アダム・グラントの「GIVE&TAKE『与える人こそ成功する時代』」を読んで、僕は考えさせられた。(前にも書いたが、彼はペンシルバニア大学ウォートンスクール組織心理学の教授で、現在42歳。28歳の時に終身教授になるという天才学者だ。以前に彼の書いた「THINK AGAIN 『発想を変える、思い込みを手放す』」を読んで、かつての自分を顧みて反省するとともに、人生観を変えた。) 僕は今どう在りたいと思って生きているのか? 自分の潜在的意識と向き合い、問いかけたときにめぐり合ったのが「GIVE&TAKE」だったのだ。そうだ、僕は与える人「Giver」で在りたいと思っているんだと。振り返ってみると、そんな人生だったと思う。「伝えたいことがある」「成長してほしい」などと思って他者を思って行動してきたし、会社員の時も社内ブログ(約400通発信した)を書き続け若い人の役に立ちたいと思い続けていた。率先して多くの人のメンターを買って出た。ある期間には20人くらいのメンターをしていた。多くの人は僕のことを「珍しい人」だと感じていただろう。しかし、それが伝わった人もいて、見ず知らずのどこのだれか知らない人(少なくともグループ社員ではある)からメールをもらったり、突然席に訪ねてきたりして、何度となく頼みごとをされた。これには僕も驚いた。そして、僕は見ず知らずの人の頼みをことごとくできる限り解決するよう行動したのだ。決して嫌なことではなかった。できる限り何とかしてあげようと心からそう思った。自分ではできないことは、友人に対応をお願いしたりもした。(会ったこともない)幹部であった僕に遠慮なく頼みごとをする人の勇気には恐れ入るが、間違いないことは、相手は僕のことを「Giver」だと確信していたんだと思う。それを今となって悟った。それに、僕はそうありたいと思っていたんだと。それが僕の人生観なのだとも。
社長は、社員が悪いのではなく、経営陣が悪いと言っていたが、それにも違和感がある。長い間に積もり積もって出来上がったカルチャーなのだ。全員が悪い。それを治すためには、あらゆるものを総合的に治していかなければ絶対完治しない。社長を変えても、何かに手を入れても治らない。多様性を進め(「多様な意見は秩序を乱す脅威ではない。組織や社会を活性化する力だ。第三者に意見を求めるのは、チームへの忠誠心が足りないからではなく、忠誠心が高いからこそ」マシュー・サイド)、支配的ヒエラルキーをすべて壊し、男性性むき出しの価値観やコミュニケーションを、より女性性あふれるものにシフトし、職場に心理的安全性を取り戻し、ムラ社会のハイコンテクストを前提とする同調圧力を一掃すべく、リーダーを再教育し、完遂することより最善を尽くすことを美学とする価値観に変え、現場革新の価値を尊重し、権限を大幅に委譲し、上層部の圧力あふれるメッセージを撲滅させ、ボトムアップの「Better than best」を良しとするカルチャーに変革することなどが、必要不可欠だと思う。