場数という戦略

ビジネスパーソンとして成長するとか、スポーツ選手として強くなるという遷移(トランジション)・成長プロセスに有効なものに「場数」があります。いくら研修を受けても実際コンペに参加しなければ経験できないことがありますし、いくら素振りをしてもバッターボックスに立たなければ、体が覚えないことがありますね。緊張感やピッチャーとの駆け引きなどもそうですね。

怪我を恐れて試合に出ない選手が上手くなるでしょうか? あり得ませんね。ビジネスでも座学やコーチングで学べないことはたくさんあります。腹を括る経験をたくさんすると何も怖くなくなります。躊躇せずタイムリに行動できるようになりますね。

一方で、失敗を恐れる上司がいます。プロジェクトを若手に任せると失敗し顧客の信頼を失ったり、大きな損失を出すのではないかと、恐れるわけです。そうなると、経験豊富なベテランだけに機会が回っていきます。失敗した時に、自分の失点になることを恐れる上司もいるでしょう。そういうリーダーの下にアサインされた若手は不幸です。いつまでも重要なポジションの仕事を任されないわけですから。

 

上司の権限の一つが機会を与えることです。言い方を変えると、戦略的に機会を設計ことです。実は組織の成長に大変重要な価値観です。成長に欠かせない戦略なのです。部下の成長の加速に不可欠なのが戦略的なアサインメントなわけです。階段を上るように、難易度を上げる、多様な経験をさせるなどを、部下の能力や特長を理解した上て、設計し実行するのです。これは上司の重要な仕事の一つです。頭では理解するものの、実践できない(していない)上司が多いと感じます。

組織の成長には人材育成(拡大して言うならば、採用~育成~リテンション)が欠かせませんし、人材育成には戦略的なアサインメントが欠かせないのです。

しかし、現実的には、戦略性のないアサインメントや、リスクを恐れた囲い込み(異動のチャンスを避ける)などが横行している可能性がありますね。これは、退職者増などによって透けて見えます。上位上司やHRはよくフォローした方が良いと思います。

 

秋と太陽

ロシアから学ぶ

アンドレア・ケンドール=テイラー(新アメリカ安全保障センター上級研究員)が言っている。

ウクライナはこの夏に北部で反転攻勢を成し遂げましたが、彼らのフェイントとも言える戦略が奏功したのは事実とはいえ、なぜロシアは衛星を持っているのにもかかわらず、的確な行動ができなかったのか。ウクライナ軍の動向を読むのに十分な情報を獲得できていなかったのか。ウクライナ国防省の高官はロシアの偵察能力が想像以上にお粗末だと判断しているようです。どうやら、いままで西側の人々は、ロシア軍を過大評価してきたのかもしれません。どうもロシアは諜報活動や偵察活動ができていないだけでなく、チャンスを上手く利用できないと思っているようです。

その背景には軍の指揮統制や文化が大いに関係しているという。ウクライナ軍は現場の兵士に大きな裁量を与えているそうです。軍の階層の間に信頼関係があり、指揮命令系統の下層の兵士にも現場で判断を下す権限を与えているというのです。ロシア軍はその逆で柔軟性がないという。部下を信じていないので仕事を任せることができないのです。

それは、プーチン独裁的な行動を見れば想像がつきますよね。軍人でもないのに軍の劣勢に怒り、自分で指示をする。そして、成果を出せない人を次々に代えてきたのですから(11/6にも軍トップを解任したらしい)。それは伝染病のように現場に広がっていることでしょう。そして、最近の動員により、素人軍人が戦線に送り込まれ、ますます上官は苛立ち結果を出せずに敗走せざるを得ない、という連鎖が生まれるのではないでしょうか。

プーチンの独裁は今回の戦争から始まったわけではなく、ずっとそうだったわけです。今回苛立ちから深みにはまっているだけです。同氏はこう言います。「独裁体制では、優れた(事実という意味だと思う)情報がトップまで上がってきません。忠誠がすべてのベースにあるシステムでは、ボスに事実を伝えてもキャリアの得になならないからです。」 そうです、「プーチンは長い独裁体制の中で積み重なった『弱さ』を考慮に入れそこなった」のでしょう。

 

前にも書きました。企業も同じです。VUCAの時代には独裁的な指示命令すステムでは生き残っていけません。幹部は、人材を育成するとともに、場数を踏ませて、権限を委譲していく道しかないのです。近年日本においても、業績至上主義のトップダウンの企業が機能不全に陥り、検査不正や、判断ミス、非合法な経理判断などが行われてきました。それは以前に書いたGEですら同様でした。耳障りの良い情報にしか興味を示さない幹部はどの会社にもいます。部下たちの行動は歪み、清廉さは失われ、リスクマネジメントなど吹っ飛びます。ホラーストーリーを考える人は疎まれるのですから。

あなたの企業、部門は大丈夫ですか?

遠足中のたくさんの小学生たちに会った。小集団に分かれ気ままに登っていた。
先生も生徒を信じて任せているんだね。
右上にぼんやり見えるのが富士山 @高尾山頂

 

才能を活かす組織

若い人たちや、異能の人たちが伸び伸びと活動しているシーンをよく見ます。昨日までの日本シリーズを見ても、若い選手が実に多い。高卒2年目とか、育成から一軍に上がってすぐだとかの、経験の浅い選手が素晴らしい結果を残していますよね。大舞台に怖気づくこともなく、持っている力を出している。それに混ざる大先輩たちも、若手とフランクに話し、権威や実績というオーラを出さずに、チームメイトの一員になり切っている。それが今の時代のチームだろう。監督やコーチの考え方もそれを後押しするものに変わっているのでしょう。チャンスは公平に与え、能力や可能性を冷静に見極める。そして、どのように育てるのかを戦略的に考えています。間違いなく、育成する側される側とも、昭和の時代とは全然違う、そんなことを痛烈に感じました。

 

皆さんも、自分の才能もメンバーの才能も活かす組織を創りたくはありませんか?

 

11月号のForbes Japan の特集タイトルは正に「Defference is  a Strength !」

あなたの組織のカルチャーは、個人個人が持つ特徴を枠にはめようとしていませんか? 誰か(たぶんあなたを含める管理職)のちょっとした発言が多様性を阻害していませんか? 伸び伸びやろうよ。一人一人がユニークな個性を持ち、才能を持つ。それに気付く努力をしようよ。あなたが否定した特徴は才能かもしれない。部下の才能を一生眠らせておくつもりですか? それを活かすことができたら、カラフルで楽しい組織が生まれる。そこに集う人々は皆ウェルビーイングをたっぷり味わうことができるんですよ。それをまとめる自信がないのですか? 決して難しいことではありません。古い価値観を捨てましょうよ。

まず否定せずリスペクトしようよ。

 

D&Iが最近DEI(Diversity:多様性、Equity:公平性・公正性、 Inclusion:包摂性)に昇華していますね。Dを活かしきるためにはEが必要不可欠なのですね。

 

カラフルな個性を、管理者のあなたは知らないのはなぜなんでしょうか。一緒に仕事をしたことがないから? ミーティングなどコミュニケーションする機会はあっても、ほぼ一方通行(すなわちあなたが話してばかり)だから? 部下の個性や特長に興味がないから?(成果だけに興味がある) もしかしたら、知らないのはあなただけかもしれません。

個性を知る手段を考えてください。先日お話ししたクライアントは、私の勧めで部下とワークショップをし、自分がファシリテーターに徹したら、部下たちが皆前向きで、楽しそうで、それぞれ悩みが違って、それぞれ悩んでいて・・・など一気に自己開示が進んだとお話しされていました。今まで、一方的に指示をしその通り結果が出なかったことに落胆していたその方は、部下たちを見くびっていたと、その思い込みにすごく反省していらっしゃいました。そのたった一回のワークショップで、上司部下から仲間の関係に変わったのです。部下の個性など、今まで隠れていた(気付かなかった)能力や気持ちや特長に触れることによって、どれだけ幸せだったことか、想像できますね。

そう、バイアスを除いたコミュニケーションが何より大切だと思います。何度も書いていますが、コミュニケーションは質より量を意図的に確保してください。それがベースラインです。無駄など絶対にありません。

 

一人一人の能力を活かすことは、変化の激しい現代において最も重要な価値観です。クリエイティビティが道を拓きますが、一人のアイデアなんか大したことはありませんし、少なからず絶対にバイアスにまみれています。そこで重要なのがご存じ「共創」なわけですね。co-creation」共にクリエイティビティを発揮することです。それによって見えないものが見えてきたり、突然変異が起きたりするわけです。

金太郎飴の人材が集まった組織に、クリエイティビティ―の化学反応など起きません。カラフルな個性がはじける時に、進化が起きるのです。そこに横たわっているのは、リーダーのDEIという器だと思うのです。

オフィス街にもひたひたと秋が訪れた
もっとカラフルな木々を見るために山に行こうっと
豊洲

 

an elephant in the room「部屋の中の象」

先日、あるクライアントとお話をしていたら、その方が仰った。「『部屋の中の象』を指摘すると、皆から嫌われる。そんなことが何回もあった」と。

部屋の中の象(an elephant in the room)」とは、その場にいる人たちは実は皆気付いているけれど、あえてそれには触れないようにしてるタブーな話題だったり、重要な課題を指すことわざです。この言葉を初めて知ったのはベストセラー「1兆ドルのコーチ」を読んだ時のこと。

その本の中にこうあります。「最大の問題はいわゆる『部屋の中のゾウ』 それを探して、部屋のど真ん中に引っ張り出して真っ先にタックルせよ。これは先送りしてきた課題もそう。政治的に触れてはならない課題もそう。」

リーダーとはそういう存在でなければならないと、つくづく思い感動したものです。

 

忘れたいこと、先送りしたいこと、頬被りしたいことなどを思い出させる人を嫌う人をどう思いますか? 私はそれを再び思い出したら、「僕の時代に片をつける」と決意するのがリーダーだと思います。もちろん些末なテーマであれば優先順位は低く、先送りの対象になりますが、「象」はそうではありませんね。重要だと分かっているけど、面倒だとか、解決しても注目されないとか、解決するには嫌われ者にならざるを得ないとか、個人的な避けたい理由が透けて見えますね。そこがダメなのです。清廉ではないですよね。利己的な利害という価値観が常に幅を利かせている。そんな人と一緒に仕事はしたくないものです。

 

さて、あなたは象を指摘する人を尊敬できますか? そこがあなたの器でもあるわけです。考えてみてください。こういう人がいないと会社は腐りますよ。

 

今回報道されている三菱電機の不正なども、皆象がいることが分かっていながら、指摘できなかったのだろうな、と想像します。とても悲しい事案ですね。

全員見えてるはずですよね

 

自律型人材とは

最近、時々「自律型人材」という言葉を耳にします。私もブログ内で「自律」という言葉をよく使います。なぜそれが大切なのでしょうか。変化の激しい時代。その変化に対応し続ける組織だけが成長できると言っても過言ではないでしょう。しかし、管理者やリーダーのみが羅針盤になり目標を定め、すべて指示しコントロールしなければ動けない組織であれば、その変化に対応できないのは間違いありません。戦争に喩えると分かりやすいですね。戦場では常に状況が変わります。事前の情報と違う状況が展開され、その都度大本営の指示を待っていても、その間に戦況は大きく変化してしまいます。現場で判断し、即行動しなければ状況を打破できません。今のビジネス環境が正にそうでしょう。VUCAの時代のチームの在り方は、自律と信頼(チームワーク)ではないでしょうか。(元々VUCAは軍事用語です)

ところで、「じりつ」には二つの漢字がありますね。「自立」「自律」です。前者は自分で仕事をこなせるという意味でしょう。後者は自分の意志で自分をコントロールしビジョンに沿った行動ができるという意味だと捉えられますね。

自律型人材(ここではあえて人財と書きます)とはどのような人財なのでしょうか? 皆さんも考えてみることをお勧めします。言語化しようともがけば、その結果自分や部下が目指すべき人財像が見えてくると思いますよ。

 

私も大雑把に考えてみます。

まず、言うまでもなく、言葉通り

1.自分で考え自主的に行動できる。

 という言葉が浮かびます。即ち上司の顔を窺いながら、指示を待つ姿勢ではないということですね。

2.チーム・組織のために最適・最良な行動を選択できる。

 自分で考えるといっても、その向かうべき方向は自分の浅はかな考えに従い、我儘に行動をすればいいというわけにはいきません。チームのパーパスやビジョンを理解し、その考えに従い、最適・最良な行動を考え、行動しなければなりません。

3.責任感、オーナーシップを持つ。

 そして、自分で考え決めた行動には責任を持たなければならないですね。一人一人が責任をもって行動するとともに、チームの目標にもオーナーシップを持つから、チームの結束が高まり、信頼関係に立脚した利他的行動、補完関係、化学反応などが助長され、成果が最大化されます。

4.喜びを共にする。

 自律と言っても一人一人が孤立しているわけではありません。上記のようにチームとしての文化・関係の中に存在します。日々の充実感を味わうことが、チームのウェルビーイングに必要不可欠です。そうです、自己満足に浸るのではなく、喜びを共有することが、自律とペアでなければならないと感じます。

さて、これらは私が勝手に考えた自律人財です。恐らく一人一人考えは違うでしょう。正解などないのですからそれでよいのですが、そうやって考えることによって、自分や自チームはどうなのか?を振り返ることができるのです。それができれば、「じゃあどうする?」に繋げられますよね。

 

更に、少し角度を変えて考えてみたいと思います。自律人財化が加速するための仕組みやティップスがあるのではないか? それは何なのか? です。これも正解などないでしょう。私なりに考えてみました。ランダムに書きますね。

自分を振り返る機会を作ること。即ち、1on1などの機会を意図的に創り、できる限り 客観的なフィードバックを行い自分を見つめ直す機会を作ることを促すのです。フィードバックが大切なことは前にも書きましたね。

最も最適な方法を考え挑戦する、ことを評価すること。それが成功するか失敗するかは問わない。

利他的な行動を評価すること。

・常に新しい学びに貪欲で、実際学び続けていることを評価すること。

・常に社外の変化に敏感であること。

・チーム・部門以外の人達とのコミュニケーションに積極的であること。

・学んだり、経験したりしたことを発信するなりして、影響力を発揮すること。

・自らキャリアプランを考え、上司はその実現に協力すること。

多様な経験をする機会を意図的に作ること。上司もその機会をタイムリーに与えること。

・上司のこのような戦略的な行動を評価すること。

いろいろアイデアはありそうなことが分かりますね。心掛けるべき行動などが整理できると、それを評価したり、賞賛したり、促したりすることができるわけですね。

秋がどんどん深まってきた。無性にどこかに行きたくなる。
勝手に行けばいいじゃん。そうね、自律か~

 

迷える1on1を実のあるものにする

1on1が企業の中に定着して久しい。しかし、必ずしもそれによってモチベーションが上がったり、心理的安全性が上がったり、コミュニケーションのハードルが下がったりなど、革新的な変化を味わっている人は案外少ないのではないでしょうか。以前に書いたような気がしますが、統計では、上司は定期的にちゃんと1on1をしていると答えている人が圧倒的に多く、部下は1on1をやってくれないと答えている人の方が多いのです。それくらい、ギャップがあるということですね。上司は手前味噌だということなのです。

そんな迷いがあるであろう管理者の皆さんに向けて、感じていることを少し書きたいと思います。参考になれば幸いです。

1on1は関係を発展・進化させるチャンスだと理解してください。

部下に自分の考える「正解」を押し付けないでください。腕組みなど圧力を与えるような態度や話し方は決してしないでください。部下の自律を促し自信をつける場にしてください。即ち、考えるチャンスを与えてください。部下が迷ったり意見を言うことを躊躇していたら、その空気を暖かく飲み込んであげてください。口を開きやすくするためのヒントやサンプルを出してあげてください。どんな球が飛んできても、決して否定せず壁打ちの壁になってください。何度でも何度でも打ちやすい球を返してあげてください。即ち、シンプルに言うならば「そう思う」とか「そう思わない」というような一種の判断を伴う球を返さない方がいいです。もちろん、「共感」を表わすレスポンスは大いにしてください。「そう思わない」時は、「そう考えているんだね」と受け止めてあげてください。そして、そこから優しく質問をしてください。「どうしてそう思う?」とか「どういう時に?」というようにです。それが壁打ちです。上下の関係ではなく、壁打ちの相手になるのです。部下が何も話す気がないというオーラを出しているなら、あなたとは壁打ちをするつもりはない時間の無駄だ、という強烈な否定的メッセージを出していることになります。それは部下に問題があるのではなく、普段のあなたの姿勢に問題があるから起きることだと気付いてください。あなたは、修行のつもりで思い切りインクルーシブな態度に振り切ってください。絶対に短気になってはなりません。あなた自身も徐々に慣れてくるでしょう。

エール㈱の櫻井さんは、同じように「きいて」いるようでも、自分の視点でジャッジメント(評価判断)を入れながら耳を傾けるのは「聞く」で、相手の視点で自分のジャッジメントを入れないで受け止めることを「聴く」と分けて表現しています。もちろん、上司と部下の関係を発展させるための1on1は後者を大切にしてください。実は、1on1という定期的に意図的に作る場以外の、日常的なコミュニケーションも同様なのです。部下に自律的に考えるように促すためには、「聴く」即ち「傾聴」の姿勢が必要不可欠です。仕事上の意思決定も、上司が一方的に「ああしろ、こうしろ」と指示をしてしまうのではなく、例えば「どういう状況?」「どうなると思う?」「どうした方がいいと思う?」「なぜ?」・・・というような壁打ちを続けることによって、部下の意思を確認したり、自分で解決できることをその場で理解させたりするのです。「そうだよね。どうだい? できる気になってきたでしょ」と背中を押すのです。

上司は誠心誠意「傾聴」することによって、部下の本音や悩みや迷いなどが透けて見えるようになります。そうです、「直観」が働くようになるのです。部下の自律を手助けするのは、そのようなときですね。自信を持つように勇気づけてあげてください。責任を取るのは上司なのですから。最後は「任せるよ」です。「指示」をするのが上司の務めだと思っている人が多いと思いますが、それは大きな勘違いです。上司の務めはあるべき方向に「導く」ことです。

「傾聴」しながら深く観察してください。そしてタイムリーな「質問」(リターン)を繰り返し、「共感」や「承認」を繰り出してください。部下は自分で考え、自信をもって次の行動に進むでしょう。

「傾聴」「直観」と部下との関係が深くなってくると、上司は部下のことに対してより「好奇心」を持つことになるでしょう。部下に対してそんな気持ちが根付いてきたら、完全に関係は発展・進化したことになるでしょう。部下は上司との対話を安心した気持ちで楽しむでしょうし、何も隠さず自分を晒すようになるでしょう。いつも見守られている気持ちになり、上司に包まれながら、自律・自立していきます。これが「エンパワーメント」ですね。

秋の空は独特だ。気持ちがクリアなときに見る青空ほどスカッとするものはない。
コミュニケーションもそうありたいものです。
@富士見台高原

 

自己トランスフォーメーション

人が複数人集まれば集合・集団・グループ(「集団」とします)と言いますね。同じ集まりと言っても、それと「チーム」とは大きな隔たりがありますね。違いは何でしょうか?

同じ目標を共有しているかどうかですか?

それも重要な要素でしょう。しかし、私たちが所属する企業においては、「集団」であっても目標は共有していますよね。トップからパーパスやビジョンなどをはじめ向かうべき方向は幾度となく伝えられているはずです。共有していないとは言わせませんよ(笑)。

問題は、心の底から腹落ちしているかどうかですね。

 

先日あるワークショップで話をさせてもらいました。私は「自分は何者なのか?」「使命とは何か?」を考えることによって、「存在の根拠に自信を持ちたい」と思って行動してきたのかもしれない、と。それがドライバーとなって、「意図的に生きる」ように努力し、「流されない人生」を目指し、「最善と尽くす」という価値観を大切にしてきたように感じます。最後は「なるようになるさ」と楽観的に考えていたのだと思います。

そう考えると、私などは凡人の典型ですから、恐らくすべての人は「意志さえあれば行動は変えられる」そして「行動が変われば自分が変わる」という経験をしているはずです。しかし、その動機はどこから生まれるのか? 動機が強いから行動を変えられるのか? もちろんそうできるはずです。しかし、多くの人は強い動機を持てません。人間は意志が弱いものです。そうなると、どうしたら良いのか? 

私は、まず「えいやと行動を変えちゃうこと」が大切だと思っています。考えて考えて何もしない、ということは避けるべきことです。また、考えてから行動するのではなく、「まず行動してしまう」ことが肝要なのではないかと考えています。

ちょっとした意思があれば行動は変えられます行動が変われば動機が強くなるはずです。その行動による周りの変化を感じ取り、もっとやりたくなる。そして強くなった動機が次の行動を駆り立てるのです。そのサイクルは一度経験すると自信につながり、行動を変えることに躊躇が薄まってきます。大切なのは「最初の一歩」。「ファーストペンギン」即ち「勇気」ですよね。元京大教授で南極越冬隊だった西堀さんがこう言っています。「勇気が自信に先行し、経験が勇気を創る」と。サイクルが回っている人と、初めの一歩が踏み出せない人の違いがそこにあります。

私は同時にその時の一歩を左右する重要なドライバーがあると思っています。それは「誰のために」やるか。そして「誰とやるか」です。思いの先には必ず誰かがいるはずです。利他心が勇気を後押ししてくれるはずです。そして、同じ気持ちを持つ誰かと共に行動したいはずです。共感に包まれずに自信を感じることは難しいものです。仲間と言える誰かと笑顔でチャレンジすることの充実感を私たちは求めているはずです。

 

そう、「チーム」と言える仲間はそこが強みのはずです。お互いを補い合い、人の数だけある「能力」の「総和」以上の成果を出せるのが「チーム」なのです。「集団」のメンバーは、個人の責任の範囲内で仕事をします。そのから出ようとはしません。「チーム」メンバーは個人の責任を越え、チーム全体の責任を全員が感じています。即ち全員が「オーナーシップ」を持つのです。だから、一人一人の能力の総和以上の成果が出せるのです。「誰のために」「誰とやるか」の気持ちが強い人が集まる「チーム」ほど強いものはないと感じます。一人一人がプロアクティブにあるべき方向に向かって行動します。周りを見ながら他のメンバーの行動を感じながら「次」を考えて行動するのです。そう、「広い視野」で「先を見て」行動するのです。それはすべて自分でやらなければならないことではなく、「補完し合って」行えばよいのです。「チーム」の中で育った人々は「コレボレーション」の素晴らしさを体感します。違うチームと仕事をする時チーム同士をつなげる役を果たすでしょう。それが「コラボレーション・リーダーシップ」ですね。

「チーム」に存在している価値観などの特長とはどのようなものなのでしょうか。尊敬、共感、理解、学び、昇華、同期、化学反応、補完、共助、多様な人の集まりであっても目的に向かってはハイコンテクスト・・・などではないかと思います。

 

「行動を変える」「自己を変える」すなわち「自己トランスフォーメーション」に自然とチャレンジする自分になりたいとつくづく思います。できれば、何歳になってもね。

南アルプスを望む@富士見台高原
秋ど真ん中を楽しみたいものですね。