世界の未来

ロシアが一方的に仕掛けたウクライナに対する戦争も、早くも3か月が過ぎた。残念ながら終わりは全く見えないままだ。

今に至るまでNATOをはじめとする西側諸国は直接的な介入は一切していない。武器を供与したり、衛星の情報を提供したり、最新兵器の使い方を指導したりにとどまっている。国連憲章を無視する暴挙を目の前にしても、ロシアよりはるかに国力のある国々が、明確に介入しないと宣言しているような事態は、歴史的に今までなかったことだ。NATO加盟国のGDPの合計はロシアの10倍、空軍力は5倍だそうだ。しかし、その武器供与も、アメリカを除けば限界も近いのではないかともいわれている。この戦争はいつ終わるのだろうか。経済制裁と武器供与でこの戦争を終わらせることができるのだろうか。ロシアが疲弊するのは間違いないだろうが、敗北を認めざるを得ない終戦を決断するとは思いにくい。プーチンがいる限り。

COURRiE JAPON5.6月号にピケティが書いた記事が載っている。「いまの経済制裁の仕組みでは、大きな打撃を受けるのはロシアの多数の庶民であり、体制を支える少数のオルガルヒや泥棒政治で私腹を肥やしてきた階層ではない」「現状でもオリガルヒに制裁を科すと言ったことが喧伝されているが、実際に制裁の対象となっているのは数百人ほどにすぎない。しかもその制裁は系統だったものではなく、逃げ道がいくるもある。制裁の標的にすべきなのは、ロシア人資産家数万人が西欧諸国で投資している金融資産や不動産資産なのだ」残念ながら、その大多数の庶民はプーチンのやったことは正しいと判断している。東側諸国で今でも行われているプロパガンダは、今のところ絶大なる効果を発揮している。残念ながら、正義も情報によっていかようにも捻じ曲げられる。その事実を前にすると、無力感に苛まれる。ある意味、ネット情報に踊らされる僕たちも同じようなものだが・・・

ルーブルの暴落や経済制裁によるインフレで、ロシアの庶民が年金や給料の半分を失うことになったとしよう。いまその人を助ける手段はない。その人が訴え出る裁判所もない」「一方、資産が一億ユーロ以上あるオルガルヒからその資産の半分を取り上げることにするとしよう。そのとき、その決定に不服を申し立てる方法は複数あり、それにお金を支払わずに済むことも多いのだ」

西側諸国が民主主義の名の下に作り上げてきた法律や価値観であったとしても、ほぼ同じだ。常に富裕層は保護される。そんなことは誰も気に留めないのだ。

「法の支配といっても、これでは完全に偏向しており、非対称だ。西側諸国は、法と正義をいっそう徹底しなければならない。そうすることでポスト軍国主義とポスト植民地主義の世界を建設することに貢献できるのだ」

僕たちは何をしなければならないのか。答えは見つからない。

僕たちは、インフレも景気後退も円安も、そしてもちろんその他の地政学的リスクも、しばらくの間は覚悟して受け止めなければならない。一人一人が感度を上げ、世界で起こっていることを自分事として捉え、意見を持ち、政治に参加し、余裕のある人はお金を積極的に使い、省エネを進め、清廉に生き、他者に優しくし、社会に貢献していくしかないのかな~ あとはウクライナの人達への寄付ですね。

都会のオアシス。こんな環境も、ウクライナの多くの都市から消え失せただろう。
九品仏