“Insight”と“Foresight”

激しい変化の中で、チャンスを見つけ出した瞬間に鷲掴みする。そんなことがいつもできたらいいね。しかし、見たことのないものが目の前に現れたとき、正しい判断が瞬時にできるかどうか。例えば、アライアンス(提携やM&Aなど)の候補は突然現れる。名前さえ聞いたことのないスタートアップの門を躊躇なくノックする。そんなことすら考えたことすらない。事業売却のチャンスは今かもしれない、なんて想像すらしたことがない。そう、ほとんどの企業は、そのようなチャンスやめぐり合わせをどれだけ失ってきたことか。逆も言える。初心(うぶ)過ぎて、もしくは何も考えていないために、どれだけハズレを掴まされたり、激安で買い叩かれてきたことか。

実はそんなチャンスは日常的に訪れる。そんなチャンスをものにできるかどうか。経営者や企業幹部に必要な能力は、「目」だ。すなわち、「洞察力」と「先見性」、“Insight”と“Foresight”だ。言い換えれば「広く見て、深く見て、先を見る能力」だ。それらが何よりも必要になる。それに加えて、チャンスを逃さないビビッドさスピード。それらは感性ともいえるしセンスともいえる。できない人は頑張ったってできない。チャンスは目の前を通り過ぎていくばかりだ。気が付いた時にはあとの祭り。

自分に問いかけ続けよう。「今私は広く見て、深く見て、先を見ているのだろうか?」と。

 

もうひとつ恐ろしいものが「バイアス(固定観念」だ。典型的なのが、「できないと思い込むバイアス」。例えば、LSIチップはIntelと決めてかかる。今やそんなのは完全にバイアス。Appleだって、AmazonだってHuaweiだって皆自社で作っている(実際はファブレスだろうが)。論理的に足元の自社の能力を考えると、踏み出せない、決められない。それは強い思いがあるかないかの問題。経営者や企業幹部が示す強い使命感情熱。それらに社員が共感するかが最も重要だ。

だからこそ、トップが示す「洞察力」と「先見性」が何よりも大切だ。「将来、きっとこうなる。だからこうしよう。必ず実現できる」そのストーリーを描く能力、すなわちセンスメイキング能力が問われる。

できないと思うバイアスを乗り越えて行動する。チャンスは今。今ここで行動するかどうか決意できる人が真のリーダーだ。誤解しないでほしい。掴まず手放すことが正解なことも多い。GoかNo goか。決めるのはあなただ。

チャンスは目の前をたくさん通り過ぎる。多くの経営者は通り過ぎたことすら気付かない。同時に、恐ろしいことに、破壊的イノベーター(ディスラプターは気付かないうちにあなたの隣に座っているのだ。

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いつ誰が襲ってくるのか。ホラーストーリーを書ける能力が問われる。