任せるとはチャンスを与えること

「率いるリーダーシップ」が正しいリーダーシップだと明確に言い切る人は、実は少ないのではないか。しかし現実には、部下のエンパワーメントには向かないと分かってはいるが、「コマンド・アンド・コントロール(指揮管理型)」の行動をついとってしまう。そして、それから離れられないのだ。

本当は、権限を部下に委譲して会社を変革させたいと思っている。しかし、同時に、任せたら大変なことになってしまうのではないか。彼らにはできないのではないか、とどこかで思っているのだ。

会社・事業を愛し、オーナーシップを持っている人が全力を尽くさないわけはないのだが、部下がそうでないとでも思っているのだろうか。そうと確認できるようなコミュニケーションを怠ってきたのであろうか。それとも、実力をつけるための指導やコーチングを怠ってきたのだろうか。部下の能力やモチベーションや可能性を理解していないのだろうか。もし、そうであるならあなたには上司の資格がありません。育てる意志がなかったことになりますよね。判断できるだけのコミュニケーションが全く足りていなかったことになりますよね。

 

部下を育てるためには、多少の冒険はつき物なのです。彼(女)ならたぶん(きっと)できるさ、と思えれば「好きなようにやってみなさい」というべきです。それが彼(女)にとってはチャンスなはずです。チャンスを提供できない上司は上司ではありませんね。もう一つ重要な論点は「自己効力」です。前にも書きましたが、「自己効力」とは、将来の可能性をポジティブに感じることです。プロノバの岡島社長(「40歳が社長になる日」を書いた人です)は、「自己効力とは未来の自分への自信」と言っていますね。うまい表現です。このようにチャンスを与えるということは、あなたに能力があると説明していることになるわけ(もちろんちゃんと言語化して期待を述べなければなりません)ですので、「自己効力」が上がる効果があるわけです。上がる機会を得ること(自分でも上げられますが)がたくさんあると、人間は自信が付き、真剣に向き合えば何とかなると常に思える、困難に立ち向かうことがウキウキする、というマインドセットに昇華していくわけです。これほど強いものはありません。常に前向きなのですから。

任せて、あとは遠くからそうっとフォローすればよいのです。あなたにもできますよね。

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先日観た「ナイル殺人事件
殺人には常に「愛」と「欲」が絡む。ポアロの裏側がちょっと見えた作品。
今年は映画館での鑑賞で欲求不満を解消しよう。次は「ベルファスト」かな。