リーダーの有効性

部下の転職に頭を悩ませている人は多い。近年は特に日本においても流動性が高まり、就職イコール就社という感覚が薄れてきた。入社してイメージと違ったとか、このままでは自己実現できそうもないとか、特定のスキルを身につけ転職によって高収入の道が開かれたとかいろいろなパターンがあろう。

今日ここで取り上げたいのは、職場に魅力がない、チームに魅力がないというケースだ。これだけでは転職に踏み切るとは限らないが、これに上記が重なると転職のモチベーションは一気に高まると思われる。

申し上げたいのは、職場の魅力はリーダーによって創り上げられるということだ。その要素を考えてみたい。

 

■リーダーの二面性

そこで考えたいのが部下を持つリーダーが適正かどうかだ。まず、リーダーの仕事は2つに分けられる。ひとつは率いること。即ち統率することだ。部下を引っ張り、具体的指示をし、成果を出す行動。

そしてもう一つが導くこと。リーダーは普段からパーパスやミッション、ビジョンなどを部下に説き、腹落ちさせ、日常は彼らの自主性に任せ、必要なときのみ的確にコーチンする行動だ。

前者は指示待ち人間を作ってしまうリスクがあるが、後者は自律人材が育っていく。しかし後者はピンチの時やカオスのケースに弱さが出やすい。その場合はリーダーが前面に立ち全社のリーダーシップを発揮すべきだ。

即ち、それらを戦時と平時の時のように的確に使い分ける必要があるわけだ。リーダーの能力とそれに立脚した行動は、その二面性を持つことが重要なのだ。

 

■マネージャーとしての規律

そして、チームとして最大の成果を出すために重要なことが、経営資源の適切な配分だ。限られたリソースを最大の成果を出せるように配分すること。タイムリーにやりくりすること、必要に応じてスピーディーに獲得することなどだ。

更に組織には必要な規律がある。会議、承認、評価などなど、組織が機能するために必要なルールを最適化することが重要だ。最適化というのは細かければよいというものではないということ。オーバーコンプライアンスにならないよう、現場の自発性を損なわない自由度の高い、現場に責任と権限を持たせたルールが必要だ。

マネージャーはその適切性に目を配らなければならない。言うならば自由と規律のバランスをとるわけだ。

 

■リーダーとしての規範

リーダーは常にロールモデルにならなければならない。率先して高い目標にチャレンジし、成功までの道のりを示し、チームメンバーを動かすとともに自ら現場で事実と向き合い続ける。チーム内のコミュニケーションを先導し、フラットで風通しの良いカルチャーを創り上げる。メンバーに対しては常に献身的で、チーム内は利他心で満ちている様に動機づけする。

 

■リーダーの能力

一言でいうと、広く見て、深く見て、先を見ることができること。この能力によって、部下や社内に対し十二分の影響力を発揮できる。これらが部下と同程度しかないとリーダーとしての存在意義さえないも同然だ。

 

■人財育成

一人一人のキャリアデザインに寄り添い、成長の手助けをすること。ビジネスの将来、チームの将来に必要なスキルや能力を洞察し、その獲得に中期的に戦略的に努力を続けること。部下の成功に必要な異動やプロジェクトアサインは、躊躇せずに行うこと。

 

大雑把に思いつくまでに書いてみるとこのような感じだろう。リーダーが上記のような能力を持ち行動ができたとするなら、間違いなく部下は定着し、育ち、職場は活性化し、皆充実した毎日を送ることができるということだ。これを「リーダーの有効性」という。

 

なお、リーダーとマネージャーを区別して記述したが、意味は大分違う。その違いはまたの機会に書きたい。日本の組織の中では、管理者のほぼ全員がその二役を同時に有し演じ分けている

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横浜のこんな景色も好きだ。この辺にできるかもしれなかったカジノの構想は無くなった。新しい首長はどのようなリーダーシップを発揮するのだろうか。