真の変革リーダーとは

変革者は嫌われ役であってはならない。

変革者はとかく守旧派から嫌われますね。守旧派とは少々刺々しい表現ですが、自己保存の法則がある以上、ほぼ全員が本心では変わりたくはないのです。そうであるならば、変革者(変革リーダー)は嫌われ者になりがちですよね。その人がいなければ今まで通り働けたのですから。

好かれるリーダーを想像してみてください。どのような人でしょうか。好かれるというのは迎合するわけではありませんよね。部下の顔色を伺って人気取りのような発言ばかりをしている人ではありませんよね。

好かれるリーダーとは、たぶん人柄がよく、気さくで、前向きで、オープンで、よく話を聞いてくれて、共感力があって、権限を与えてくれて、必要なアドバイスをタイムリーにくれて、公正に評価してくれて、冷静で、自律していて、視座の高い情報を提供してくれて、卓越した洞察力と先見性を持ち、高次元の判断は常に戦略的で、自分の意見を明確に持っているが押しつけがましくなく、トップからも信頼さている・・・というような感じではないでしょうか。

そういうリーダーが唱える変革はなぜ嫌われないのでしょうか。

まずは、尊敬されているからです。人として魅力的であることはビジネスの世界では最も重要なのです。そして、状況判断がハイレベルだからです。多面的な情報を持ち、それを料理して、現状と将来を語る物語(ナラティブ)に説得力があるからです。それを「センスメイキング理論」と言いますが、変化の激しい時代では、絶対に間違いのない判断などあり得ないほど難しいのですが、それでも皆をいかに納得させるか(センスメイク)がリーダーが発信する物語(ナラティブ)なのです。

リーダーは指示や命令や力ずくで部下を納得させるのではないのです。危機的変化の波にあっても、決して剛腕でねじ伏せるのではなく、皆が一緒に立ち向かいたくなるのがあるべき変革リーダーシップなのです。

 

さて、冒頭で「変革者は嫌われ役であってはならない。」と書きました。もちろんそうあってほしいと思います。しかし、組織におけるトップの役目は「ラストマン」即ちどれほど嫌な避けるべき意思決定でも、最後に決めるのは自分しかいないと覚悟を決め決断することですね。即ち、然るべきときにはどんなに嫌われようと恨まれようと変える・やめるなどの決断をしなければなりません。それがトップの役目です。しかし、考えなければならないのが平時の行動の積み重ねです。先ほど書いたような行動が普段からできていて、皆から共感されているなら、いかに聞きたくない意思決定でも、「考えた挙句苦しい意思決定をしたのだろう」とある程度分かってくれるはずですし、それは歴史に刻まれるはずです。

そういうリーダーにめぐり合いたいものですね。いやいや、めぐり合いたいなどと言わずに、あなたがそうなってくださいね。

大木は森の象徴ですね @伊勢神宮