価値観を晒す

以前に「自分を知っているのだろうか」的な書き出しのブログを書きました。私も自信はありません。自分と正直に向き合って生きてきたのかが問われたら、どう答えられるのだろうか。

私たちは日々選択しています。この暑さで怠惰な自分の生活を許すのか。運動不足解消のためにウォーキングに行くか行かないか。そんな些細なことも含め、怠惰になりがちにな自分と向き合っているのかどうかの積み重ねは、人生を大きく変えるかもしれません。自分の性格、パーソナリティー、趣味嗜好・・・一言でまとめると「価値観」、によって人生は変わってきます。

しかし、価値観は変わっていくのでしょうか。もちろん変わります。私だって高校生の青い青春の時と今では当然違います。東日本大震災で被災された人たちは、否が応でも価値観を変えたと思います。同時に言えることは、変わるとはいっても、それにはそれなりに大きな経験や学び、もしくは時間が必要でしょう。そう、ころころは変わらないのだろうと思いますね。

人間の本性は変わりにくい。自分と向き合おうがすぐには変わらない、というのが正直なところでしょう。しかし考えると、「行動」はすぐにでも変えられます。必要なのは「意志」だけです。意志さえあれば行動は変えられるのです。行動を変えると何が起きるのでしょうか。そう、「新しい経験」が始まるのです。新しい経験は私たちに新たな世界を見せてくれるかもしれません。その積み重ねが価値観の変化だと思うのです。私もそのようにして、経験を積み成熟してきました。価値観の変化は、私にとって「成熟」や「Progress(進歩、前進、発展、発達)」に感じます。

今週発売された「PRESIDENT」でダイキン工業会長の井上さんが、このようなことを書いています。「若者は人と会いなさい。ベテランは苦労を伝えなさい」と。ベテランと若者のコミュニケーションは、以前から激減していますね。先輩と飲みに行くのを嫌う若者。そうでなくてもコロナ禍で減ったコミュニケーション。もはや絶望的とすら感じます。多様性が大切だとの考えはここでは書きませんが、兎角外国人とか異性がターゲットになりがちですが、実は世代間の断絶が大きな問題になっているのではないかと感じます。少なくとも、ベテランは多様な経験をしています。それが成功だったのか失敗だったのか、どのような学びであれ、反面教師であれ、それを聴くことは「学び」になるはずです。「疑似体験」以外の何物でもないはずです。その多くは私たちの「自己効力」にプラスに働きかけてくれるでしょう。

とはいえ、若者にとって非常に煙たい存在になりがちなのはよく分かります。自嘲的ではありますが、なぜかを考えましょう。まずは、ベテランの経験談の多くは「自慢話」であること。更に、とても押しつけがましく聞こえること。シラケている若者のオーラをまるで無視して「偉そう」なのです。それでは、若者が心を閉ざすのも当たり前ですね。せっかくの機会は台無しです。

実は、私はコーチングしているクライアント(皆さん管理職以上のエクゼクティブです)に自分の価値観を晒すことをお勧めしています。TPOをわきまえて(これが大切)、「実は私は・・・のようなことを大切にしてるんだよね・・・。昔・・・のようなことがあってね。その時・・・と感じたんだ(決心したんだ)」のような自分の琴線に触れる価値観のエピソードを話すのです。それは失敗談の方がよいかもしれません。さっきの自慢話に聞こえませんからね。押しつけがましく聞こえないように、自分が経験を経て何を大切にして生きているのか(仕事をしているのか)を話すのです。その時、自分は「永遠のルーキー」(まだまだ学び続けたい)でありたいと心から思うことが大切です。そうすることによって、若者の心に近づくことができ、あなたに対する扉は大きく開きます。あなたを理解し、いろいろな機会に下す判断や議論の裏に、あなたの価値観があることを理解するはずです。それは即ち、信頼関係が深まることを意味します。また、疑似空間で同じ体験をすることによって「自己効力」を高められます。即ち、「私にもできるような気がしてくる」のです。

もちろん、「人と会いなさい」の対象は上司やベテランに限りません。できるだけ、多くの人、立場や経験の違う人と会うことをお勧めします。「疑似体験」は視野を広げます。必ずしも自分で経験する必要はありません。一生頭に焼き付いている映画もあるでしょう。実際にリアルに面談する必要もありません。オンラインのフォーラムに参加するだけでも、ワークショップに参加するだけでも、さらに、本を読むだけでもいいんですよ。本だけで学んだ人を揶揄する人もいますが、要は消化する能力の問題です。そう言う人は残念な人ですね。

 さて、帰省も旅行もままならない夏休み、どう過ごしますか。こんな我慢続きの1年半。“もう無理!”と思う気持ちもよく分かります。Forbesによると前FDA長官は、ワクチン未接種者の大半はデルタ株に感染するだろう、との見解を示しました。ワクチン接種率の高い英国の感染拡大は正にそれを示していますね。さて、本当に11月には日本においても希望者にワクチンが行き渡るとするなら、それまでの辛抱です。デルタ株の感染力は想像を超えます。であるなら、もうしばらく今まで以上の我慢をすべきです。もう少ししたら希望が見えるはずです。そう思いましょう。

PS. ちなみに、その雑誌には「年収が高くなる度ほど読書好き」と書いてあります。そして、ビジネスに関する書籍の割合が増えるというデータも。なるほどね。私の体感では「できるやつの多くは読書好き」そして「できたやつの多くも読書好き」かな。リベラルアーツ的な書籍の比率も私よりは高いかも。

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未経験のチャレンジは価値観を変える