「部下のことはよく分かっている」という誤解

■データがバイアスを作り出す
こんな話があります。どう思いますか?
A 富裕層が率先してCO2排出量を減らすべきだという批判がある。それは正しい。事実、富裕層トップ10%の排出量を平均的なヨーロッパ人のレベルに減らすだけで、1/3程度の排出量を減らせる。
B 2040年までに、EVは現在の200万台から、2億8000万台までに伸びる(by IEA)というが、それで削減される世界のCO2排出量は、わずか1%と推計される。

内容は、素直に「あらびっくり!」かもしれませんね。私もそう感じました。人間の認知力には限界があります。すべてのデータを前にして判断することは現実的にできないし、結局は限られた情報のみで何らかの感想を抱いたり、判断したりする。やむを得ないことではありますが、もちろん多くのバイアスを作り出し、フェイクに衣替えしたりもする。それがあたかも真実だと思う人もたくさん現れる。それはとても不幸なことです。

上記A、Bも恐らく正しい推測でしょう。しかし本当は、私はそれが正しいかどうかは分かりません。研究者の研究成果なのか、公的機関のレポートなのかも知りません。残念ながら世間ではそういう誤解や事実誤認がたくさん存在します。権威ある新聞ですら誤報をしますし、誘導もします。膨大なデータを処理し、意味のあるもの(自分の主張にとって都合の良い)に加工することが得意なメディアもたくさんあるでしょう。

ABとも、それを読んで何を感じどう活かすのかは人によって全く違うでしょう。恐らくほとんどの人にとっては「関係ない話」として脳のごみ箱に入れられることでしょうが・・・

たとえばA、たった10%の富裕層の無駄遣いを批判することに有効な記事であることは、間違いないことでしょう。しかし、しかし、それが世界のカーボンニュートラルにどれくらいインパクトがあるのかは分かりません。1/3って何なのかは分かりませんし、その総量が世界の中のどれくらいなのかは全く分からないからです。即ち、この記事は富裕層の贅沢を批判するためにしか機能していないと言っても、過言ではありません。それに何の意味があるのでしょうか。

Bは、逆にEV化のインパクトが想像しているよりはるかに小さな印象を持たせます。私などは、EV化がカーボンニュートラルの決め手になるくらいのイメージを抱いていました。その根拠は? なんとなくです。そうデータを解釈して判断しているわけではありません。1%でしかないと理解し、EVしか製造してはならないという、世界の政治的シフトを批判しますか? それよりもっとやるべきことがあるのではないかと、データを探しますか? メディアって責任が重たいですよね。要は、何を伝えたいのか? 記者の清廉な思いとは何なのか? 何を主張すべきなのか? 正しい情報とは何なのか? 残念ながらその答えを満たしてくれるメディアはごく一部です。大半は、あらゆる情報をゴシップとして扱います。「え~っ、そうだったの!」と思わせるためだけに使います。要は、「読ませてなんぼ」くらいにしか考えていない。

メディアの低下は大きな問題ですね。読者、視聴者サイドの大人の(年齢ではなく成熟度)価値観が必要不可欠です。

人はそれぞれ多様な信念を持っています。その信念を強固にするために、また、自分の正当性を明らかにするために情報を使います。例えば、益々かつ永遠に開いていく格差社会を常々批判している人にとっては、Aはそれを助長する政権批判に使うでしょう。自動車はエンジンに限ると思っているエンスージアストにとってみれば、BはEVシフトがどれだけ愚策で、それによって職を失う自動車産業の労働者問題の方がずっと大きな問題だ、という主張に転嫁されます。

このような人間の性は避けようがないのでしょう。誰でもそういうところはある。しかし、できるだけ「科学者の目」メタ認知するよう努力すべきだと思います。この辺の話はおいおいまたしたいと思います。

ビジネス上の罠はあちこちにあります。客観性を磨きましょうね。

 

■「部下のことはよく分かっている」という誤解

半年に一回の1on1(昔は業績レビューと称して面談をしていた)の機会。私の昔の上司は皆(当然上司は何人も変わった)、「いつも話してるからいいよね」とその機会を棒に振っていた(面談してくれなかった)。この裏には何があったと思いますか? 「部下のことはよく分かっている」という誤解ですね。これは陥りやすい落とし穴ともいえる。日々のコミュニケーションはもちろんたくさんあります。時々飲みにも行っていました。これが誤解を生む。僕の悩みや感情や願いは分かってはいなかった。そう、ほぼ話していなかったのです。もちろん、僕にも問題はある。「話しても始まらない」だ。その人に分かってもらったからといって、助けにはならない、という失礼千万な決めつけ。自分のことは自分で考え、解決してきた。今となってはそれが決して良いことだったとは思っていない。もっと多くの人にアドバイスを求めればよかった。もしかすれば、違った人生を歩んでいたかもしれない。いやいや、今の人生を悔やんでいるわけではありませんよ。充実した人生だったし、ウェルビーイングな人生だったと言える。しかし、クリア度は変わっていたかもしれない。

上司は誤解する生き物です。都合の良いように解釈します。もちろん、この特徴は上司に限ることではなく、すべての人間に当てはまるものですが、こと上司となれば皆さんにとっては、シリアスですよね。

前にもハイコンテクストの問題は書きました。上司は部下との関係を「ツーカーだ」と絶対に思わないでほしい。そう思うから溝が生まれる。「分かっちゃいない」のです。だからローコンテクストを前提に、コミュニケーションの深化の努力を続けるべきです。決して部下に頼ってはいけませんよ。自分から能動的に行動するのです。

前提は「ローコンテクスト」 - Heaven's Kitchen / 清水のブログ by Seed Master Consulting (hatenablog.com)

濃厚接触者自宅待機期間開けのゴルフ
やっぱり家の籠るのは滅入る
夏は暑かろうか、日焼けしようが、太陽の下にいないとね
年々下手になっていくゴルフ 楽しむこと優先(^^♪