変革に必要な要素

NPの記事の指摘が実に的を射ている。それは、コンサルティング業界が変わってきたという趣旨。コンサル需要の多くが、ビジネスコンサルからデジタルに関わるコンサルにシフトしてきて、従来のITコンサルはもちろんのこと、過半のコンサル需要がデジタルに関わるものになってしまった。それは、世界の多くに大手コンサルファームが、デジタルの子会社を立て続けに設立したことでもよく分かる。そして、そこに集っている人材が一気に多様化してきた。DXが主要なニーズになってきたことで、従来はコンサルファームの構成人材が、コンサルタントとバックオフィス(管理部門)人員だけだったが、今では、それらに加えてUX/UIデザイナー、データサイエンティスト、ITアーキテクト、AIの専門家、ビジネスデザイナー、ビジネスリサーチャー、エクスペリエンスデザイナーなどのプロが集まり、クロスファンクショナルに顧客の困りごとに向き合わないと、高度なニーズに対応できなくなっているのだ。

これは、近年のデザインシンキングの隆盛の流れに完全に合致し、更にAIなどITフィールドのテクノロジーがいかに問題解決に役立つかを示している。

顧客の困りごとを解決するのが企業のミッションだが、そのアプローチがガラッと変わったと言っているのだ。これはコンサルファームだけの問題ではなく、あらゆる企業がそうだと考える。そして、それは社内外を問わない。即ち、社内IT部門もそうだと言いたい。今までのアプローチですら社内の不評を買いがちなIT部門なわけだが、ハードルは更に上がった。社内も社外も顧客自体が自分の困りごとをよく分かっていない時代(わかっている問題は既に解決済み)。顧客の多くは固定観念にまみれた視点から出れないままだ。だから、ビジネスコンサルが顧客のヒアリングをしても変革には到達できなくなってきたのだ。従い、デザイナーやリサーチャーが必要なのだ。言われたことをIT化することでは、問題は解決しないし価値は甚だ低い。自分で観察し仮説を立て検証するしかないのだ。

皆さんの顧客に向き合う組織は、上記のような新しい能力を具備したチーム編成で対応できていますか? 是非ニーズから逃げないで、真剣に考えてください。

f:id:taka-seed:20200821153412j:plain

夕暮れはひたひたと迫っている。変革を恐れてはいけません。なぜ躊躇しているのですか?

 

クラウドファンディングの絆

先日、私がクラウドファンディングで支援しているチームからZOOMインタビューを受けた。サービスを提供する側と、支援する側との関係を考え、提供側がどうあるべきなのかを少し考えてみた。

クラウドファンディングで事業を立ち上げようとしている人たちは、多くの場合、軽くスピーディーに始めたいという気持ちが強いでしょう。それほど多額の資金が必要なわけではない。スピードが欲しいし、自分たちが事前にコンタクトしてきた“アーリー・アダプター”候補以上に多くの実際の“アーリー・アダプター”にコンタクトしたい、という気持ちだ。即ち、実際使用した上での多くのフィードバックが欲しいのだ。

その声を聞き届け、機能やデザイン、UIやFAQなどなどを改善あるいは作り直して、本格的な展開、即ちスケールさせる準備を万全にするのだ。場合によると、実現不可能と悟り撤退する場合もあるだろう。本格的な投資(製造ラインを強化するなど)をする前に判断できるメリットは大きいはずだ。

従って、提供サイドは積極的に支援者とコンタクトすべきだし、その声に真摯に耳を傾けなければならない。

同時に、提供機能などはスピーディーにかつ何度でもどんどんアップデートしていかなければならない。特にITベースのサービスであれば、スマホアプリやバックエンドのソフトなどをどんどんバージョンアップするのだ。UIなどはいろいろなユースケースで、多様なスキルや経験を持った支援者が使ってみて初めて分かる問題がたくさんあるだろう。それはいわば支援者からのギフトであり、真摯に向き合い、即アップデートすることが支援者との信頼の証になるはずだ。

そういう意味でも、支援者とのコミュニケーションが非常に重要だ。一般ユーザと違い、まだ生煮えの商品/サービスを応援しようという気概があるわけだから、裏事情なども遠慮なく説明すればいい。実はこういう背景・狙いでこの機能になっているのですとか、ユーザはこういう使い方をするだろうという仮説でこの機能にしているとか、このデバイスにはこういう限界/制限があり、それを回避するためにこうしている・・・などを透明にコミュニケーションすべきだ。

その正直なコミュニケーションは、支援者の愛着につながり、チームの一員として、だったらこういうアイデアがあるのではないか、という提案にもつながる。更に、提供サイドは、アップデートの選択肢を支援者に問いかけることもよいコミュニケーションだろう。回避策は案AとBとCがあります。どれがいいですか? というようにだ。

支援者は、ブラックボックスを一番嫌がるだろう。僕たちは支援者なんだ。チームの一員なんだ。会議室の扉は開けるべきだ。ってね。

f:id:taka-seed:20200817144857j:plain

いつも遠くを見て歩くようにしている

 

「Ole Borud」と僕のサブスク

最近のお気に入りを紹介しますね。それは「Ole Borud」(オーレ・ボウルドと読むらしい)。ノルウェーのミュージシャン・43歳だ。Amazon Music HDのとあるプレーリストを聴いていたら、「これ好き!」とビビッときたw。全く聞いたこともない名前。仕事や読書中にはもっぱら音楽を聴いているが、そんなシーンにピッタリな空気。ある時はちょっとジャジースティーリー・ダンにも似ているし、ある時は甘くボビー・コールドウェル的だったりもする。声は知的でギターも巧い。バックバンドのセンスもいい。シンセサイザーの音源は使わずハイファイな音は切れが良い。昨日からずっと聴いている。ググると“Cotton Club”での生演奏がYouTubeで観ることができますよ。「On and On」スティーリー・ダン的で特に好きだな~

 

どれだけ使ってる?

Amazon Music HDもサブスク(サブスクリプション・サービス)の1つであるが、ふと思った。僕はどれだけサブスクの契約をしているんだろうかと。

ご存じの通り、サブスクは定額利用サービス。もとをたどれば定額購読だ。新聞などはその典型。最近ではNetflix等の台頭でネットベースのサービスと思われがちだが必ずしもそうではない。5年位前であろうか、定額で好きな洋服を借りられる「airCloset」が出てきたころから、新しいビジネスモデルとしてのサブスクが注目されてきた。もちろんほとんどのサービスはITの力を借りている。

さて、リストアップしてみよう。

購読系

日経新聞(紙とネットをセットで契約)

NewsPicks

楽天マガジン

AMAZON(いろいろ入っているので独立して区分)

Amazon Prime

Amazon Music HD

映像系

WOWWOW 2台

フジテレビNEXT(F1のためだけ:シーズンが終われば解約するつもり)

仕事用

レンタルサーバープラン

Microsoft 365 Business Standard

Exchange Online プラン1

レンタルサーバープラン 

マネーフォワード(経理クラウドサービス)

インターネット系

iTSCOMインターネットサービス

MaCafee

UQモバイル携帯 (ほぼ定額契約)

UQモバイルPC用SIM

ちなみに、料金をすべて月額換算して合計してみた。

約26千円/月だった。起業してから、そしてコロナ禍で結構増えてる。僕は、自動車や飲食、服飾などでは一切サブスクを使っていないが、もっと高額を消費している方も多いことだろう。プレステはサブスクとリカーリングの両方のサービスがあるようだが、僕は両方とも契約していない。もちろん、これら以外にも無料のEvernoteGoogleAppleのストレージも使っている。

こうして並べてみると、時代は変わったなと感じる。先日KDDIの高橋社長のウェビナーを聴講したが、コロナ禍で(2/14⇒5/14で)インターネット・データ量が3倍、ビデオ会議が72倍になったそうだ。巣ごもり状況の継続でサブスクが伸びるのはよく分かる。

f:id:taka-seed:20200808152343j:plain

暑い時のウォーキングはもっぱら街路樹の下😅

 

Be yourself !

長い梅雨が終わり(関東)、同時に夏休みに入った方も多いでしょうね。今年は学校が閉鎖されていたために、夏休みが10日未満しかない地区も多いと聞く。残念ながら、子供と過ごす典型的な夏休みシーンは、ないご家族も多いことでしょう。何か工夫して、思い出の残る夏休みにしてくださいね。

 

今回は、リードするとはどういうことなのか考えてみた。

世の中の変化のスピードは異常に速い。VUCAと言われる所以だ。そんな中で、何とも言えない「違和感」を感じることがあるでしょう。“なんか変だ” “このままじゃヤバいことになるかも”なんて。そうなると、事実を知りたい。情報が欲しい。そして、そこから何が見えるか考えたい。「洞察力」だ。その土台にあるのは、「好奇心」「Vividさ」だ。これが重要なのだが、これが磨かれていない人が多い。一種のセンスとも感じるが、努力によってある程度は磨くことができるでしょう。同時に、「スイッチをONにする」ことがもっと重要で、残念ながら同じことが目の前で何が起こっても「OFF」のままの人の目には何も映らないのだ。スイッチは自分しか押せないのに、押さない人が多いということ。

さて次に、「自分で考える」こと。ここで必要なのは「自分をリードする」こと。「志をマネージする」ことだ。「自分事として考える」と言ってもいいかもしれない。他人事という価値観にとらわれがちな人には何も見えないし、魂のエンジンがかからない。“自分がやらずに誰がやる”という「思い」がある人は、次に“よし”とばかりに「覚悟を決める」。それは「自分を信じている」証拠。「自己効力」が高く、“できそうな気がする” ”皆も賛同してくれるだろう”なんて「ポジティブシンキング」に包まれる。

当然行動は速い。「今さっさとやる」「やれることからやる」スピード感。自分を信じて走っている人の潔さは、「魅力的」だ。周りもついてくる。それが「巻き込む力」「センスメイキング力」だ。

変化の速い時代では、なにが正解なのか分かりはしない。その分析にやたら時間をかけること自体が間違っている。その間に状況はどんどん変わる。後手を踏むことになるからだ。“きっとこうなる”という洞察力が描くストーリーが、メイクセンスのエネルギーだ。

そういう行動が自然にできる人の中には何があるんだろうか。

まず「使命感」だろう。自分の「存在価値」とは何かを意識している。そして、その「使命感」に裏打ちされたVision「行動力」。特に「ハンズオン」の姿勢が「行動力」を後押しする。

そして「精神的な強さ」。恐らく自分では強いなんて思ってない。“行動しないで後悔するより、行動して失敗した方がまし”という「価値観」が強いんだろうね。

こんな「感じ」は世の優れたリーダーに共通しているんじゃないだろうかな。経験を積めば立派なリーダーになれるなんていうことは、全くない。経験は成長を後押しするだろうが、決定的要因ではない。

魅力的なリーダーとはどのような人か、考えてみてください。やたらたくさんの言葉を列挙すると、多面的にリーダー像が現れますよ。なかなか出てこなければ、真逆の人はどのような人かを列挙してみてください。そんなアプローチでも腹落ちする結果が出るものです。

“Be yourself ! 臆するな!自分らしくあれ!”

 

f:id:taka-seed:20200802131239j:plain

盛大な花火見学はなくとも、縁側で線香花火を楽しむことはできる。

子供のころを思い出す。

 

 

野心の潔さ

野心とはなんだろうか。「身分不相応な良くない企み」というネガティブな意味もありますが、今回は前向きな意味に目を向けましょう。

B2Bのビジネスを行っている人たちは、大体このようなチェーンでつながっています。(自分)⇒(チーム)⇒(会社)⇒(顧客)⇒(社会) 個人は会社から給料をもらっていると思いがちですが、顧客あるいは顧客の顧客、言い換えると社会から給料をもらっているのです。そういう感覚、即ち自分と社会が繋がる感覚を持つことがとても大切です。誰のために働いているのか、誰に対して価値を創造しているのかを感じるのです。そうなると、「野心」も社会のためという認識に立てますね。いえ、立たなければなりませんね。価値創造の実現のために、自分の存在価値を際立たせる、即ちカッティングエッジの存在という高みを目指していくという感じです。そう、私は「野心」とは自分の価値と向き合う「意図的なストレッチ」だと思うのです。自らの意志で目線を上げる、誰にでもなく自分にチャレンジする。そんな逞しい様子が見えますね。一種の潔さを感じます。「できそうもない」と感じた瞬間に野心は消えます。そう、「自己効力」ともつながりますね。

 

私は野心的な人が大好きです。性別も年齢も肌の色も関係ありません。

ビジネスマンよ、「野心的」であれ!

f:id:taka-seed:20200724153521j:plain

永遠に続くようにさえ感じる梅雨空。そんな中でも、雨の合間に蝉の鳴き声が始まった。

季節は確実に進んでいる。

 

 

つづきを書こう。自分と向き合うこと

前回SBGを取り上げて、会社は誰のものか云々と書きました。その続きを今日は書きますね。

私は以前にある企業トップに、その企業の変革に関して提案をしたことがあります。起業した以降の話です。詳細は書きませんが、トップが社員にどう向き合うかの観点です。トップは強いリーダーシップを求められます。特に戦時のおけるカオスの中では必要不可欠だと思います。しかし、平時はどうでしょう。平時においても、この人類史上最も変化の激しい時代においては、日常が変革の毎日である必要があるものの、それはトップダウンで行われるべきではなく、社内のあちこちで内発的に行われるべきものです。そのきっかけはトップによってなされるべきなのはその通りでも、箸の上げ下ろしを指示してはなりません。そうし続ければ、永遠に社員は指示待ちになり創造的な職場はできませんね。

トップに必要なのは、ハンズオンです。顧客、顧客フロントにいる社員、製造現場、エンジニア、サプライチェーンを担う人々、協力会社や販売店、事業パートナーなどなどとコンタクトを取り続けることです。そんなのは当たり前ではないかと皆さんは仰るでしょうが、実はできていない企業幹部、経営陣がほとんどだと感じています。大体、トップに上がってくる情報はほぼねじ曲がっています。特にトップが強い圧力を振りまいている人であればあるほど、各レイヤーの人々はその上のレイヤーの上司の強い指示や忖度にコントロールされます。上司はどのような報告を欲しがっているかを考えるのです。それが何回層にも行われると、もはや事実は覆い隠され本質を見失った議論や指示が行われかねない状況に至ります。各レイヤーとも「見たくないものは見えない」「都合の良いものしか目に入らない」人たちの集合体ですから、そうなって当然です。彼らが悪いわけではありません。そうさせているのは積み重なった上司の遮眼帯で去勢された本質を見失った固定観念です。

トップは事実に触れるためにハンズオンで降りていくしかないのです。フランクな話を聞いたり、都合の悪い話を聞いたり、自虐的な落胆するような話に耳を傾けるしかないのです。もちろん、そのような話を忌憚なく話してくれる人たちに深い感謝の念を抱きながらです。

さて、企業の経営陣はそのような機会を当たり前のように作っているでしょうか。社内で会議ばかりしているのではないですか? 在宅だからできないって? 嘘コケ。そういう問題ではありませんね。自ら行動しなくてはならないのですよ。部下の誰がそういう機会を作ってくれるというのですか? 現場を見せるとろくなことが起きないから誰もそういう機会を作りませんよ。そんなにひどいのか!と怒られると思っているのですから。自ら機会を作りフランクにコンタクトしなければならないのです。

そんなことを考えていると、さて、企業トップは社員の代表たる組合とちゃんと向き合っているのかと疑問が湧きますね。組合サイドも、トップに忖度したような向き合い方しかしていないとするなら、そもそも存在価値すらない組合ということになりますね。経営陣が組合とちゃんと向き合うということは、必要不可欠なハンズオンの一つです。忌憚のない、自虐的な事実を包み隠さず話し、議論する場でなければなりません。経営幹部は組合との議論の都度、「びっくり仰天」「目から鱗」というような経験をしなければ意味がないのですよ。幹部の人たちはそんな経験をしたことはないでしょうね。

そこで考えなければならないのは、組合員の姿勢やマインドセットです。以前から感じていたことですが、社員の多くは自分の会社のことをよく理解していません。就職活動の時はよく勉強して、ステレオタイプな「御社の・・・というところを尊敬しています」なんてことを言っていたはずなのに、多くの社員は入社後自分の会社のことに興味を失ったようなマインドセットになりますね。これはCMOだった時に感じた大きな課題でした。それが、例えば「インナーブランディング」に力を入れるなどという施策につながったわけですが・・・

大切なことは「オーナーシップ」だと思います。皆さんはご存じかどうかわかりませんが、社員のオーナーシップといえば有名なのがシーメンスですね。グローバル・エクセレント企業で、製造業からデジタル、ソフトウェア企業へとシフトを続ける、多くのレガシー企業の見本となるべき企業ですね。シーメンスが大切にしているのが「オーナーシップカルチャー」です。社員全員一人一人が会社を背負っていると自覚して、業務に邁進する文化のことです。その文化の根底にいろいろな行動が隠れています。例えば、幹部はマーケットやテクノロジーの変化などいわゆる「メガトレンド」を理解し、それを社員に発信します。社員はそれを理解し、中長期的視座に立った戦略を考えるのは自分だと悟ります。ポイントは幹部は社員を腹落ちさせられるのかです。分析し洞察し危機感と機会を納得させるのです。また、会社は社員の成長のために、個々にいろいろな仕事をアサインします。同時に社員は自分のキャリアプラン、即ちどう成長したいのかを考えるように指導されます。そのように会社と社員のwinwinの関係は、次に権限委譲につながります。シーメンス将来は自分が決めるのです。幹部でなくとも、社員は「自分の会社」とも言うべき「オーナーシップ」感覚を自然と身に着けます。これは、言い換えれば「当事者意識」「責任感」ですね。更に社員の半数以上が自分の会社の株を所有しているそうです。そういうところにも表れるんですね。

組合員をはじめとする社員が、そのようなマインドセットで会社と向き合ったら、素晴らしいと思いませんか。そんなことが日本において可能なのでしょうか。以前にも書きましたが、ギャラップ社が全世界1300万人に調査した結果では、日本企業はエンゲージメントレベルの高い「熱意があふれる社員」が6%で139か国132位だったのです。なんと「やる気のない社員」が70%もいたのです。これはどういう意味なのでしょうか。もちろん一言でいえば世界で最もエンゲージメントレベルが低い国、となるわけですが、この状況で先ほど書いた「オーナーシップカルチャー」があるわけがない、と気付くはずです。なぜなのでしょうね。自分と会社は別人格、関係ない、給与のために働いているだけ、小うるさい上司の言うことを聞いていれば給料がもらえる、楽しくもないし働き甲斐もない・・・というような関係なのでしょうか。自分と上司や同僚、同期などと心はつながっていないのでしょうね。信頼関係もなければ、将来の夢を共有したこともないのでしょうね。

企業は人です。最高最大の財産は人材であり、社員が持てる能力と情熱を発揮して当事者意識と責任感を持って、価値を社会に届けるのです。それが喜びであり、一人一人の存在価値です。トップも経営陣もマネジメント層も組合員も組合も、そんな当たり前のことを腹落ちさせ、今までの自分とちゃんと向き合いましょう。それがすべてのスタートだと思いませんか?

 

f:id:taka-seed:20200717091108j:plain

ひとりひとりの個性は、オーナーシップ・カルチャーでつながるんだろうな。

 

 

会社は誰のものか? SBGを見て考える

ソフトバンク・グループSBGの孫社長がSBGを手放すことになりかねない可能性があると言われ始めて1っか月以上たっただろうか。本人によれば2兆数千億の資産を有しているらしい(SBGの約22%の株を持っている)ので、そんな心配は無用だと言っているとのことだが…

ことの発端は決算の記者会見。彼は個人として5,000億円の融資を受けていると語ったのだ。問題はその担保。なんと彼が有するSBGの株のうち約70%を差し出しているらしい。もちろん株価が高ければ何の問題もない。ところが、その株価が下がれば、彼は担保の追加をしなければならない。できなければ株の売却か別にキャッシュを用意しなければならなくなる。最近のSBG株の暴落でそれが架空の話しではなくなる可能性が出てきたらしい。金融機関もコロナ禍以降業績が悪化し、おおらかに対応できる余裕がなくなっているとしたら、孫氏に対する圧力も強まるはずだ。

SBGはもはやファンドだ。Weworkなど投資先の株が暴落し、2020年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が1兆4381億円の赤字(前年同期は1271億円の赤字)だった。それを埋めるために、上場したばかりのソフトバンクの株を大量売却し現金化したうえで、SBG自社株を2兆円も買いますと発表し、株価の立て直しに汲々しているとも見える。

もちろんファンドのポートフォリオである各社の価値が上がってくれば当座の問題はない。投資家に利益を還元し、SBGの株価もまた上がってくるだろう。マクロ的にみればそういうベクトルだろう。ただ、人類が経験したことにないコロナ禍により、産業セクターの浮沈は想像を超えてダイナミックに動く。Weworkは創業者の暴走に始まり、コロナ禍によりシェアオフィスの価値は谷底に落ち、またウーバーも同様。

マーケットが成長しているときは、借金しても問題は全くない。金が金を生むサイクルが回る。ファンドはそういうマーケットや企業を探す。特にSBGの場合は成功がほぼ間違いないミドルステージからレイターステージ(後述)の企業、即ち更なる大胆な拡大のために巨額の資金を必要としている企業に、大枚を投じて成長してきた。もちろんその目の付け所が素晴らしいが、その金額の大きさが梃子たるゆえんだ。

SBGはファンドであり実業でもある。G各社の社員はどう感じるのだろうか。実業でいかに稼ごうが、ちょっと風向きが変わって縁もゆかりもないポートフォリオ株価が上下した方がよっぽど業績を左右する現実。

ファンドとはそんなもんだ、と言ってしまえばそれまで。しかし、SBGは違う。事業会社でもあるのだ。孫さんはそう思っていないようだが・・・

 

 もし、孫氏をはじめとする経営陣がMBOManagement Buyout「経営陣による買収」)するとすると、10兆円ほどの資金が必要だ。もちろん個人の所有資産でそれが賄えられるわけはなく、金融機関など第三者が軍資金を提供することになる。第三者に株を持たせたら何のためのMBOか分からなくなるともいえるが、非上場にすることだけはできる。孫さん自身は、営業利益ばかりに注目しないでほしい。投資会社なんだから株主価値に注目すべきで、それは落ちていないんだからガタガタ言うな、とでも言いたいのでしょうね。本音は非上場にしたいのかも。

話は戻して、一年を見ると、ソフトバンク・グループSBGは2020.3月期で営業利益が1兆3,000億円の赤字、当期純利益は9,600億円の純損失だった。

SBGはアリババの株を昨年6月にも一部を売却し1兆2,000億円の売却益を得ている。その際にアリババの持ち株比率は26%に下がっている。現在アリババの時価総額は60兆円ほどなので、今でも15兆円以上のアリババ株を持っていることになる。SBGで約6兆8,000億円の借金と5兆円の社債があると言われているが、アリババ株が暴落しない限りガタガタ言われる筋合いはないと、孫氏も思っているのだろう。

ところが現下の状況の中でSBGは銀行への返済と自社株買いに充てるために、4兆5,000億円の資産売却を予定している。そのうちアリババ株が1兆5,000億円程度とのことだ。

このような状況になったのは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドSVFの投資価値の暴落だ。SVFはご存じの通りサウジアラビアなど投資家から8兆円弱の投資を受けている。それ以外にもSBGはメガバンクを中心とした銀行から7兆円弱の融資を受け、40万人の個人投資家社債を売り、その資金を90社弱のベンチャーに投資し、ソフトバンクやZDHなどに4兆円以上投資している。また、スプリントやARMなどの海外企業に6兆円弱投資している。得た資金は返済や償還、利払いをしなければならないのは言うまでもない。更に投資先の株主価値が下がれば会計上は損失に計上しなければならない。今回の決算ではSVFで1兆9,000億の損失、WeWork、Uber、OYOなどの企業価値がコロナ禍で暴落したことが大きかった。

ユニコーンが成長している間は投資は典型的なレバレッジになる。投資したお金の価値がどんどん上がるわけだ。既に成長が約束された(もちろんそんなことはなく、社会トレンドやテクノロジートレンドなどを鑑み、既にある程度成功の道を進んでいることが間違いなく、資金を投入すれば一気にスケールできるエキスパンジョン・ステージから、レイター・ステージにあること)状況に莫大な資金を投資するのだ。SBGの場合はほとんどがそのケースであり、発展初期段階(シード・ステージやアーリー・ステージ)の投資はほぼない。成長しているうちは間違いなくレバレッジ。それが投資家のビジネスモデル。

さて、このような投資家としての企業は、いったい誰のものなのだろうか? 私には想像がつかない。そこに集う投資家達はどうなのだろう。恐らく自分の会社とは思わないだろう。私たち庶民が証券会社に運用を一任するファンドラップをしたからと言って、証券会社にオーナーシップは全く感じない。株主はどうなのだろう。実事業を事実上持たない投資会社に対してオーナーシップを感じるのだろうか。私が株主であったとしても感じるとは思えない。社員も同様で、実業を持たないと社会に貢献しているという実感はほぼないのではないだろうか。批判しているわけでは全くない。お金を回すことによって社会変革を加速するという使命はわかるし、尊敬もする。しかし、社会の公器としての企業に係るステークホルダーにとって、自分の存在価値と結び付けられない実感のなさがなんとも空虚、即ち一体感を全く感じないのだ。結局は孫さん一人の会社なんだろうな、なんて感じる。

SBGとは無関係な僕がSBGを取り上げたのは、このようなセンセーショナルな動きを見ると、僕たちサラリーマン(僕は既にそうではないが)が所属する企業とどういう関係を築けるのかが、最近僕の中で大きなテーマになっているからだ。

僕たちは、自分⇒会社⇒社会とのつながりを強く感じることを、本能的に求めているのではないかと思っているからだ。続きは別の機会に(^^♪

 

㊟数字や状況は時々刻々と変わっています。少し前の情報をベースに書いているところもありますので、今現在は数字は微妙に変わっている可能性があります。ご承知おきを。

f:id:taka-seed:20200710091235j:plain

旬を楽しむ。熟れごろのジャストタイミングを計るのが難しい。人生もそうですよ。