑誌に連載を持つなどレポートもたくさん出しているので読んでいる方も多いかもしれません。AIに仕事を奪われる云々と以前センセーショナルな扱いを受けた記事がマスコミからたくさん出ましたが、もともとその震源になったのが彼の研究だったようです。マスコミは間違った解釈をして記事化したとのことですが。。。
彼の講演でも指摘していることは、AIが人を単純に代替するモデルにはならない。AIを使いこなし人ならではの業務にシフトする、ということ。そうですね。私も以前に読んだ話を受け売りでよく話しますが、仕事には“作業”と“創造”があります。多くの人が“作業”に追い回され、忙しい忙しいと嘆いています。人によってはその忙しさが能力の証明のように快感に感じたりしますね。我々がチャレンジしなければならないことは、“作業”に費やすマンパワーの多くを“創造”にシフトしていくことですね。AIはそのツールだと思えばよいわけです。“創造”が企業や人が生み出す価値なわけですから、シフトできなければ尻つぼみ、未来はないわけです。仕事を奪われるのではなく、進んで“作業”をAIなどを活用することによって、減らすことが必要不可欠なのです。そのうえで、新しい価値をそれもイノベーションによって生み出していくのです。それがDX。即ち“変革”の本質ですね。
彼が紹介した事例の中で、Googleのプロジェクト・アリストテレスの話が面白かった。チームが成功する要素は優秀な人を集めることではなくて、信頼などの心理的要因が大きい。「心理的な安全性(さらけ出せる)」「相互の信頼性」「チーム構成と明確さ(明確な役割やゴールを持っている)」「仕事の意味(仕事が個人にとって重要だと思える)」「仕事のインパクト(社会的意味)」よく言われることでもありますね。人間性重視の組織にしなければならないということです。HBRにもそれに似た指摘があります。https://www.dhbr.net/articles/-/6098 「調和」や「貢献」「感謝」から生まれる「喜び」が強い組織の方が成果が出る、というものです。感謝や信頼を生む組織を作り上げるのがマネジメントの要諦なのです。それは全く同感ですね。AIなどに支えられたDX時代だからこそ、リーダーの責任は重たくなるのでしょう。
また、オーナーシップ文化で有名なシーメンスでは、6つの新しいエキスパートを定義しているそうです。「アントレプレナー」「コーディネーター」「コーチ」「スカウト(外とつながる)」「(実装する)トランスレーター」です。詳細はシーメンスのHPを見てください。それらはAIでは担えないことを担うエキスパートなのです。DX時代に必須な能力という意味ですね。
DX時代にトップランナーでいるためにはHR的なチャレンジが必要不可欠です。多様な議論が出て楽しいひと時でした。
■バイアスに抗う
今まで、長い間以前に勤めていた会社の中でブログを書き続けてきました。意識していたのはバイアスに抗って壁にぶつかり折れそうになっている中堅や若い人たち。それは管理職であったりそうでなかったり。年齢も性別も経験も関係なし。なんだかおかしいよね。やってられないよね。これからどうなるんだろう。などと迷ったり悩んだり落ち込んだりする人たちに勇気を出してもらいたい、という気持ちでした。
そんな人たちとたくさん話しました。そんな人たちを部下に抱える管理職の人たちともたくさん話しました。幹部の人たちの多くはそんな人たちの気持ちを理解していないでしょう。見ず知らずの悩める若手の駆け込み寺のようでもありました。メールもいただきましたし、直接会いにいらっしゃる方もいました。できる限り、私なりに親身に相談にのってきたつもりです。
なぜそんなことをしてきたのでしょうか。自分の業務とは直接的な関係はないし、担当するドメインの業績などとも全くリンクしません。ブログに日々のオペレーションのことはほぼ書きませんし、今季の目標は…なんていうことも書きません。多少なりとも長く生き、いろいろな経験もし、失敗も重ね、いろいろな方々、顧客や業界関係者ばかりでなく、多種多様な方々との交流も広く深く、直接経験したこと以外にもいわゆる疑似体験もたくさんしてきました。それは私にとってはかけがえのないものです。それらの積み重ねで得たもの、学んだものを若い人たちに伝えるのが先輩としての務めであると思っています。私は昔から、部下が管理職に昇格した際に話してきたことの一つが、「伝えたいことがある」人しか人の上に立ってはならない、ということです。そんな生意気なことを言えるような人間ではないのかもしれませんが、そう思うことで伝えるべきことを考え整理しそれを発信することによって、自分という身を材料として投じることが重要だと思ってきました。触媒がなければ化学変化は起きにくいと思うのです。材料・触媒になれればよいと。多くの部下からやめた方がいいとか、危なくて見てられないとか言われましたが…w 心配ご無用と笑ってきました。会社の幹部のほとんどは私のブログは読んでいないし、興味もないでしょう。それを分かっていたからこそ勝手なことを書きやすかったといってもいいのですw。実はトップも読んでくれていました。私の意見はいつもちゃんと聞いてくれました。
そんなことを続けているといろいろなことにあらためて気づきます。多くの社員は想像以上に世間の動きを知らない、顧客の事実を知らない、業界みんなが知っていることを私たちだけが知らない、みんなが友達同士なのに私たちだけが仲間に入れないなど。これはセクションによってすごくばらつきます。すごくオープンな組織もありますが、その全く逆の組織もあります。典型的なムラ社会です。一見どうしようもないくらい閉鎖的な組織もありますが、間違いなく言えることは、“変えることはできる”ということです。話を聞きちょっとアドバイスすれば、大胆な処方箋のアイデアは出てくるものです。面白いくらい目を輝かせてチャレンジ精神を発揮できる人はいるものです。そういう経験をすると楽しくてしょうがありません。もちろん、変革をリードしてくれる張本人も楽しいでしょうね。
昨日ワークショップに参加したある大手企業の方は、会社の中はバイアスだらけ、風通しは悪く上意下達だけだとおっしゃっていましたし、別の企業の方は、トップや幹部に他社からの転職者が多数増え、一気に変わり始めたと。前にJALの話も書きましたが、残念ながら内部の内発的なエネルギーでは変われない企業は多いのです。しかし、先ほど書いたように、私は絶対にできると思っています。絶対に。それが私が起業した動機なのです。もちろん転職者の力を触媒に変えて、正にダイバーシティーによる化学変化は大きな力であることは間違いありませんね。
最近名だたる企業でHRを担当する役員と何人かお知り合いになる機会を得ました。驚くのは皆チャレンジャーであることす。古い考えに囚われることなく、社長と闘い、会社を変えようとラジカルを地でいく人たちです。多くは転職を重ね、変革請負人のようです。もちろんダイバーシティが変革のエネルギーだと分かっているからこそ、社長はそのような人をハンティングするのでしょう。
■今日封切の映画を知っていますか?
今日「ロケットマン」が封切になりました。早速観たんです。一言でいうと良かった~
主演のタロン・エガートン(読み方がいろいろある)がよかった。彼が主役を努めたキングスマン:ゴールデン・サークルも良かったけれど、とても同一人物とは思えない。歌もピアノも本人が全てやっているそう。プロとは何かを見せ付けられた感じ。そういえば、キングスマンには、エルトン・ジョンがちょっと出てたんだよ~w
名声と孤独。彼の孤独が目の前で叫んでる。落ち込んでいるときに本当に助けてくれる人は誰なんだろうか? 彼の場合は肉親ではなかった。肉親はむしろ冷たく彼を突き放し、蔑んだ。そんな悲しい人生があるだろうか。悲しい。
最近のミュージカルに近い映画に名作が多い。ララランド、ボヘミアン・ラプソディに続き本作、皆観ましたがこれが一番かも。
孤独ほど自分を傷つけるものはないと知った。オープンであること、インクルーシブな心を持つこと、素直に愛することが、1番大切だね。そうしようね(^^♪