“Insight”と“Foresight”

激しい変化の中で、チャンスを見つけ出した瞬間に鷲掴みする。そんなことがいつもできたらいいね。しかし、見たことのないものが目の前に現れたとき、正しい判断が瞬時にできるかどうか。例えば、アライアンス(提携やM&Aなど)の候補は突然現れる。名前さえ聞いたことのないスタートアップの門を躊躇なくノックする。そんなことすら考えたことすらない。事業売却のチャンスは今かもしれない、なんて想像すらしたことがない。そう、ほとんどの企業は、そのようなチャンスやめぐり合わせをどれだけ失ってきたことか。逆も言える。初心(うぶ)過ぎて、もしくは何も考えていないために、どれだけハズレを掴まされたり、激安で買い叩かれてきたことか。

実はそんなチャンスは日常的に訪れる。そんなチャンスをものにできるかどうか。経営者や企業幹部に必要な能力は、「目」だ。すなわち、「洞察力」と「先見性」、“Insight”と“Foresight”だ。言い換えれば「広く見て、深く見て、先を見る能力」だ。それらが何よりも必要になる。それに加えて、チャンスを逃さないビビッドさスピード。それらは感性ともいえるしセンスともいえる。できない人は頑張ったってできない。チャンスは目の前を通り過ぎていくばかりだ。気が付いた時にはあとの祭り。

自分に問いかけ続けよう。「今私は広く見て、深く見て、先を見ているのだろうか?」と。

 

もうひとつ恐ろしいものが「バイアス(固定観念」だ。典型的なのが、「できないと思い込むバイアス」。例えば、LSIチップはIntelと決めてかかる。今やそんなのは完全にバイアス。Appleだって、AmazonだってHuaweiだって皆自社で作っている(実際はファブレスだろうが)。論理的に足元の自社の能力を考えると、踏み出せない、決められない。それは強い思いがあるかないかの問題。経営者や企業幹部が示す強い使命感情熱。それらに社員が共感するかが最も重要だ。

だからこそ、トップが示す「洞察力」と「先見性」が何よりも大切だ。「将来、きっとこうなる。だからこうしよう。必ず実現できる」そのストーリーを描く能力、すなわちセンスメイキング能力が問われる。

できないと思うバイアスを乗り越えて行動する。チャンスは今。今ここで行動するかどうか決意できる人が真のリーダーだ。誤解しないでほしい。掴まず手放すことが正解なことも多い。GoかNo goか。決めるのはあなただ。

チャンスは目の前をたくさん通り過ぎる。多くの経営者は通り過ぎたことすら気付かない。同時に、恐ろしいことに、破壊的イノベーター(ディスラプターは気付かないうちにあなたの隣に座っているのだ。

f:id:taka-seed:20210215102904j:plain

いつ誰が襲ってくるのか。ホラーストーリーを書ける能力が問われる。

 

先生の傲慢 と 川柳

先日、与党の国会議員が会食そして銀座のクラブを訪れたこと(一人だったとか飲んでいないとか言い訳を言っていましたが)に批判が集まりましたね。結局役職を辞任する(その後結局は議員辞職や離党)という幕引きとなりました。国民の見本たるべき人たちの体たらくさにはがっかりさせられますね。私たちが選んだ代表です。

テレビで心理学者の中野信子さんが、アナウンサーの質問に答えていました。「地位の高い人は、『私は許される』と思う」のだそうです。例えば「高級車に乗っている人の違反が多い」とか。やりたい放題のトップはたくさんいる。自分のために法律を変えるとか、嘘をつくとか、頬被りするとか、見下した態度をとるとか・・・ 最低ですね。

人間は弱い。地位の高い人になりたい。地位の高い人だと思われたい。その気持ちがあるから、自分が地位が高いと思うと、自分は皆の目指すべき人だと勘違いして、傲慢になる。その人の中身ではない、地位がそうさせる・・・ これが恐ろしくゆがんだ人間を作る

よく昔から言いますよね。「先生」と言われる人にろくな人はいないと。これはこれで凄い偏見ですが、言い得ている気もしないではない。ごく一部の人がそういうバイアスを作ってしまったのでしょうね。代議士、教師、医師、弁護士などなど。皆から(本心かどうかは別にして)「先生、先生」とおだてられ、勘違いしていく。先生とおだてる側も弱みがある場合が多いのでしょうね。助けてもらいたいのですね。発注して、「責任を持って納品してくださいね」という成果責任という契約関係を持たない職種ですよね、皆。そう、委任なのです。「息子をよろしくお願いします」「病気を治してください」「裁判で勝つように弁護してください」「補助金を付けてください」・・・成功責任のない仕事。裁判で負けようが、希望する学校に合格しまいが、「頑張ったんですがね」と言えば済まされちゃうわけです。 頼む側は本気でやってほしいとお願いすることしかできない。中には、お金で本気を引き出そうとする輩も出てきちゃうわけです。

傲慢。僕としては最も避けたい人間性。だって、そういう人が一番嫌いだもの。自分は絶対にそうなりたくない。いつまでも謙虚さを忘れないで生きていたいものです。

 

先日発表された「サラリーマン川柳」優秀100選にこれがあった。

会社では 偉そうなのねと 妻が言う

この「偉そうなのね」というのは強烈にネガティブなトーンだと思いますよね。そうなんです。そんな人であってほしくないんですね。

頭に、組織委員会の森会長の顔が浮かんだ。

f:id:taka-seed:20210129175658j:plain

 子供たちの初心な価値観に恥じない行動をしたいものです。

ワクチンと尊敬する冒険者

ワクチンによっては、例えば南アで発見された変異種には効かない、などと一部で報道されている。これが真実かどうかはさておき、変異種はこれからも多数出てくるのは確実で、中には本当にワクチンが効果を出さないことも多数出てくるだろう。そんなことを考えていたら、以前知り合った冒険者のことを思い出した。その話に入る前に、ワクチンの話から。

 

■変異種への対応①

世界の研究者はCOVID-19にどう闘いを挑み続けるのだろうか。僕はもちろんその分野の研究者でもないし知見もない。しかし、少し勝手な想像を巡らせてみよう。

これからもどんどん変異種が出てくるとする。その一部は既存のワクチンが効かない。そう仮定すると、その対応策は2つあるのではないか。

その一つは、その都度短期間で新しいワクチンを開発・製造するという考え。ご存じの通り、創薬は実際リリースされる前に長い時間を要する。研究室の中で論理的に効果がある薬などが開発されたとして、それをすぐに量産できるわけではない。動物実験を行い、効果と安全性を立証し、そして人間で同様の実験をする。それにも3段階ある。もちろん、慎重にそして必要なデータを蓄積し安全性や効果を証明しなければならない。そして承認申請を行う。日本の場合は厚労省に対して行う。通常その審査だけでも1~2年要すると言われる。必要なそのプロセスをよく聞く「治験」(国の承認を得るための臨床試験のこと)という。このように、薬などがリリースされるまでに5年以上はかかると言われる。開発期間はAIなどを使って短縮化が進むが、「治験」は慎重に行われなければならないので、時間はどうしてもかかる。今回のワクチンの開発は、国を挙げて超短期間に「治験」を進めリリースにこぎつけた。また、承認は国単位で行われるため、日本では各社のワクチンはまだ承認されていない。今までもいろいろな薬で「治験」が適正に行われていないせいで、リリース後に効果が乏しいとか、一部の人に強い副反応が出るなどということが、あったと記憶する。今回は各国で大量の「治験」を一気に行ったわけだが、一部では65歳以上に接種を勧めないなどいうワクチンもあるが、それは65歳以上の「治験」データがない(あるいは少ない)ということを示しているだけだ。(治験を急ぐためにターゲットを狭めたのかもしれない?)

というように、次から次へと新しいワクチンを開発することは、今までのやり方ではできそうもない。もしイノベーションを起こせるなら、「治験」のプロセスをAIなどのテクノロジーによって革命的に短縮できないか、というぶっ飛んだ案があるのではないか。ふふ、私の創造の話ね。もちろん、ワクチンの開発自体も、今回世界で初めて実用化されたメッセンジャーRNAのようなイノベーションが、更に起きることも期待できないものか。いずれもテック企業の技術力が必要不可欠だと想像する。

 

■変異種への対応②

もう一つが、万能ワクチンができないかだ。そんな夢のようなことができるわけがない、と思ってしまったらお終いだ。人類のイノベーションはそんな夢を実現してきたではないか。

 

■尊敬すべき冒険者

私はある研究者のチャレンジ話をご本人から聴き、すごく感動したことがある。それは、山口大学の岡学長だ。もともと同大学の医学部教授であり、癌の免疫治療のオーソリティーだ。

昔、ペプチドによる癌の免疫理治療の研究成果を、アメリカの学会でプレゼンした時の話。研究者のプレゼンがスケジュールに従って続く。彼のプレゼンが始まると、それまで満席だった部屋がガラガラになった。そう、彼の研究は誰の興味も引かなかった。実現できるわけのない夢の話だと、笑われていたのだ。彼はその悔しさをばねに、研究をつづけ、ワクチン開発の道を切り開いた。当時私が勤めていた会社と共同研究を進め、ついに新会社を起こしたのが2016年のことだった。現在でもその会社は「治験」を続けている。その記者会見の模様が下記の記事。

私たちは、そのようなフロンティアを応援することしかできない。少なくともそのようなぶっ飛んだチャレンジを、否定することなく見守っていたいものだ。

多大なコストや時間をかけることや、実現できそうもない荒唐無稽と思われる(それも勝手なフィルタリングだが)ことに、向き合い続ける人を受け入れないという愚かな考え・価値観を持たないようにしたいと思う。

人類を救えるのは、科学の力だと痛感する。

 

monoist.atmarkit.co.jp

「不可能を可能にする挑戦は勇気ある冒険者によって成し遂げられる。今回の創薬事業への参入は、まさに当社にとって新しい挑戦になる」と記事にあるが、実は私が話したのはちょっと違う。「勇気あるチャレンジャーが不可能だと誰もが思う挑戦を成し遂げる」と言って、岡学長を尊敬を込めて紹介したのだ。上記の話を聞いていたんでね。

 

f:id:taka-seed:20210201153012j:plain

冒険者はゴールまでにどのような困難があるかなんて、考えていない。

 

共感が連鎖する、そして創造を生む

共感経営」(野中郁次郎勝見明 共著)を読んだ。そこにこうある。

「人は共感すると、なぜ利他行動を取るのか。進化の過程で、利他主義が生まれる集団は、より多くの成果を上げることができるので繁栄し、利他主義の希薄な集団は淘汰されていく。これが進化の法則であるとすれば、経営における共感の重要性も説得力を持つのではないでしょうか」

社員同士が共感でつながっている企業は繁栄し、そうでない企業は淘汰されてもおかしくないのだ。助け合い補い合い、刺激しあい、成長していく集団が企業という生命体なのではないか。

そう、チームという価値観が大切なのだと知らされる。「外から相手を分析するのではなく、相手と向き合い相手の立場にたって、相手の文脈の中に入り込んで共感すると、視点が『外から見る』から『内から見る』に切り替わり、それまで気づかなかったものごとの本質を直視できるようになる。」

我々はどうしたらいいのか。行動によって得られる経験はすべて知の源泉だ。コーチングの原則は行動を変えること。結果が行動に現れるのではなく、行動がスタートという価値観。行動を変えることによって正のスパイラルが始まるのだ。そして、新しい自分が創られていく。まずは行動なのだ。目の前の毎日を変えるのだ。 

社内にコラボレーションが生まれるように、プロアクティブ行動しよう。何かを待つのではなく、自分できっかけを作ろう。決して、決してリアクティブになってはいけません。難しいことじゃない。

f:id:taka-seed:20210125101613j:plain

どの道を進もうが、最初は一歩から

 

脳が作り出す幸せ~毎日を充実して過ごす大切さ

東北大の滝教授の話に勇気づけられる。

同氏はこう言う。「脳の神経細胞は加齢により減っていく(困ったものだがヒシヒシと感じる(涙))。しかし、細胞同士を結ぶネットワークを増やすことはできる(お、いいじゃないか)。このネットワークが大切なのだ」 カッコ内は僕の心の声w。


即ち、大人の脳は成長できると言うのだ。記憶を司る海馬の隣に偏桃体があるのだそうだ。その偏桃体が好き嫌いを判断する。「好きだとか楽しいと感じると、海馬が長期記憶として保存する」また「偏桃体がポジティブな判断をすると、やる気や幸福感をもたらすドーパミンが分泌されて、『報酬回路』と言われる神経回路を巡り、脳が活性化して意欲や集中力が高まる」のだそうだ。なんだか、可能性を感じるでしょ。

 

更に「こうしようとか、こうなろうという主体的マインドセット積極的に行動していくことで、脳のポテンシャルが最大限に引き出される」のだ。

 

こうしよう、こうなろう、ということ考えることをコーチングではとても重視する。それを「Doing」とか「Being(またはBecoming)」という。「何をしたいのか」とか、「どうありたい」のかと真剣に向き合うことがとても大切なのだ。そして「それに向かって意図的に生きていく」ことが人生を充実したものに変えるポイントだ。さて、同氏はそいうしてプロアクティブに行動することが、脳のポテンシャルを最大限に使うことになると言っているわけだ。

 

私は先日「充実はプロセスに宿る」と書いたでしょ。日々充実感を味わうことができれば、海馬がメモリー機能を発揮しその良き記憶を残してくれる。更にポジティブに考えれば脳が活性化されて集中力が高まるのだ。やる気に溢れ幸福感に満たされる。だから、日常のプロセスにに隠れがちな充実を味わうチャンスを逃してはならない。あなたの脳が幸せを感じ記憶してくれるチャンスを逃す手はないその積み重ねが人生を作るのですよ。

f:id:taka-seed:20210117152600j:plain

「好きとか楽しい」が人生を充実させる。そうなるように脳ができている。

 

オードリー・タン氏の包摂

昨年話題になった人の一人が、台湾のIT大臣のオードリー・タン氏だ。同氏のインタビュー記事などに触れると大変インスパイアされる。IQ180の天才で、30代で入閣と聞けば、さぞ切れ味鋭い強いリーダー像を思い描いた人たちは、一様に優しさに驚くという。それは、生い立ちによるものなのかもしれない。同氏がトランスジェンダーであることは周知の事実であるが、天才ゆえに子供のころから虐められていたとか、先天性の心疾患を持っていて、発作を予防するために普段から感情をコントロールすることを余儀なくされて育ってきたなど。そして、20歳の時に自分がトランスジェンダーだと悟り、性転換手術を受けたも、その性格形成に影響しているのかもしれない。

インタビューした人が感じるのは同氏のインクルージョン包摂、即ち包み込む力だ。「誰も置いていかない」というリーダーシップ。「ついてこられる人だけついてこい」というような男性性の高い強いリーダー像の対局だ。デジタル化もインクルーシブだ。とかくお年寄りに優しくないデジタル。それは開発サイドの問題だと寄り添う姿勢を崩さない。

同氏は毎週決まった曜日に、ある公共施設(社会イノベーションラボ)に足を運び、お年寄りや子供たちも含めた市民と話をしているとのことだ。そこで得た市民の困りごとを解決したいのだ。ハンズオンなくしてインクルージョンは成り立たないと痛感する。

皆さんリーダーはすべての部下や関係者に対して、「我々の存在価値は・・・なのではないか」「誰も置いていきはしない」「一緒に歩んでくれないか」と宣言できているのだろうか。それは一人一人を誰も第三者にせずチームの一員として認め、期待し、自律を促し、自覚を促し、皆の心をつなげ、毎日のすべての行動に充実感を感じ、人生を豊かなものにすることにつながるのではないか。それは、最も居心地の良い空間ではないだろうか。

心理的安全性はコロナ禍の最重要テーマ

いつもブログを読んでいただいている方々、明けましておめでとうございます。今年も感じていることを書いていこうと思います。皆様のちょっとした学びになれば幸いです。実は私の学びを解き放っているだけなんですが・・・

 

心理的安全性とは

さて、残念なことに新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。緊急事態宣言が発出される状況になってしまいました。在宅勤務の比率が高まり、顧客とのコンタクトも減るでしょう。益々職場のコミュニケーションが減り、一人一人の孤立が深まるリスクもあります。

この状況で重要なのが、職場の「心理的安全性」です。「心理的安全性」とは、職場で何を言ってもどのような指摘を指摘をしても、批判されたり怒られたり変な目で見られたりする心配のない状態を言います。「出る杭は打たれる」の心配のない状態と言ってもいいですね。ということは、冗談を言い合えたり、雑談がしやすかったり、職場がワイガヤ状態を楽しんでいる感じとも言えますね。

人々が集わなくなったコロナ禍においては、更に「心理的安全性」が遠のいてしまったと感じられるのではないでしょうか。だからこそ今最も注意しなければならないことの一つが「心理的安全性」の確保なのです。

そもそも「心理的安全性」はハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が1999年に提唱した「Psychological safety」の和訳で「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、罰を与えるようなことをしないという確信を持っている状態であり、チームは対人リスクをとるのに必要な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」と定義されています。上司や同僚の反応を気にしたりビビったりすることがない職場なわけです。

 

心理的安全性のメリット

心理的安全性」のことが近年よく聞かれるようになったのは、Google社が実施した「プロジェクト・アリストテレス」が注目されたからです。耳にしたことがある方も多いでしょう。これは同社の一種の労働改革プロジェクトで、その結果として「心理的安全性がチームの生産性にを高める重要な要素である」と結論付けたのです。

不確実性がますます高まる現代において、企業が成長し続けるためには様々な要素が必要です。マーケットで実際何が起こっているのかにビビッドであること。それには幹部やリーダーを含めたハンズオンが必要不可欠なことに加え、職場の風通しのよさが必要不可欠です。また、多様な意見が飛び交い、互いの価値観を理解することで化学反応が起きイノベーションが生まれます。即ち互いを認め合うオープンなダイバーシティ空間が必要です。そして、スピードも重要ですね。例えば、問題を隠すことなく上司に伝えることに躊躇がない職場の空気も大切です。更に、上司や同僚に「それ間違ってますよ」と遠慮なく言える関係も重要ですね。即ち、これらを支えるのが「心理的安全性」なのです。

これは、上司が口でいかに言おうがそれだけで定着するわけではありません。例えば、上司が予算を達成しない部下に対して激しく叱責するようなことが頻発するような職場では、上司に具申もできないでしょう。そうです、毎日の積み重ねなく「心理的安全性」は実現できません。

 

心理的安全性」のメリットを少しまとめてみましょう。

チャレンジする組織文化やイノベーションの促進

社員が失敗を恐れず発言したり行動したりしやすいので、躊躇せずにチャレンジしやすくチームに試行錯誤が誘発されやすい。また、不要な遠慮がないのでバイアスを壊しやすく自由に発想できるので、イノベーションが起きやすい。

組織リスクの低減

失敗や問題が発生した時に叱責を恐れて隠ぺいするマインドセットにならないので、重大な問題が放置されるリスクを回避できます。

意思決定の精度が上がる

上司に具申しやすいし、上記の通り問題を上げやすいため、上司を裸の王様にさせません。従って意思決定の正確性が高まります。

職場の多様性が高まる

多様な価値観が認められる職場には、多様な人々が集い溌溂と働きます。イノベーションにも不可欠な要素です。部下を一色に染めようとする上司がいますが、それは完全に間違っています。自分の都合だけです。自分の居心地が良いからそうしているのです。多様性がなければ企業は自然死への道を進みます。絶対に忘れないでください。

エンゲージメントの向上

居心地が良い、仕事がしやすいなどの特長があり、チームに共感が生まれますので、社員にはやりがいが生まれ、能力や得意技を活かせパフォーマンスが上がります。そのためにその会社で長く働きたくなり、人材の流出抑制にもなります。

精神的クリアさの向上

雑談や相談が躊躇なく行えることによって、プライべーとなことも含めて親身になって相談に乗ってくれる上司や同僚がたくさん現れます。一人で悶々と悩むことが減ってくるでしょう。

そうです。良いことずくめなのです。

 

■職場づくり

それでは、どうやってそのような職場を作ればよいのでしょうか。

1on1のルール化

普段からよく話しているから大丈夫と上司は思いますね。それはほとんどの場合勘違いですw。部下は本当に心から言いたいことを言えていますか? 上司にはお決まりのバイアスがあります。それは、「僕はハードルが低い」という誤解。笑っちゃうでしょ。これは私が長年組織の中で働いてきた実感です。ぼぼ全員このバイアスに冒されていると思ってください。だから、ちゃんとしたルールを作り、定期的に1on1をしなければならないのですよ。もちろん、その場でも注意しなければならないことはたくさんあります。例えば、普段と同様の指示の場ではなく、話を聞く場であることを忘れないこと。即ち上司は話すのではなく聞くのだということ。そして、決して否定をしないこと。などです。できない人がほとんどではないでしょうか。

オンラインの使い方

特にコロナ禍における孤立の予防のためには、日常をいかに取り戻すかが大きなテーマです。だらだら一人でPCに向かって時間も忘れ仕事をしてしまう。運動不足。目や肩や背中がひどく疲れる。家族への負担が気がかり。など。在宅勤務が続くとメンタルに支障をきたす社員が増えてきます。今まで通勤してオフィスでチームで顔を合わせて仕事をしていた時とは全く違う環境に、ストレスを感じます。もちろん、満員電車の通勤時間が無くなり効率が良いなどのメリットはあったとしても、ネガティブな要素は付きまといます。そこで大切なのは、サイクルを取り戻すこと。よく言われていますが、起床時刻を一定にする。チームの習慣を作る。例えば、オンラインで朝礼をしたり、終礼をするのも良いとされています。更に、職場では簡単に行えた雑談をする場を作ることです。オンラインでランチ会をしたり、3時のお茶をしたりするのです。オンライン飲み会も良いとされています。上司が定期的にオンラインを開けておき、誰でも自由に入ってよいことにする手もありますね。昔は「報連相」などと言われていましたが、雑談もしない上司に相談はしないものですね。今は「雑相」と言われ、雑談と相談の区別などせずフランクに話す習慣を作ることが大切だと言われています。

また、会議の設定にも注意をしましょう。在宅が増えると、逆にオンラインの会議が爆発的に増えて忙しいという人もいますね。これは皮肉な事実です。コミュニケーションが疎になることを恐れる気持ちはよく分かります。しかし、参加するものの意見を言うわけでもなく、当事者意識もなく、場合によってはマイクもカメラもオフにしたままという参加者がいる会議がありますね。そういう人はほぼ間違いなく当事者意識がありません。多くの場合は他の仕事をしていますねw そのような会議の多くは必要のない人も参加させているのでしょう。そして、内容は連絡事項がほとんど。そんなオンライン会議は止めてしまいましょう。連絡事項はSNSやメール、もしくは動画のアップで十分です。会議は減らし意味のあるものだけにしましょう。ただし、参加者は事前に準備を怠らず、参加する以上必ず意見を表明しましょう。もちろん、カメラもマイクもオンのままが当たり前ですぞ。

機会の公平性

心理的安全性」を担保するためにはベーシックなルールがあると思います。それは、チーム員全員が第三者にならないこと、即ち全員が当事者意識を持つことです。私は関係ないというオーラを決して出さないことです。風通しが良い職場になろうとしているときにネガティブな態度を示さないことです。これは他のメンバーをシラケさすからです。同時に、上司はあらゆる意味で全員に公平に発言や参加の機会を与えることです。新人であろうが、シニアであろうが公平にです。参加者は伸び伸びとメンバーの一員である存在価値を示すのです。

充実を味わう

コーチ業をしている中で、よくクライアントに質問します。「どのようなときに充実を感じますか?」と。多くの人は、「何かを完遂した時」と言いますね。それでは、例えば、大きなプロジェクトを担当しているなら、「2年経たないと感じないのですか?」と聞き直すと困った顔をして「う~ん、そうです」と渋々答えます。本当にそうならこんなに寂しいことはありませんよね。結論から言うと、「充実はプロセスに宿るのです」日々の行動に充実感を感じられるように振舞うことを強く提案します。例えば、会議が終わったときに、「今日の会議は良かったね。問題がクリアになってスッキリした!」と発言してはいかがですか? その一言で、参加者全員が充実した会議だったと感じ、笑顔が浮かんでくるでしょう。プロジェクトが完遂しなくとも、日々の小さな進捗や革新にこそ充実感が宿っているのです。それなのに、誰もそれに触れようともしない。そんな寂しいことはありません。有意義な議論、ひらめいたアイデアでブレイクスルーした時、顧客の「ありがとう」の一言、同僚のアドバイスで希望を感じた時、思い切って発言した自分の意見に皆が賛同してくれた時、オンライン飲み会での皆の笑顔・・・充実はあらゆるプロセスに存在するのです。「心理的安全性」が存在する職場には清々しいプロセスに満ち溢れているのです。そのプロセスに隠れている充実を味わうチャンスを逃してはなりません。

 

■ぬるい職場との誤解

心理的安全性」の高い職場を、上司が厳しくないぬるま湯的な職場、危機感の足りない職場だと思うかもしれませんが、それは全く違います。まず考えなければならないのは職場の「基準」です。目指すべき基準と思ってください。職場の基準が低いときに、心理的安全性が高かったらどうでしょう。自由に振舞え上司の過剰コントロールもない。しかし、目指すべき基準が低いのです。これではぬるま湯に入っているのと同じです。

基準が高い職場を想像してください。心理的安全性が低いと、チーム員が互いに助け合ったり、アイデアを出し合ったりしないままハードなノルマに苦しめられ、不安度が高くこき使われている感情になりますね。

基準が高くても心理的安全性が高ければどうでしょう。フランクな意見を戦わせ、チームで学習が進み、上司が箸の上げ下ろしを管理するわけでもなく、的確なコーチングのもとに自由に難題に向かってチャレンジするパフォーマンスの高いチームが出来上がります。

基準が高いというのはどういうものでしょうか。別にいたずらに高い予算を掲げるというようなことではありません。我々が存在する現在のビジネス環境は、何度も言うように不確実性の高い状況変化の激しい世界です。目標達成は突然困難になったりします。適時戦略を変え、即行動し、時にはプランBやCを発動し、ある時は妥協し目標を変えます。その時に単に諦めるのではなく、次善の最高を目指すのが基準が高い、即ちハイスタンダードなチームなのです。実現可能なハイスタンダードを常に目指す、心理的安全性の高い集団が目指すべきチームです。

チームが目標を達成できない時に、上司が怒りに任せて叱責することは、チームに良い影響を与えません。現実を直視し、公正に分析し、次善の高い目標を再設定し、その実現に向かってタスクに分解し即行動する、そのプロセスをファシリテートし必要な指示を出し、ハンズオンで現場に向き合う。それがハイスタンダードなチームのリーダーでしょう。幹部は現場のリーダーに権限と責任を委譲しますが、うまくいかなくて叱責しないと言っても、放置することとは全く違います。公正に評価します。ハイスタンダードなチームは自由度が高いのと同時に責任も重たいのです。ぬるいのとは真逆なのです。

当たり前ですよね。プロなんですから

 

心理的安全性をつくる行動

石井僚介氏は4つの因子(行動)をこう書いている。

1.助け合い「困ったときはお互い様」

2.話しやすさ「何を言っても許される」

3.受け入れ「とりあえずやってみよう」

4.新奇歓迎「異能どんどん来い」

いいとこついてますね。更にこんなことに注意すると良いと言っています。

・発言を歓迎する。つまり、発言の内容を評価するのではなく、まず発言したことについて感謝する。これはなかなかできることではありませんね。

・リーダーが間違ったときは間違いを素直に認め、そこからの学びを共有する。これができる人も少ないですね。

・助けが必要かどうか、困っていることはないか、聞いて回る。

・相談されたら手を差し伸べる。私はその前に相談される関係を築くことが大切だと思う。

・挑戦を歓迎し、挑戦したことに対してまずは褒める。

・失敗した時もチームとして何が学びになるかを振り返る。

これらも簡単なようでできていない人が多いですよね。意識すればできますよ。

 

 

私たちの働き方は変わらざるを得ません。しかし、プロとしての矜持は絶対に失ってはなりません。どのようなときもハイスタンダードを維持し、チームの力を結集させていかなる難題も乗り越えるのです。

そのベースラインが心理的安全性です。そこにはセクショナリズムはありません。ムラ社会のバイアスもありません。利他心に溢れ、共感で結ばれたチーム員は日々充実を感じ、仕事を楽しみます。

新しい一年はどのような年になるのであろうか? コロナ禍は? オリンピックは? デジタル庁の政策は? 企業の業績と投資は? 新しいビジネスチャンスは? 事業の新陳代謝は? 皆さんの健闘をお祈りします。

f:id:taka-seed:20210105162747j:plain

必ず春は来る