強みとエンゲージメント

■「強み」

自分の強み・得意なことを分かっていますか? ギャラップ社の調査によれば、「自分の強みにフォーカスして仕事をしている人は、そうでない人より6倍高い確率で仕事に満足」し、「自分たちの強みにフォーカスして仕事をしているチームは、そうでないチームより12.5%高い生産性を上げている」のです。

だからこそ聞くのです。自分の強み・得意なことを分かっていますか?

案外分かってませんよね。自分の強みとは何なのか? よく考えてほしいのです。例えば、あなたが転職しようとすれば当然問われる質問ですよね。あなたは理由はともあれ、今の会社を辞めようと決意したときに初めて考えるのですか?

それは特定のテクノロジーかもしれません。マネジメントの経験と成功モデルかもしれません。必勝のフレームワークを作ったことかもしれません。執着心や当事者意識などのベーススキルかもしれません。オープンイノベーションに必須な人たらしのケミストリーかもしれません。広角な人脈かもしれません。深い業界知識や業務知識かもしれません。

それが会社の成長のために活用されているとき、それが成果を生み称賛されているとき我々はエンゲージメントを感じますね。しかし、成長ということを考えたときにその強みに甘んじていていいのかという、もう一つの分水嶺があります。あなたが本当に欲しい成功とは何なのでしょうか? ひとつの領域のプロになるのか? それが狭いもので良いのか? 例えばマーケティング部門でブランディングを担当していたとして、その分野で成果を出し評価されていたとしても、部下が育ち任せられる状況になれば、あなたは部下を異動させ自分がそのまま居座るか、あなた自身がほかの領域にチャレンジし、例えばマーケティングの別領域で経験を積むのか、全く違う仕事例えば営業にチャレンジするのか、ブランディングのプロとして転職するかなどを考えなければなりません。

即ち、強みは永遠ではないかもしれませんし、戦略的にキャリアをデザインしない限り、不本意な異動になりむしろエンゲージメントは下がってしまいます。即ち、自分の強みは意志を持って計画的に深掘るのか、広げるのかを考え続けなければなりません。そして、それは自分の胸にしまうのではなく、上司やメンターなどに話し協力してもらわなければならないのです。くれぐれも視野の狭い自分の将来やチャンスを矮小化してはなりません。チャンスは自分の意志でつかみ取るのです。

もう少し強みについて書きましょう。

 

「変えられるもの」と「変えられないもの」

ギャラップ社によると、強みには「変えられるもの」と「変えられないもの」があります。前者は、「技術」「知識」などのように学習や経験などで習得することができるもの。後者は、「才能」「資質」などのように潜在能力や行動パターンのようなものです。「技術」「知識」など「変えられる」ものについては異論はありません。補足したいのは「才能」「資質」など「変えられないもの」についてです。これは世界的に多くの学者などの研究によって定説になっていることですが、人間の性格には5つの特性(性格のBig5などと言います)があると言われています。「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神安定性」です。詳細は述べませんが、開放性とは「新たな美的、文化的、知的な経験に開放的な傾向 」を示します。同じく真面目さは「計画性、責任感、勤勉性の傾向 」、外向性は「自分の関心や精力が外の人や物に向けられる傾向 」、協調性は「利己的ではなく協調的に行動できる傾向 」、精神安定性は「感情的反応の予測性と整合性の傾向 」を示します。ここで述べたいのは、長年の研究により、「開放性」を除いて性格スキルは70歳程度まで伸ばせることがわかっています。「開放性」は20歳までは上昇し、60歳までほぼ変わらずその後下がっていきますこれは社会人になっても性格スキルを鍛えることが可能なことを証明しているわけです性格スキルを高めることによって新しい人生が開かれるので。そうです。ギャラップ社の「資質」は変わらないというのとは違和感がありますね。私は一部を除いて性格傾向はよりポジティブなものに変えられるという考えに一票を投じます。そして、それら性格は異動や転職など新しい環境に身を投じることによって、変えられる、言い換えれば変わらざるを得ないと言われています。成長するために戦略的に異動する意味がここにあります。

いずれにしても、「強み」は自分の意志で戦略的に強化することはできるし、それを活かすことによってエンゲージメントを高めることができます。もちろん、エンゲージメントは自分一人で高めるものではなく、上司や組織、更に会社全体でシンクロしていくことが大切です。

 

■キャリアデザイン

私の経験をお話しすると(もっともこれは私の性格に由来しているから参考にならないかもしれませんが)、一つのことをずっと続けるのって飽きが必ず訪れるのです。もちろん深掘る喜びもありますが、研究一筋などという職業でない私はどうしても視野が狭くなり、それが新しい発見をする機会を制限し、もういいかな?なんて感じちゃう。だから、ボードゲームで自分の陣地を広げるように周辺領域の知識をつけるとか経験をする、更に全く違うゲームに参加するかなどに心が揺さぶれれるのです。そうしないと、チャレンジ精神が湧き出なくなるのです。皆さんも若い時から前広でキャリアをデザインすることをお勧めします。アバウトでいいんです。時々変えていいんです。ただ言いたいことは、流れに身を任せ過ぎないこと。時々、さてそろそろ泳ぎ出そうかな、なんて考えること。その先何処に行きたいんだっけ?と考えることです。

それからメンターの存在。あなたの周りには必ずあなたのキャリア形成に手を貸すメンターがいます。それが誰なのかはあなたが決めなければなりません。上司なのか、実は人事スタッフがいいのかもしれません。キャリアコンサルタントの勉強をしている友人がいたら最高ですね。それとも、お世話になった先輩や同僚でもよいかもしれません。メンター候補を決めたら相談しましょう。遠慮はいりません。それに躊躇するようでは未来は開かれませんよ。未来は自分で開くんです

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いろんな仕事に広がってきた

 

フリーランスとmusic

最近はクライアントを訪問しないときは自宅で仕事をする時間が長い。個人事業主の多くはそうだろう。9時5時というようなサイクル感覚もほぼなくなり、土日に仕事をしたり、夜中にしたり。マイペースでできるのが大きなメリット。そんなデスクで調べたり、書いたり、読んだりするときに欲しいのがBGMだ。会社にいるときはそうもいかなかったわけだが、今は誰に遠慮することもない。最近はもっぱら“Amazon prime music”である。長年Amazon prime”のユーザではあったものの、ほとんど利用していなかった。調べると、iPodにもダウンロードできることも分かり、PCにBOSEのスピーカーをつなぎ聴きながら仕事をしつつ、良いなと思ったアルバムはその場でiPodにダウンロードして、ウォーキングやジムワークやドライブ中にも聴いている。コーチングしているときに流したりもね。今まで全く聴いたことのないミュージシャンもたくさん知った。最近いいなと思ったミュージシャンを紹介しよう。

Jason Mraz

Colbie Caillat

Jonathan Jones

James Arthur

Phillip Phillips

Bruno Mars

Lukas Graham

Natalie Imbruglia

A Great Big World

Olly Murs

Aloe Blacc

Tim McMorris
Daniel Powter

Jamestown Story

Nine Days

James Blunt

Sixpence

Gavin DeGraw

Ed Sheeran

The Corrs

Shawn Mendes

The Corrs

Charlie Poth

Jack Johnson

Ted Lennon

仕事中やコーチングしているときに聴くのなら優しい落ち着く音楽がいい。acousticなものが自然と多くなる。なんだか大人になった感じ? 枯れてきたから?(笑)否定はしません。

 

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猫も杓子もイノベーション

ある日新木場の駅辺りを歩いていたら気が付いた。「千疋屋イノベーションセンター」…? さて皆さん、千疋屋におけるイノベーションって何だろう。サブスクで高級フルーツを提供するって? 想像を超えた新しいフルーツスイーツ、いや、スイーツでない新しい食べ物を開発しているって? 

どうやら、そもそも1つ2万円なりのメロンが売れるマーケットを作るなど、ブランディングやそれを支える経営革新を進めた、イノベイティブな老舗が同社だという。

信頼と高価格の良循環老舗のブランディング一番美味しくて、安全で、見栄えのあるものその三点セットが高所得者向けの新しいマーケットを作ったのだ。フルーツ市場は今後も伸びるようだ。確かに、新しい品種はどんどん現れ、皆美味で量産化が進むせいか価格がこなれるのも速い。果物文化の創始者である同社は今後もどのようなイノベーションを起こすのだろう? 中を見てみたいね。

 

神岡教授「デジタル変革とそのリーダー CDO」


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秋らしくなりました。写真は近所のテニスコート。早朝は誰もいなかった。


旧知の一橋大学の神岡教授から最近上梓された「デジタル変革とそのリーダー CDO」を送っていただいた。さっそく読んでいる。

企業から見た価値創造は、単純化すると「連続的価値創造」と「非連続的価値創造」がある。後者は、従来のビジネスや価値創造の延長線上になく、非連続であると同時に方向性も異なる。即ち、今までの経験やビジネスで学んだことが通用しない。今の競争力を前提としていない。「自分たちが持っていない能力や競争力に基づくこと」即ち、「将来の競争力を重視した価値創造」を指す。彼は面白い表現をしている。英語で言うと"Radical"や"Breakthrough"だというのだ。分かり易いね。

先生の言う、「連続」「非連続」は以前にHBRに連載されていた濱口さんの連載「イノベーションの作法」の中に登場する「SIFT」と「JUMP」の違いに似ている考え方だ。

更に言うと、クリステンセン教授の言う「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」とも近い。

現代のビジネスマンはこれらのセンスを持たなければ、変化の激しい荒波を上手く泳いでいけない。溺れて死ぬだけだ。自分たちが進む方向の可能性や競争優位性、更にリスク(前者で居続けるリスク)を洞察・判断できるセンスを持たなければならないし、後者を実現するために会社の体質、文化、組織などをどのように変革させていくべきかに、不断のチャレンジをしていかなければならないのだ。正に「Radical」を恐れる守旧的バイアスまみれの文化を壊さなければならないのだ。

しかし、同時に理解しなければならないことは、全社が一気に後者にシフトしてしまうと、恐らく会社は死滅してしまうだろうということ。以前にお会いしたGEの元CEOイメルト氏もそのようなことを言っていた。神岡さんも「企業にとっては連続的価値創造で収入を最大化したり、投資を回収したり、経営を安定化することも重要だ。逆に非連続的価値創造だけだと成長は先細りになっていつか衰退するので、結局、従来型企業には連続的と非連続的の両方のタイプの価値創造を行う能力が求められるのだ。」と書いている。いわゆる「両利きの経営」とか「二階建てのイノベーション」と言われていることだ。正に先生の仰る「Ambidexterity(両手利き)」。

これだけ、先人達がいろいろ指摘するDX。それでも変われない企業。否、変わるか変わらないかは意志だけの問題だ。

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上岡さんに頂いた彼の最新著作

 

 

 

変わること

皆さんお元気ですか? 先日の台風は特に千葉に大きな爪痕を残しました。こんなひどい停電は聞いたことがない。まだ復旧していない地域も広い。もう少し。頑張ってください。幸い少し涼しくなりましたし、湿度も低い。やっと秋が少しずつ近づいた。気が付くと窓の外では虫が鳴いている。


■「あるある」

親会社から出向してきた役員が「戦略は私が決める。君は言われたことをしていればいいんだ」などとあなたや部下に上から目線で言う。

毎年美辞麗句を並べ、あたかも戦略的な経営計画を作るが、それが実行され実際成果を出したことはなく、なぜそれができないのかの本質的な議論も行われたためしがない。

上司は現場で何が起こっているのか全く分かっていない。そのくせ、こうあるべきだとのたまうし、我々を評価している。

上司は経営陣に対する月次報告にどれだけ工数をかけているか。問題は報告されず、うまくいった案件だけ厚化粧してあたかも自分の成果のように報告することに熱中し、自分にのぼせている。取り巻きのスタッフも胡麻を擦ること甚だしい。

変革をテーマに挙げるものの、日々のオペレーションは目先のことばかり、今期の決算が危うくなると投資はすべてストップ。チームは解散。それを毎年繰り返す

新規事業を開発せよと上司は言うが、ビジネスプランを出せ、そんな売り上げなら止めてしまえ、予算の使い過ぎだと。梯子は毎度外され、新規事業担当者の評価はいつも低いまま。誰もやりたがらない

こんなどこの会社にもありがちな「あるある」を皆さんも経験していることだと思います。

同時にそれを「何とかしなければ」ともがいている人も多いはず。しかし、その思いが奏功して会社や事業部が変革した例は案外少ないのではないだろうか。

心ではそう思うが、実際闘う人はいない。なぜ?

 

同調してくれる人がいなく、自分だけ上司の疎まれ貧乏くじを引くから?

自分が立ち上がっても、どうせ変わるわけはないとブレーキがかかっちゃうから?

ダメな上司が出世しているのが事実であり、彼を評価している上位上司がいる限り、自分は反乱分子にラベリングされるから?

そうっと生きていく方がずっとだから?

言われたことを粛々とやっていればそこそこの評価をしてくれるから?

そうでなくても、忙殺されているのに、そんなことをやっている暇がないから?

理解者が周りにいるとはとても思えないから?

 

■変わること

成長し続けるためには、人も会社も変わり続けることが最低条件だ。これだけ事業環境がドラスティックに変わり続け、今までの延長線上に未来は描けない状況にあることは明らかだ。そんな中で変わることを拒否続ける蟻地獄の中で一人でもがいて沈んでいくなんて、そんな悲惨な景色は決して見たくはない。否、変わる必要がないとでも思っているのかしら? 大ピンボケ。そんな人は存在してほしくない。会社の足を引っ張っているとどうやったら気づかせられるのか?

変わりたくない上司は下から突き上げるしかない。できないって? では「座して死を待つ」のですか? 職場の皆もそう思うのですか? そう話しましょう。安心してください。必ず理解者はいます

人を捉えるときには“doing”と“being”の二面があるといわれる。「何をするか」と「どうあるか」だ。“doing”意志そのものだ。何をするかは自分で決めるのだ。しかし、“being”は自分の意志で決められない面がある。事実今「蟻地獄にいる」ならそれは事実であり、それは受け入れざるを得ないのだ。一旦は身を任せるしかないのだ。人生は川のような流れだという。流れに身を任すしかない。「澱み」から出たいと思っても、今そこにドップリ浸かっているという事実は曲げられない。しかし、流れは、いわば人生のプロセスであり、「澱み」の先にある新しい世界に向かって泳ぐことはできる。それが“doing”と思うのだ。どう泳ぐのかは自分で決められる。身を任すと、渦となった水流につかまりその「澱み」から一生抜け出せないかもしれないのだ。

自分に問いかけよう。「私はどう泳げばいいのか?」「誰と泳げばいいのか?

それが「変わるということ」の重要な一歩となるのではないだろうか。

 

■「グレムリン

人の心には「悪魔」が住んでいる。その「悪魔」がいつも呟くんだ。「君が頑張ったって変わらないよ」「貧乏くじを引くだけだよ」「疲れるだけだよ」「疎まれるぞ」なんてね。その悪魔をグレムリンと呼んだりするらしい。そう、あの映画のグレムリンと同じだ。あなたのグレムリンもきっとそんな呟きをしていることでしょう。

貴方もグレムリンに従い、変わることに抵抗しますか? 何を恐れているのですか? まんまとグレムリン」の誘惑の虜になっちゃうんですか? 

そんなときは「うるさい。黙ってろ!」と怒ってください。間違っても、ギズモに対するように水をかけてはいけませんよ。増殖しますからねw

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簿記3級w 日々入門

 

One for all, All for one. 

最近、自国第一主義が波風を立てている。もちろん、その急先鋒はトランプ大統領だが、彼一人がかき混ぜるという構図ではなくなってきた。先日のサミットでも、ジョンソン新首相という新しいやんちゃ坊主が登場し、欧州連合EU)からの離脱で「合意なしでも(経済の混乱なく)容易に対処できる」と持論を繰り返しすばかり。地域なり西側共通の価値観は関係ない自国第一主義で一貫している。

日経新聞によれば、「元々は、冷戦期の1975年に独仏主導で発足したサミットは西側諸国の『結束』を示す狙いがあった」とのこと。しかし、西側という価値観はもちろんそうでない側の結束を高めることを助長したり、結局西側と称する軍団の自軍団第一主義でしかない、という主張も理解できる。どちらの側に立って見るかによって見方は全然違うのは、現在の日韓情勢にも通じる。

「トランプ政権はドル安も視野に米連邦準備理事会(FRB)に利下げ圧力をかける一方、中国を意図して通貨を下げる『為替操作国』に指定した。通貨安競争の懸念が強まるなか、自国第一を自制する機運は今やG7でも乏しい。」

私には今、自国第一主義に警鐘を鳴らし流れに抗っている貴重なリーダーが、若きエースのマクロン大統領に見える。彼とて、自国では反マクロンのエネルギーに押され、支持率を大きく落としている。結局自国民の視座の高さ、即ち利己的価値観ではなく利他的価値観の高さが後押ししてくれないと、反自国第一主義の正論は通用しないということなのでしょう。

角度を変えて、事業を行っている自組織のことを考えてみよう。会社から予算なり成長戦略なりの責任を担わせられる。それが、お仕着せなのか自らのコミットメントなのかは別にして、約束は絶対だ。それを達成するために事業ラインのトップも、管理者も自分の予算達成を第一に日々の行動をマネージする。隣のラインのピンチに気づこうが、ノウハウや所有する知財が彼らの窮状を救おうが、所有する人脈が活用できるかもしれない状況だろうが、彼らの進むべき方向にある新規事業のヒントをひらめこうが、手を差し伸べないのか? そんなことをしている暇があれば目の前の懸案に集中したいのか。協力するが成果の半分はよこせと主張するのか。

そんな自組織第一主義が会社を救うのか? 会社の成長を助けるのか? 自分の成長に役立つのか? 助けたら自分の評価が下がるとでも思うのか? ボーナスが減るとでも思っているのか?

仮にそんなオーラを出す上司がいたなら、絶対に尊敬するな自分さえ良ければいいのかと詰め寄れ

One for all, All for one. ではないのか。 

皆の目標は何なのか? それが分からなければ何も進まない。

考えよう。皆の目標は何なのか? 皆で話し合おう。

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One for all, All for one. すべてはお客様の喜びのために (^^♪

 

ブランドと意志

■ブランドマーケティングの楽しさ

ティファニーの業績がよくないらしい。最近読んだ記事によると、日本でもてはやされているあるファッションブランドが(名前は忘れた)本国では悲惨なことになっているらしい。理由は簡単で競争相手が増えたからとのこと。日本ではそれら競争相手は参入していないので、日本人は知らない。差別化なんて脆いものなのだろうか。

ファッションブランドの差別化って何だろう。常に時代の先を行く尖ったメッセージを出し続けることの難しさ。もちろんそのためにデザイナーという存在があるわけだが、齢を重ねるごとにその切れ味は弱まり、ブランド価値は失せていく。某ファストファッションブランドのように、機能性を追求してもすぐに同様の機能は普及してしまう。

最近では日本で有名なスポーツファッションブランドが韓国で不買運動の対象になっていたりもする。実は韓国人は最近までそれが日本のものだと知らなかったようだ。

人間はどこまでアバンギャルドを求め続けるのだろうか?

そんなの一部の先進国だけでしょ。という向きもあろうかと思いますが、新興国の何処に行こうが尖った人(地元のファッションリーダー。多くの場合は疎まれるw)はいるわけで、彼らが新しいライフスタイルを提案しフォロワーが大量に発生するのだ。

先ほどの企業、本国北米で業績が悪化しようが、新しいマーケットに誰よりも先に進出し、日本で成功したように市場開拓していく手が、残されている。イタチごっこだけれどね。戦略は戦略。地域に浸透するマーケティングがあれば、何年か(寡占すれば更に何十年か)ブランドリーダーとして存在し続け、美味しい汁を吸えるかもしれない。

ブランドを維持するために投下するコスト。マーケットの成熟との時間軸の整合。前回の話に通じてきた。これは、CMOとブランドマネージャがひとえに責任を持つ分野だ。楽しいだろうな。

 

■充実

充実感ってなんだろう。以前に勤めていた会社では責任あるポジションにつき、成果を出すことが使命だった。勝手にそう思っていた。部下のロールモデルになる上司。自分が担当する組織の枠を超えた全社的変革を実現するために、僕自身が目くじらを立ててやるべきことを貫く姿勢を皆に見せたかった。自分の枠に閉じこもっている人たちが腹立たしかった。世間知らずの人たちが情けなかった。同時に、マーケットを冷静に見ている人に限ってオピニオンリーダになろうとしない。なぜだろう?貧乏くじを引くからだ。尖った意見を言う人は疎まれるのだ。日本においてはよくある景色ではないだろうか。

僕たちは仕事を通じて何を成し遂げたいのだろうか。一度考えてみた方がいい。これは人生観仕事観そのものだ。なぜ頑張るのか?人生の意味は?生きがいは何か?仕事の意味は?仕事と社会の関係は?などは考え抜いたほうがいい。

そんなことは考えたこともない。それは普通の感想。しかし、考えてほしい。考え抜いて書き下してほしい。私のクライアントにはそれを推奨している。考えて、考えて、これしかないというように、自分の感性にぴったりの表現を突き詰めてほしい。どんどん自分を掘り下げるのだ。

それは分かりやすければ分かりやすいほどいいと思う。それが、尊敬に値するものであれば、あなたはその時点で立派なリーダーだ。

流れに身を任せた人生。ちょっと格好いい。でも違う。

意志ある人生を送ろう。

 

■僕の目標

“企業変革”。言い続けてきこと。今までの延長線上に未来はないから。

今のままでいいのですか? あり得ないでしょう。

とはいえ、バイアスまみれの組織。ムラ社会。それを牛耳るオッサン…。

そんなのぶち壊せ! 

それができる人を育てたい。性根に正直な人を育てたい。闘う人を育てたい。

そんな人たちが未来を創るのは間違いないから。

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道は常に開かれている

揺れ動く企業の業績

 

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雨上がりのウォーキング

秋雨前線が天気予報のメイントピックになった今日この頃です。線状降水帯という言葉も最近よく聞きます。去年から本当に九州を中心とした西日本は本当に悲惨な災害に襲われ続けています。しばらくは予断を許さないようなのでどうかお気を付けください。

近年本当に企業の浮沈が激しいですね。時代の雄として名を馳せ株価の高騰など注目を集め、前途洋々と皆が感じていても、一気に業績が悪化する企業もありましたね。

 

■パイの拡大との同期

そんな企業の一例がアメリカの半導体大手NVIDIAです。もちろんシリコンバレーにあります。1993に発足した歴史の短い企業です。安価なGPUが馬鹿売れしその資金でどんどん高性能な製品を発表、さらに2016頃のディープラーニングブームの時に、彼らのアーキテクチャディープラーニングに適していたことから、一気に成長したのは皆さんご存じの通りです。現在では自動運転などAIの分野でその技術力を生かしリーダー的存在です。

そのNVIDIAの業績がさえない。8月に発表した5~7月期の決算は、前年同期比売上が17%減、利益が50%減だった。彼らのテクノロジーが急速に競争力を失ったのであろうか? 恐らくそうではあるまい。彼らは先を行き過ぎていた。自動運転はまだ先、データセンターにAIのチップが大量に入るのなんてあと何年かかるか。目先のGPUはどんどん安価になり、汎用品は競合が増えたのでしょう。流通在庫を抱え苦労もしていたようです。

チップのような最先端テクノロジーですら、参入が多い。最近では米の輸出制限のせいで、ファーウェイがあっという間にオリジナルのチップやOSまでもを自社開発したり、遡ればグーグル、アマゾン、マイクロソフト、アップル、アリババ、テンセント、バイドゥフェイスブック、テスラなどのチップベンダー以外のテック企業も参入してきた。マーケットのパイの拡大と、テクノロジーの優位性維持が上手くシンクロしていないと、結局美味しいところは他社に持っていかれる。難しいのはパイの拡大のスピードの読みです。予測より速いだ遅いだの話はたくさん聞いてきたでしょう。いくら推測しようが分からないものは分からない。たまたま先行の旨味を獲得してきた企業もあれば、その逆もある。ファブレスの場合は市場が大きくなった時にはノウハウが委託先に移っていたなんていう、ケースすらある。日本の液晶などはその典型的な例のようですね。

同社がどうなるかは全く分からない。恐らく状況は改善していくでしょう。テクノロジーのリードはまだあるし、VRやCGなどはアプリケーションがどんどん先鋭化しているし、リーダーのポジションは変わらないだろう。しかし、まだマーケットが小さいかな??

 

■老舗の格闘

GEの業績悪化は2016頃からマスメディアにたくさん取り上げられました。調べてみると、FY15には既に売上、営業利益とも大きく落としている。以前は成功事例としてケーススタディーの常連だったのに。

2017/8 イメルトCEOに代わりフラナリーCEO誕生

2017/12 電力部門で1.2万人の削減発表

2018/10 フラナリーCEO退任、カルプCEO誕生

     7~9決算で四半期として過去最大の282億ドルの最終赤字

2018/12 産業用ソフト子会社の売却、デジタル事業の分社化を発表

2019/2 バイオ医薬事業を米ダナハーに214億ドルで売却を発表

2019/8 不正会計疑惑が浮上

FY18の減損とは、15年に97億ユーロ(約1兆2500億円)で買収した仏アルストムのエネルギー事業ののれん代減損のこと。恐らく高掴みしていたんだろう。GEともあろうものが…と感じざるを得ませんね。裏事情は分かりませんが…。

遠因にはのれんを償却しない米国会計基準によって、幻を見てしまっていたことがあると思われます。もちろん日本基準であろうが本質は変わらないわけですが、株主の圧力が強い米国においては、お化粧を施すのには都合がよいのでしょうね。

その間、同社はGEキャピタル、家電部門、水処理ビジネス、GEトランスポーテーションインダストリアル・ソリューションビジネスなどを売却(中も含め)してきました。

8月になって保険事業で380億ドルの損失隠しがあることを会計専門家から指摘され、否定はしているものの、株価は急落している。

新CEOは更にピンチに立たされ、ともかく財務的な健全性を確保するため更なる売却等に走らざるを得ないという推測がもっぱらです。

どうしてこのようなことになってしまったのだろうか。世界で見本とされる企業、成長を続けてきた優れた経営方針や人材育成戦略、すべて尊敬の対象だった。そのポジションを維持するために、デューデリを疎かにするなど目先の繕ったバラ色の将来を描こうとしていたのだろうか。それは奢りなのか、出世争いがなせる強弁が、見たくないものは見えないという現象を生んでしまったのか、古い体質が忖度文化を生み出し、裸の大様を作ってしまったのか、なぜなのだろうか?

いずれ、この歴史は多くの大学などの研究によりケーススタディーの対象になるだろう。学ぶべきことは多いはずだ。

忘れてならないことは、大変残念な近年の歴史ではありますが、多くの日本企業にとって見習うべきことが沢山ある優れた企業であることに変わりはないということです。

 

■何を学ぶか

今回2社の話を取り上げましたが、このような業界や企業はたくさんあるでしょう。皆さんが所属する企業も常にそのような市場の変化やテクノロジーの変化に晒されています。同時に、それに対応する経営システム(幹部の意思決定プロセスや文化など)やCXOをヘッドとするアンテナの高さや抽象化する力によって、慧敏な対応力が決まってしまう事実に気付くべきです。

それは経営陣の問題に局所化してはなりません。事業ラインの管理者のセンスや感性、実はHQの経営企画以外(それは当たり前)の総務や人事や経営システムや財務や法務などのスタッフ幹部の市場に対する真摯な対峙姿勢が大切なのです。特に後者に気づいている企業はほとんどいないのではないかと憂慮します。

これからも見たことのない変化に晒されます。その時にどう対処するのか。少なくとも「想定外です」という言葉は聞きたくないものです。

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過ぎたるは猶及ばざるが如し 四川料理をいただくときによぎる言葉