プロのビジネスサイクル

1月になると年度末を意識し始めますね。そんな時期の話をしましょう。

企業におけるマネジメントシステムは一定の規律を要求しますよね。それは諸々の規則だけではなく、ビジネスプロセスもそうです。企業は年度単位で事業を回しています。それに顧客のサイクルも絡んできますね。自社だけ考えてみても、例えば、組織構造を変えたいと思えば、それは戦略にディペンドしますし、それにアラインするためにはそのコンセプトを上司に理解してもらわなければなりません(戦略変更のマグニチュードのよりますが)。規模の大きな変更であれば、取締役会にかける必要もあるかもしれませんし、そこまでいかなくても起案を回付し社長の承認が必要かもしれません。大きな変更ほど承認レベルが上がり、締め切りが早くなりますね。予算もそうですね。新しいプロジェクトをスタートさせ、上流の企画フェーズに目途が立ち来年度に大きな投資を必要とするなら、例えば1月中(12月かも)には具体的な予算申請をしなければ来年度の予算は獲得不可能でしょう。となるとそのどれくらい前にマーケティング結果を出さなければならないのか、開発予算の概算を出さなければならないのかを、バックキャストしてタイムラインを管理しプロジェクトを回す必要があります。そんな都合よく計画できない場合もあるのかもしれません。それはそれで別の課題があると感じますが、もしやむを得ないとしても、予算を確保せずに走り続けることはできませんね。新年度になって予算が確保できていなければ、新しい事業は一年遅れになってしまいます。それではプロとは言えませんよね。やりたくてもできない。投資をしたい人はたくさんいます。皆積極的で開拓精神に溢れているとしたら、予算の取り合いになるわけです。会社から見れば無計画に見えてしまうプロジェクトに予算は配布しませんね。これは会社の規模に関係ありません。もちろん組織が大きければ大きいほど社内に競争相手は増えます。それに対し、スタートアップはほぼ社長の独断で決めるでしょう。それに事業構造がシンプルですから迷いも少ない。しかし、投資家に説明がつかなければ増資などに支障をきたします。無計画だと批判されれば投資家からそっぽを向かれますね。

このようなビジネスサイクルなどのビジネスの基本は、マネージャレベルになれば当然理解した上で年間のプランを回していかなければなりません。しかし、現実には上手く回せない人が多いと感じます。年度末になって慌てるとか、検討が進んでいなくて合意形成が間に合わないとかです。企業が年度単位の予算で動いている以上、先ほどの通り最悪は計画が一年遅れになってしまうことを理解しなければなりません。

しかし、戦略性の非常に高いものや、高額の予算を必要とするもの、多くの部門を巻き込むことばかりではありませんね。そうでないものをどのように寛容に扱うかも管理職の器と戦略性如何です。企業の経営は綱渡りをしてはなりません。少しでも足を滑らせたら二度と戻れないオペレーションをしてはなりません。即ち、常に余裕とプランB・・・を用意するとか、バルクで考え俯瞰的にバッファを用意しておかなければならないのです。これも幹部の仕事なのです。

また、ハイレベルな話としてはM&Aがあります。成長戦略実現に必要なM&Aは常に視野に入れて活動しなければなりませんが、戦略にフィットしかつ売却意向のある企業が都合の良いタイミングで見つかるとは限りません。そうなると買収予算(株の交換等手法はいろいろありますが)は常に確保し続けなければなりません。当然トップも含めた機関決定が必要でしょう。それが前提として成り立っていて初めて「今だ!」という時に交渉できるわけです。マネジメントシステムとして要求される観点は多様です。

 

さて、あっという間に年度末(3月末決算の企業)ですよ。準備は戦略的・俯瞰的に進められていますか? プロらしくスムーズに進めましょうね。

事業環境が不透明さを増しています。でも以前から変化の激しい時代を生きてきたのです。リーダーの戦略性の高さと、マネージャの緻密な準備が未来を創り出すはずです。

場当たりのアドリブのように見えても、ちゃんと規律は守られているものだ
ニューオリンズ