大きな変化を見ようとしない日本人

ドナルド・トランプ氏が次期大統領に確定しました。僕が選挙戦の中で驚いた変化はイーロン・マスク氏のトランプ支援表明でした。莫大な資金の提供やトランプ支援者へのキャッシュのばら撒き。これには驚きました。元々トランプ氏はEVを否定していました。選挙戦でも「掘れ!掘れ!掘れ!」とシェールオイルをどんどん掘ることを公約にし、エネルギー使い放題的なイメージを植え付け、地球環境問題なんかフェークだというニュアンスは枚挙に遑がないほど発信し続けていました。つまり、EVなんか意味がない的マッチョ思想だったわけです。それがアンチ民主党戦略でもあったわけです。

それが、イーロンが支援すると手のひらを返したように、彼を「並外れた天才だ」賛美し、新政府の重要なポストを与えることを検討していると言われます。政府支出を削減を指揮するポストとも、新しくできる規制除去省のトップだとか、いろいろな観測が飛び交っています。

彼にトランプ氏勝利の勝算がどれくらいあったのかどうかは分かりませんが、彼は賭けに勝ったことは間違いありません。EVの世界的需要減でテスラ社の株は下がっていましたが、選挙結果により株は一気に上がり(1日で彼の資産は3兆円程度増えた)ました。彼の資産は増えトランプ氏に投資したキャッシュ(200億円?)は元を取れたことになります。中国からのEV車の関税も上がるのかもしれません。彼がもし規制除去省のトップになったら、宇宙ビジネス、地下高速鉄道、ロボタクシーなど彼が進めているビジネスの前に立ちはだかる規制や長期間の申請許諾時間を排除するでしょう。彼はやりたい放題の道を進むのかもしれません。もちろんそれにより米国は益々イノベイティブな国に発展していくでしょう。しかし、それは他国にとって脅威以外の何物でもありません。同時にトランプ氏がかつて進めたように国際協調枠組みからの脱退が益々進み、米国の内向き政策が更に進むとするならば、東側各国だけでなく、西側の国々も右往左往するでしょうし、もしかすると世界のバランスを保ってきたNATOやもはや機能不全が起こっている国連などへの貢献が薄まり、地球環境保全などへの世界的投資も世界的トーンダウンへ進むかもしれません。要するに米国民だけのために仕事をするという姿勢です。行き過ぎたポピュリズムと言えます。今回彼に投票した人の一部は、呆れかえるかもしれませんし、世界の進む方向に不安を感じるかもしれません。彼はそんなことはお構いなしでしょう。熱狂的なトランプファンに支えられて突っ走るでしょう。彼が選ぶであろう側近は彼の考えを支え、大胆な施策をどんどん提案するでしょう。願わくは、共和党内にバランスを考えた方向に修正する流れが起きることことです。どの議員がその先兵に立つのかなどの流れは、日本にいてはなかなか分からないと思います。今後きっといろいろなせめぎ合いが陰で行われることでしょう。

いずれにしても、今回の選挙で象徴する流れは、地球環境よりインフレ対策DEIよりマッチョという言葉に象徴されるのではないかと感じています。

これからどのような変化が起きるのでしょうか。どのような変化が起きようがそれに対応するしかありませんし、日本が益々世界に置いていかれないように走り続けるしかありません。世界の変化に耳を傾けましょう。どこに向かえばいいのか、あらためて考えてみましょう。

 

話しは展開します。変化と言えばこんな事実があります。日本の規制が世界から取り残されている現状を作ってきました。人口減、特に働く人の減少に対応できていない日本は益々住みにくくなっていくような気がします。

アメリカの一部の西海岸の都市で有料乗車サービスを始めたウェイモ(アルファベットの部門)のロボタクシーは週15万件の乗車があり。更にサービス地域を拡大するといいます。また、イーロン・マスク氏は、自動車メーカーであるテスラをロボタクシーの会社に再構築すると言っています。EVマイカーはサチるという危機感があるからです。いや、もうサチり始めているといっていいでしょう。

車を所有し自ら運転することに意味を感じる人は、運転を趣味として楽しむ人だけになる時代が訪れそうです。

日本はドライバーが足りず、バスは減便され、駅前には客待ちのタクシーがどんどん減っています。電話やネットで手配したくても走っているタクシー自体が減っています。解はロボタクシーしかない時代が訪れたとひしひしと感じます。。

もちろん、2種免許がない人も自由に客を乗せられるライドシェアが解禁されれば解決するという考えもあるでしょう。しかし、距離当たりの事故件数は自動運転の方がはるかに低いし、素人の腕前に任せるよりは余程安全だし、文句も言わないし、24H働けるのだから敵いません。それに、規制でがんじがらめの現状で嫌々始めたタクシー会社によるライドシェアは、全く拡大していません。勤務時間は短いし歩合が低すぎるからです。

自動車産業に未来はあるのだろうか。輸出の多くを稼ぎ出し、GDPや雇用を支えてきた自動車産業に頼っている日本自体の危機が来るでしょう。自動車自体の台数は今の1/5で十分かもしれないのだから。そんなことは10年以上前から言われ続けてきたのですが、ロボタクシーがやっとその扉を開いたと捉えられます。

 

日本人は気付いているだろうか。メモリーだって、液晶だって、太陽光パネルだって、EV電池だって・・・皆世界でトップシェアだった。しかし、何年も続かない。多くは中国にあっという間に抜かれてしまった。人件費が高いから? それが理由ではありません。未来を読めないから、リスクテイクせず投資を躊躇するから、血眼で頑張らないから・・・ 要するに世界を知らず、ボーっとしているからです。

道はどこに向かっているのだろうか @八幡平