シルエット

シルエット
 
足速に歩く冷たい夜
降り出しそうな雪
ふと感じる視線
ショーウィンドウの中
振り向いた時には誰もいない
次に感じた時にははっきり見えた
いや、見えた気がした
俯く男が
 
雪の積もる街はずれ
音も灯りもない
聴こえるのは雪を踏む足音だけ
そう、僕の足音
森の中に感じる人影
月明かりに動くシルエット
僕を見ている
 
香りがたつ居心地の良い空間
いつものカフェ
奥の席に案内される
お気に入りの席
柱の陰からふと感じる射るような視線
コートを着た男
そう、明らかに男だった
席に着き振り向いた時にはいない
 
朝起きるとポストに封書
宛先も差出人もない
中には3つに折った綺麗な和紙
広げると一瞬で文字は消えた
何かが書いてあった
網膜の画像は再現できない
何かが引っかかる
何かが僕に語りかける
 
それは過去の僕
彼が見つめる
煽るような視線
ちゃんと歩いているかと
ちゃんと見つめているかと
向かっているのはどこなのかと
 
Don't mind.
心配するな
ニヤッと笑ったような気がする
 
シルエットが

f:id:taka-seed:20200203180945j:plain