トップ5%社員の習慣

皆さんお元気でしょうか。すでに10月。今年もあと3か月しかないなんて信じられない。追い立てられるように時が過ぎていく。こんな人生を過ごしていいのだろうか?もっともっと時間を有効に使いたい。しかしコロナ禍。昔のようにはいかないのが口惜しい。先日のトランプ大統領の感染事件。不謹慎とは分かっているものの、ちょっと笑ってしまいました。ブラジルの大統領に続いて「風邪と同じだ」と言った人にも公平に感染リスクがあることが証明された。当たり前かw 早く回復されることを祈りたい。それはそれで選挙にポジティブに働くんだろうな~

 

今日はある記事を読んで感じたことを書くことにする。PRESIDENT Onlineで書籍「AI分析で分かった トップ5%社員の習慣」の要旨が紹介されていた。とても興味深い内容なので一部を紹介したい。詳細がお知りになりたければ書籍を購入されたい。

著者の越川氏はクライアント企業の社員1万8千人の行動を、定点カメラ・ICレコーダー・GPSで計測しデータをAIで分析した。結論から言うと、トップ5%社員の行動習慣には共通点が読み取れたというのだ。そして、その後29社で実証実験を行い、その習慣すなわち一種のビジネスのコツを、その他一般社員でも再現可能だと実証したという。もし本当なら人材育成や日々の1on1やコーチングで活用できそうだ。

「5%社員の5つの行動原則」はこうだ。

1. 「5%社員」の98%が「目的」のことだけを考える

彼らの会話に高頻度で登場する言葉があることが分かった。それは「結果」「目標」「達成する」「成し遂げる」「認められる」だ。その他「95%社員」の3倍以上の頻度で使っていたというのだ。事実を突きつけられると驚く。私も以前からメンターやコーチとしてクライアントに向き合うとき、よく「あなたの存在価値は何か?」「成し遂げたいことは何か?」と問いかけます。これは「自分は何をすべき(すなわち目的)人間なのか?」を考えてもらいたいからに他なりません。要するに、「自分と正直に向き合ってもらいたい」のです。私はこれがコーチの価値の一つだと思っています。

また、「5%社員」は時計を見る時間が「95%社員」の1.7倍で、会議で期限や時間に関して2.3倍以上発言している、というのです。これもとても興味深い。これは言い換えれば常に限られた時間内に結果を出すことを意識しているということだ。この時間のゴールは何かを意識しているのだ。私のあるクライアントの会社は、会議で議論されたことがその場だけで終わってしまい、次につながならないと嘆く。聞くと、会議がアクションアイテムや分担や期限を決めずに終わるのだという。これでは会議のための会議でしかなく、何の進歩も進展もない。誰もフォローもしないのだから。目的のない会議が存在することだけでも、経営システム不全だ。

そして、次にまた納得できる結果なのがこれ。「95%社員」の作成する資料は「5%社員」の資料に比べページ数が32%多いのだ。更に、時間でいうと「5%社員」の資料作成時間は20%短い。そして、パワポの1スライド中の文字数も少ない。即ち伝えるべきことにフォーカスできているということだろう。

2. 「5%社員」の87%が「弱み」を見せる

「5%社員」のひとは人間関係を構築するときに、雑談から入り距離を縮めたうえで、「自分の弱み」をさらけ出していたのだ。アンケート結果でも「5%社員」の73%が「自分の弱みを出すことに抵抗がない」という。一方「95%社員」は同じ回答が23%だけだったとのこと。

実は私はよくクライアントにこういう話をする。「価値観は分かり易いほど良い」「自分を材料として提供する、即ち弱みや失敗談をさらけ出すことで、共感され信頼関係が生まれる」と。実は自分の弱みをさらけ出すことのできる人は、「強い人」だ。自分を良く見せようとする人にはできない。記事でもこう言っている。「『5%社員』は決して強い部分によるマウンティングをしません」と。よく分かる~w。皆さんもそういう人になりたいですよね。

3. 「5%社員」の85%が「挑戦」を「実験」と捉える

「95%社員」よりも「5%社員」の方が、会話やチャットで接する人数が多く、会議での発言頻度は32%多く、更に社内での移動距離も22%長いという。明らかに自発的に動き自分のフィールドを広げる行動をしているのだ。

実は同じような実験が日立の中で長年行われてきた。社員にセンサーを付け、誰がどういう行動をして誰とコンタクトしているのか、長年でデータを取り続けてAIで分析して知見を溜めてきた。矢野さんというフェローがその分野のオーソリティーで、今ではそれは同社のサービスとしてビジネスにしている。「幸福度」を測定し自己実現可能な生産性の高い職場を創るのだ。今年6月に「ハピネスプラネット」という新会社まで興している。

また、こうも書かれている。「5%社員」は横の広がり、つまり自分にはない経験やスキ身につけようとする人が69%いることが分かったと。彼らは、「変化の激しい現代で対応力を高めていくには、1つのスキルや技術に固執することなく、より多様な能力を身につけていった方が市場価値が高まると考えている」

私は以前から望むべきリーダー像を表わしてきたが、その中に「ひとたらしで」「行動力があり」「意思表示が明確で」「オープンで」「発信力があり」などなどを入れている。どれだけ多くの人とつながれるか、共感されるかがリーダーとして必要な価値観だと強く思うのだ。

4. 「5%社員」の73%が「意識変革」はしない

この表現は私には腹落ちしない。どうもこういうことらしい。「5%社員」たちもトップダウンの行動変容要求(こうしろああしろ・・・的)には抵抗を示す人も多い。しかし、彼らは自分と向き合う習慣を持っている。それが、自分や組織にメリットがあるのかどうか自分で考え判定するのだという。意義や目的が理解できれば行動を変えるのだ。同時に彼らはそれが納得できれば、ほかの人にそれを広める傾向があるとのこと。意味のあることは自らインフルエンサーになるという形のリーダーシップを発揮するのだ。なるほどね。即ち「意識変革」を押し付けられない。納得すれば自ら変わる、ということなのね。

5. 「5%社員」の68%が常に「ギャップ」から考える

「5%社員」は最低限の計画しか作らず、まず行動する。途中で行動を修正しゴールを目指すという。

また、例えば顧客にプレゼンする場合、こちらサイドと顧客サイドでは情報の多寡やニーズの理解など多くのギャップがあるのが常。「5%社員」はその他より、ギャップを埋めるための事前ヒアリングを徹底しているのだ。

常にゴールまでの道のりは想定できないことばかり。それを知っているから、まず動く。常に気付いたギャップを埋める行動を取りながらともかく進む。ハイパフォーマーの行動がそうなのは容易に想像がつくね。

 

どうでしょう。これを鵜呑みにする必要は全くないが、いいところを突いていると感心する。そして気付かないかな? 強いビジネスピープルなり、ハイパフォーマーなり、リーダーなり、変革者を育てるヒントがたくさんあると。

皆さんが日常行う1on1などのコミュニケーションの場で伝えるべきこと、問いかけるべきことは、変革の余地がある。そして、職場のコラボレーションはリーダーのコーチング力やトレーニング方法によって、進化できる余地がある。

さて、明日から早速試してみよう。

f:id:taka-seed:20201003190145j:plain

奄美黒糖焼酎バカラでいただく。ギャップがあるようでないw

わざわざ「糖質0」とデカデカw 焼酎はみなそうだよ~

 

 

清廉さ

f:id:taka-seed:20200929184256j:plain

涼しくなり、急激にジョギングやウォーキングを楽しむ人が増えてきた。早朝のそれは実に気持ちがいい。もっと晴れる日が多いといいのにな。

トランプ大統領が過去20年の大半の年において連邦税を支払っていないという。ニューヨークタイムズはその事実を18項目にわたって分析した記事を掲載した。その要点をNPが解説している。その中のいくつかを紹介したい。恐ろしい話ですよ。

1. 税金逃れのポイントは多額の還付金が原因

トランプが納めた税金は18年間合計で約9500万ドルになる一方で、2010年以降7290万ドルの還付金を申請し、それを受け取っている。収めた税金のほとんどを取り戻しているのだ。どういうこと?

2. その還付金の不透明さにより国税と対峙

トランプはアトランティックシティのカジノに対する投資によって多額の損失を被ったことを、理由にしている。国税サイドは不透明だと2011年から調査を続けている。10年近くたっても未解決のままだ。これは全く理解できない。国税の力不足か、ほかの力が働いているのかなど、憶測したくもなる。日本の国税だったらそうさせないだろうな、なんて思う。

3. 個人的な支出を事業の経費として処理している

私も個人事業主で、経理処理はすべて自分で行っているのだけれど、よく言われるように、個人的な会食等の領収書を残して経費として処理するなどということは、まったくしていない。そんな少額を計上しても節税なんて誤差のようなものだし、そもそも良心がそうさせない。トランプはどうやら違うようだ。自身のヘアカット代7万ドルはもとより、娘のイバンカのヘアメイクアーティストに支払った10万ドルも経費扱い。その金額にも驚くが… 金の使い方間違えてないかい? Forbes Japanによると、人気の民主党女性議員オカシオ・コルテスさんは「自身が昨年、誕生日に美容院などで250ドルを使ったことで共和党の議員たちから憎悪を込めた発言や辛辣なコメントを浴びせられたことを振り返り、次のようにつぶやいている。『彼らのアイドルがヘアスタイリングのために7万ドルを使ったことは批判しないわけ? ああ、彼らは腰の抜けた女性嫌いの偽善者だものね、しないわよね?』」これには共和党議員も反発の余地はないはずだ。

3. 固定資産税の減免

96年にベッドフォードに200エーカーの土地を購入して、避暑地として利用し続けている。にもかかわらず、これを事業用の不動産として申告し、2014年から毎年固定資産税から220万ドル減免されている。なんと、2017年に自分が承認した税法は、減免は毎年1万ドルまでと、なっているのに。要するに、金持ちにそんな減免をさせない法律なんでしょ。彼は、それは法律ができる前のことと言い逃れするんでしょうね。

4. 不透明なコンサルティング

トランプは海外も含め多くの不動産プロジェクトに関与しているが、その多くのケースで収益から多額のコンサルティング料を支払っている。2010年以降だけで、その経費が2600万ドルもある。

5. イバンカへの支払いか?

上記のような中に無名のコンサルへの支払いがある。74万7622ドル。同年イバンカは全く同額を受け取ってた記録があるだって。なんででしょうね?? 私には、利益隠し丸出しに見えますが… 半沢直樹だったら許しませんよ~

6. 赤字事業

ゴルフ場経営やホテル経営など不動産関係の事業の多くは、実は赤字だ。それも巨額だ。それら赤字事業のおかげてトランプは税金を払わないでいるのだ。

7. 大統領としての利益

大統領就任後、トランプの事業は利益が拡大する。それは、トランプの経営するホテルやゴルフ場にロビイスト、政治家、外国の政府高官、宗教団体などが多額のお金を落とし始めたのだ。その金額までタイムズ紙は公表している。大統領になりたかったのはお金のため??

8. とはいえ利益はない

事業収入は増加しても、穴埋めできる損失はその一部。自転車操業は続いているようだ。事業家としては実は三流なのね、きっと。「ディールは上手い」って??

9. トランプの財政状況

現在トランプは4億2100万ドルの借金を持っている。そのほとんどは4年以内に返済期限が来る。トランプが大統領選に落ちれば、容赦なく債権者は差し押さえに走るだろう。しかし、再選されたらどうなるんだろうか? 見ものだね。

トランプは、放漫経営による大赤字を手練手管の節税などでしのいできたものの、解決には至らず、財政状況は大ピンチということらしい。これからも錬金術を編み出さざるを得ないのだ。今後何をするのか恐怖を感じるのは僕だけだろうか。何が何でも再選されたいのね。

大金持ち、特に不動産というバブルネタで財を成した人のこと全員を悪く言うつもりは毛頭ないが、株も含めてそれらを転がすことによって収益を得ている人を、尊敬はできないな。

特に、そういう人が政治家、それもトップになってしまうアメリカ人の価値観を理解することは難しそうだ。政治家は清廉であることが大前提。「足るを知る」価値観(自分が持っているものに十分真の豊かさが宿る)が何より大切だと思うのだが。

そして、アメリカの国税当局を応援したい。きれいさっぱり暴いてもらいたい。ちゃんと税金を支払わせてもらいたい。アメリカ国民の多くもそう思っていると思いたい。

 

僕のシナプス

スロージョギングあるいは速めのウォーキングの効果をご存じだろうか。

脳細胞が増え、シナプスが密になり、海馬が大きくなる。即ち、脳が活性化するのだ。加齢などにより日々衰えていく脳が、元気を取り戻していくのだぞ。これらの研究は進んでいて、海馬が〇%大きくなったなどのデータは取れているそうだ。これは何と素晴らしい。脳の老化に抗えるなんて…。私は進みゆく「アル中ハイマーw」にストップを言い渡し、クリアな思考で日本のビジネスパーソンの覚醒に手を貸し続けていきたい。そのためにはもっと歩かないとね。

脳の活性化と同時に言われているのが、瞑想効果ですね。風を感じ、光を感じ、季節を感じ、心が落ち着き、ストレスが薄れてきます。鬱病の患者にも効果があるともいわれています。

そして、言うまでもなく、有酸素運動ダイエットにも絶大な効果があります。昨今のコロナ禍で肥満の問題が注目されている。感染症が重症化する人の多くは肥満体質なのだ。肥満は免疫力の減少など、ボディーブローのように人間の本質的な能力を蝕んでいるのでしょうね。ダイエットには、糖質の多い食事を摂った直後に歩くのが良いそうです。急激に血糖値が上がるのを制御できるからです。いわゆる血糖値スパイクを起こさないということです。私も、医師から食後すぐ歩きなさいと言われた時は驚きましたし、生活習慣的に難易度が高いとも感じました。しかし、血糖値が高めの人にとっては、糖質の多い食事を減らすことと共に効果があるのです。

とはいえ、今の季節はまだ熱中症には十分気を付けてくださいね。僕は「A-RROWG」とともに歩きますよ。

 

f:id:taka-seed:20200918091035j:plain

長年使ったカラダスキャンが壊れ、つい先日購入した新人君。高機能版ではないが、

それで十分。以前の機種に比べ、ずっと安価でずっと軽い。
あと3kg痩せたい(^_-)-☆

 

笹生の米ツアー養成ギブス

8月の行われた「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」は、コロナ禍の中今シーズン2回目のトーナメントとして注目を浴びた。その中で、ぶっちぎりの優勝をさらったのが笹生(さそう)優花(19歳)だ。母の母国であるフィリピンで日本人の父から厳しいゴルフレッスンを受け、才能が一気に開花したことが話題になった。ところが、彼女のストイックなトレーニングがその陰にあることは、あまり報道されていないこともあり、知る人は少ない。

「Motor Magazine」によるとこうだ。父のトレーニングが「まるで『巨人の星』の星一徹のよう」だったのだ。父は娘の足首に重りを巻き付けトレーニングをさせた。最初は250gだったが最終的には片足2kgを超えた。さらに上半身に10kgのベストを着こんで、30分のランニング、100mダッシュ10本。日本に帰国後はさらに激しくなり、「ランニングは1時間、100mダッシュは神社の階段ダッシュへと進化(?)した」その結果、ドライバーの飛距離は300y近く。軽井沢でもぶっちぎりだ。最終日同じ組の藤田さいきは「タイガーウッズかと思った」と。実は、僕は藤田選手とは4,5年前に同トーナメントのプロアマで一緒にラウンドした経験があり、彼女はロングヒッターであることを目の当たりにしている。それを50ヤードもおいていくのだから恐れ入る。スポーツは下半身が基本、と言われるが、彼女自身も「最初はやっていることが正しいかはわかりませんでした。でも、今の飛距離を考えると正しかったんでしょう(笑)」と。

しかし、根性が違う。父も子も凄い。驚くことは、まったく悲壮感がないことだ。努力が報われた笹生選手。きっと、すぐに米ツアーに参戦するのでしょうね。活躍を祈るばかりです。ちなみに、彼女は20歳に日本かフィリピンかの国籍を選ぶまでは、フィリピン人でもある。来年予定通り東京オリンピックが行われれば、フィリピン代表としてゴルフ競技に出場するようですぞ。

この記事を書いたのは月刊ゴルフダイジェストの編集長だが、9月号には「50歳からヘッドスピード劇的アップ」がテーマの記事があるそうな。「もう一度本気でプラス30yを目指すグルファーへのヒントが詰まっています」とのことですぞ。

僕が行っているジムの筋トレくらいじゃ飛距離は伸びませんね。僕は、飛距離の前にミスショットを減らし、かつて目標だった年間平均80台を実現したい。現実は程遠いけどね。なにせ、最近は100を切ることに汲々としているのだから(涙)

f:id:taka-seed:20200912145001j:plain

夕方のウォーキング。コースを間違えると西日をもろに浴び続ける羽目に。暑い!

足に重りをつけようかな?

 

新しい王道

王道と言う言葉に普遍性のニュアンスを感じるが、企業経営の王道は実は結構変わっていく。昔の王道が今では王道ではないという具合だ。それを王道と言うの? というご意見もありましょうが、そんなものです。

例えば、今から20~30年前。経営の最重要事項は「選択と集中」だった。世界で3位に入らない事業はすべて止めると言ったGEを典型として、経営資源を集中化しないと世界の上位にはなれないという価値観だ。量にものを言わせた超効率的な投資効率を目指さないと生き残れないとばかりに、多くの企業がそれを指向した。高いリスクを飲み込み高額の投資をした者だけが生き残れるという、ハイリスク・ハイリターンモデル。その流れでも、日本の企業は大鉈を振るうことができず、中途半端な投資しかできずどんどん海外のメーカーに置いて行かれた。投資家は日本企業を見限り株価は下がり、企業価値は下がった。半導体や携帯電話、家電やPCなどもそうだった。

それから30年。このコロナ禍において、様子は一気に変わってきた。産業構造の急速な変化によって、一本足の事業がピンチになることイコール企業の生死を分ける状況となったわけだ。では、多角化が正解なのか?

ステレオタイプ多角化を進めるなどと突っ走る企業は、ちょっと考えを改めた方がいいと考える。現代における多角化の意味は、昔のそれとは違うと認識すべきだ。

一言でいうと、多角化のターゲットはデジタルだ。最近10年でテクノロジーは一気に進歩した。クラウドスマホ、AI、IOT、高速ネットワーク…昔とは全然環境が違う。そう、投資が少額でもアジャイル新しい事業をスタートできるのだ。スモールスタート(リーンスタートアップができ、スピーディーでかつ、スケールが容易なのだ。デジタルによって、顧客との距離縮まり、サプライチェーンは完全につながった。モノの流れや顧客の購買動向や嗜好も分かる。そこに3年の時間も巨額の投資も不要なのだ。

DXはリスクミニマムで事業の多角化が可能なのだ。しかし、問題は誰にでもできるわけではないということ。勇気があればできるわけではない。必要なリーダーシップと能力が必要なのだ。そのことは以前にも書いた。

これからは、事業ポートフォリオをDXによって創り直す経営アプローチが、新しい王道になる。

その土台となるのが、デザインシンキングやリーンスタートアップなど新しいプロセスと人材だ。これも書いたね。それができる企業が生き残り、できない企業が生き残れない。

実は、日本のDXに大きな壁があるのが、一人情シスの問題だ。大企業を除けば、事実上情シスなどという組織は存在せず、それこそ「一人」のIT人材しかいない企業が日本の過半なのだ。それで、セキュアなDXができるわけもない。ベンダーにおんぶで抱っこ。実はそうしたくてもお金がないという中堅以下の企業が大多数。それを何とかしないと日本は成長できない。以前に書いたように、アトキンソン氏がいうように中堅以下は合併を進めるしかないとも思える。

ところで、デジタル・トランスフォーメーションのことをなぜDXと略すのであろうか。経産省の和泉さんはこういう。「Transというのは上下が反転するという意味。それを示すのがXであり、英語圏の慣習では、Transの省略はXと表記する。」https://ascii.jp/elem/000/004/025/4025741/

 トランスとは「『反対側』『越えて』『変えて』を意味するラテン語接頭辞。」であるが、もう少し広くとらえると、超越するとか、別の状態へとか、すなわち、「ガラッと変わること」を指している。ビジネスでいうと正に「変革」であり、「改善」とか「進化」とは一線を画する。バイアスを超えて、今までできると思っていなかった新しい価値を生み出す、ということを指す。大切なことは、今まで経験したり学習してきた思考の枠組みに縛られないことだ。テクノロジーの進化によって、今までできなかったことができるようになる。しかし、バイアスに縛られた人の思考では、新しい可能性を気付くことはできないのだ。

 

PS. 先日世界が変わったというような話を書きました。その後、先日聴講できなかった「NEC iEXPO Digital 2020」の「桃谷英樹マネージング・エクゼクティブ」の講演をNEC YouTubeで観た。興味深かった。興味のある方はどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=meFFYm1brR4&pp=wgIECgIIAQ%3D%3D 

f:id:taka-seed:20200905083953j:plain

根を張った苔はそう簡単に生まれ変わらない。@いつものウォーキングコース

 

 

 

変わっていく世界 & 新しい「Well being」

COVID-19はいろいろな産業にダメージと機会を与えた。暗転したら舞台のセットが全部変わったようだ。

新興国の需要は伸び盛り。その典型の1つがインドの自動車だった。インドでシェアNO.1がご存じスズキだ。ところが、4月の販売台数はロックダウンの影響で0。なんと1台も売れなかった。4~6月合計が8割減の6万台。経費削減で赤字はまぬがれたものの、純利益はほぼ0。

・一方その後の報道では、軒並み大手自動車メーカーが4~6月決算で差詩集赤字の中、トヨタは1588億円の黒字だった。徹底したコストダウンが奏功したとのことだが、コストダウンについてはゴールなき不断の改善を続けた同社に、まだそんなに余裕があったこと自体に驚いた。工場閉鎖や万人単位のリストラを計画している競合他社との差を見せつけた形だ。

・昨年までの数年間はスタートアップが非常に元気だった。もちろん、その背景にはAIやIOTなどを典型とする新しいDX、X-Techといわれるテクノロジーをベースにした企業が旺盛だったことがある。大手企業もそれらの新興企業に出資をしたり提携をするなど連携を深めることに積極的だった。そういう意味では、有望なスタートアップは資金に苦労することはあまりなかった。それが今年に入り資金の余裕がなくなり流動性が一気に落ちた。1~6月のスタートアップの資金調達総額は、前年度比47%ダウンだ。スタートアップの聖地であるシリコンバレーですら、VCは成長が間違いないであろうレイトステージの投資しかしなくなり、リスクマネーの行き所がなくなっていると現地でベンチャー支援をしている伊佐山さんが言っていた。

・巣ごもり需要を上手く取り込んだ一社が「ウーバーイーツ」だ。23区内で始まったあ同社のサービスも、最近では我が家あたりでもよく見かける。同社が放った大胆な戦略が「サブスク」だ。日本においては、1,200円以上の注文代金の場合に、何回使おうが、定額980円/月だそうだ。もともと同社はダイナミックプライシング(需要や渋滞情報をAIで判断して配送料金を動的に変える)をとっていて、配送料は平均300~400円だそうで、月に3回使えばペイする計算だ。どうでしょう。数か月したら儲からないから止めたと言い出しそう…

・もう一つ巣ごもり需要の典型が「メルカリ」だ。上場後も積極的な投資を続け、4半期決算はずっと赤字続きだったが、今回の4~6決算で初めて黒字に転換した。売上は60%増だ。

・日本にいると気づきにくいことだが、大気汚染が一気に改善した。ウォールストリートジャーナルによれば、汚染レベルは最近70年の中では最も低いとのこと。航空、鉄道、自動車などあらゆる移動が激減し、また、電気需要の低下で発電量も低下、従い公害物質の排出が減るのは容易に創造できるが、数か月の中でそれほど一気に綺麗になるとは。経済が戻ったとしても、私たちが努力すれば温暖化は止められると、確信した人も多いはずだ。バランスはとれるはずだ。猛暑や異常気象はもう嫌だ。

・多くの人の消費行動が縮小している。一つには、交際範囲がググっと狭まった。若い人たちの間では、それをポジティブにとらえている人たちも多い。行きたくない会食が多かったのだろう。もともと、できれば一人でいたいと思っていたのかもしれない。ともかく、交際が狭まることによって、外食、運輸、衣服、美容、燃料(ガソリン)などが激減した。消費をすることが経済を支えることは分かっているはずなのに、実は貯蓄志向が高まっているとのこと。就業の不安などがそうさせるのだろうか。

・各産業セクターでいろいろなことが起こっている。しかし、新しい機会も多いはずだ。ハンズオンの考え方が変わり、ますますDXの価値も高まるはずだ。新しい便利を定義すること「Define Smart」、新しい豊かさを見つけること「Design Thinking」が必要不可欠だ。それを理解し実践できるチームが成長し、そうでないチームは成果を出せずにもがくだろう。

・人のつながりが薄まっている。オンラインでつながっていればまだいい。それすら少ない人は、ますます孤立する傾向にある。運動不足も重なり、ますます重要になるのが「Well being」という考え方。私は、「肯定的に考える、捉える」こと、そして、「Active」であること、すなわち「行動する」ことが大切だと思う。自分と向き合って、自分にとっての「Well being」とな何なのか?を考えてみることをお勧めする

f:id:taka-seed:20200905083435j:plain

実はめったにスイカを食べない。夏の終わりに思い出したようにスイカを買った。何年振りか思い出せないくらい久しぶりだ。懐かしい味がした。そんなことが幸せに感じる。

 

 

 

 

デジタルを友達に

■デジタル人材

ゴールドマンサックスが昨年採用した人の半分以上はIT人材だそうだ。

一方、20億人のZ世代。50%の人がリモートワークが不安なそうだ。デジタルネイティブの人がそうなんだ。デジタルの慣れ不慣れは世代に関係ないんだ。

確かにデジタルの弱みは、暗黙知が共有できないし、形式知を説明や喋りの上手さがなければ共感ができない状況になりがちなこと。

したがって、デジタルネイティブであっても、リモート環境で孤独を感じたり孤立しがちになってしまう。

デジタルで効率化し、時間を創り出すとともに、クリエイティビティ―を化学変化させる場が必要だと痛感する。それは実際会わないとできないことかもしれない。

 

■全部を変える

入山教授がこんなことを言っていた。それは「経路依存性」という言葉。初耳だった。「いろんな要素で社会ができていて、それらは噛み合っている。何かを変えようとすると関係するものを全部変えなけらばならない」という意味。このコロナ禍のカオスの時は、絡み合う全部を一気に変えるチャンスではないかという指摘だ。いや、強制的に変わらざるを得ないという意味でのチャンスなのかもしれない。リモート、働き方改革ダイバーシティー、メンバーシップ型雇用⇒ジョブ型雇用、DX・・・ 

正にCXコーポレート・トランスフォーメーションの時だ。

元々、かつて日本が成長した大きな源泉は、「課長」だった。現場の管理者が自律していた。その課長が自主的に改善を続け、QCDの変革を続け、競争力を積み上げてきた。そう、現場が強い日本企業がDXを進めるともっともっと力を発揮するはずなのだ。しかし、実態は目先のことに追われチャレンジが許されず閉塞感に包まれている。いや、そう思い込んでいる。そんな現場では、日本の良さを発揮できないはずだ。現場が自主性を発揮できる組織こそ変革を起こせる自主性を阻害するような、上司のマイクロマネジメントは絶対に避けなければならない。DXは日本のチャンスのはずだ。DXは現場の力で実現しよう。

 

キーエンス営業のDX

先日キーエンスターゲティング術というウェビナーを聴いた。要は、昔から顧客をどうターゲティングするかが営業の生産性の肝だと分かっていて、いろいろチャレンジを続けてきた。もちろん当たり前の属性データから3rdパーティー東京商工リサーチなど)のデータを利用したり、社員がヒアリングしたデータを統合したり、商談履歴や、イベント履歴、Webアクセスログなどなども活用し、データサイエンティストを採用して、機械学習でターゲティングリストを作り、それに従って営業活動をしてきた。明らかに勘と経験による営業に比べはるかに成約率は高く、売上はどんどん成長した。しかし、データサイエンティストの採用は困難になり、彼らにはビジネスラインのニーズは分からないなど、限界を感じ、ビジネスラインが自ら分析できるツールを探した。しかし、適当なものが見つからず、自社開発。現在は営業が自らツールを使い、ターゲティングリストを作成し営業している。そう、彼らは現場が自立して科学的にアプローチしているのだ。企業の中で最もコンサバな営業現場でさえ、自ら試行錯誤しレベルアップしてきた。

売上6,000億円に満たない会社の時価総額が国内2位、利益率50%、平均年収第1位であるのも、現場のDXの力ではあるまいか。

 

CXの時代。経路依存しているすべてを変えるためには、会社を設計しなおせる強いリーダーとともに、現場の力が必要不可欠だ。

f:id:taka-seed:20200903085758j:plain